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私だって美しく生まれたかったさ

前職を退職して早半年。

私の同期は女性が何人かいて、私以外は同期という贔屓目なしにしても全員美しかった。私と彼女たちでは採用の方法が異なり、私は実力というよりもある団体に所属していたことが有利となり、且つ内定を辞退しないということをアピールした為に入れたようなものだった。それに比べて彼女たちはまっさらな状態から内定を勝ち取っている。内定者顔合わせの時あまりに皆綺麗で驚いたと同時にこんな子たちと同期で比べられてしまうと密かに思ったことを思い出す。実力で成り上がるためには容姿の端麗さはやっぱり大事なんだとどうにもならないけれど受け止めたくない事実に悲しくなった。

ぼんやりと感じていた劣等感がたしかに形作られたのは人事課長からの一言だった。

「美しくて絵になりますね」

3人が研修の休憩中に座って談笑していた時人事課長は確かにそういった。

その3人はいつも私と行動していた4人だった。

他意はないのだきっと。それでも大体の時間を4人で過ごしていたにもかかわらずそんな発言をしたのはその時のみ。被害妄想だと言われて仕方がないと思う。それでも私はやっぱり綺麗じゃないんだと思ってしまう。中身すらも美しくないことに更に落ち込んだ。

恨むべくは上司の発言そのものだけでいいはずなのに上司そのものにもましてや美しい動機に対しても猜疑心を抱いてしまったことは回避できない問題だったのだろうか。その問題は解決することなく今日まで来てしまっている。

いつか誰のことも妬むことなく僻むことなく自分のことを一番大切に思える人になりたいと心から思っているはずだ。


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