#2 秋田と、自分と向き合う。
【フェスの企画】課題「あなたの地元のフェスを企画してください。」
Oh…No…いきなりラスボス級の課題が来てしまった…
地元・秋田に少しでも貢献できるような企画がしたいと応募した企画メシ。これは本気でぶつからなきゃ意味がないと思った。
去年の年末に12年ぶりに東京から秋田へ戻る決意をした。きっかけとなったのは小さい頃から可愛がってくれた、ばあちゃんの死。最期、必死に息をして生きようと闘うばあちゃんを見て「秋田戻ってくるね。」と病室で約束した。それまでは帰ろうかな、いやまだ東京で頑張ろうかなと、あんなに行ったり来たり、気持ちがフラフラしていたのに。決意した自分に自分でびっくりした。ばあちゃんはその言葉を聞いて、ほんの少しだけ口角を上げ、笑ってくれた気がした。
秋田ってなんもないよ。大丈夫?
秋田に戻ることを周囲に伝えると、こう言われることも多々あった。わかってはいる。でもなんもないと言うことに慣れすぎてて、良い部分もあるのに全てをその言葉に閉じ込めちゃっている気がした。
いつも受け身で消極的な私。だけど戻るからには少しでも秋田を盛り上げるようなことがしたい、自分のように戻ろうか迷ってる人に胸張って気持ちよく「おかえり」と言えるような場所にしたい、密かに心のずっと奥の方でそう思っていた。
秋田への引っ越しまであと2週間。そんな中、仲の良い元職場の後輩がトークすると聞きつけ、駆けつけた企画メシのプレイベント。
流れるように辿り着いたその場で、私は自分でも驚く決意した。
「秋田からここに通おう。」
鼓動が早くなっているのがわかった。その場のドキドキを秋田へ持ち帰り、企画メシに応募した。こうして秋田と企画メシの往復の半年間が始まった。
地元のフェスを考えるということは今の秋田と向き合ういいきっかけになった。人口は減少し続け、若者が働きたいと思える職の選択肢の幅が狭く、県外へ行ったきり戻ってこない人々が多い。出来れば、みんなが秋田に生まれてよかったと再認識し、今よりも若い世代が生き生きと暮らせる未来に繋がるようなフェスにしようと決めた。
「AKITA KAKERU FESTIVAL(アキタカケルフェスティバル)」
代々受け継いできたこの地に根付く秋田の良さを別の何かと化学反応させることで、あたらしい色の秋田を作ろうというコンセプト。例えば、秋田音頭・西馬音内盆踊りなどの秋田の伝統×今の音楽シーンを駆け抜けるトップアーティストがコラボするライブ企画や秋田のおじいちゃん・おばあちゃんの農業ファッションを県出身の服飾系の学生がプロデュースするファッションショー企画など。
秋田にこのフェスが来ると知ったらワクワクが止まらない、自分の頭にどんどん広がっていく妄想を企画書に落とし込んで行った。
企画メシ「フェスの企画」当日。講師として来てくださったTHE FORESTの森正志さん(@morimasashi)から有難いことに企画書にコメントを頂くことができた。
「これをやりたいというイメージが想像できる。伝わってくる。」
私が人生で初めて行ったフェスが森さんが携わる「氣志團万博」だった。沢山のオーディエンスと一緒に、ジャンルを問わない音楽たちを身体いっぱいで味わい、フェスってこんなに楽しいのかと思わせてくれた。2014年に感じた幸福感がずっと消えずに、気づけば5年連続で参戦している。
「氣志團万博」を通して毎回ワクワクを貰っている森さんに、私が考えたワクワクを受け取ってもらいたいと挑んだ企画書。伝わっているんだとわかった瞬間、万博で味わった熱さが全身に込み上げてくるような感覚で、とても嬉しかった。
観客としての経験、バイトとしての経験、フェスを作る経験、フェスに出る経験、すべての経験からの学びが今の森さんを動かしている。
みんながいつでも振り返られるような大きな旗の印をど真ん中に作る。「このためにこうしたいんだ」という強い意思を記した文を各所に送り、時には敵陣にいた相手でさえ粘り強さと熱い想いで味方につけ、仲間を増やしていく。クリアな望遠鏡で隅から隅まで見渡し、的確な指示を伝えていく。時には人手不足のところに自ら出向き、手助けできる。そして人々の想いを集約した大きな国を作り上げていく。
自らの行動で、将として軍勢を率いる指揮官。歴史本が愛読書の森さんは現代の武将のような存在に思えた。
フェスが好きでしょうがないという衝動で貪欲に突き進む姿勢。面白いアイディアを生み出すための発散と収束との反復。意思のある、意味のあるイエスやノーの伝え方。
この日、森さんから得たものを背負い、自分も企画の実行部隊として動いて行かねば。
昔から自分には飛び抜けたものがなく、なんもないと思い込んでいた。例え失敗したとしても自ら動くことで、みんなの熱量が結集したフェスのような企画メシの場で自身が浮き出るような何かをはっきりと掴みたい。そして、その見つけた何かを地元・秋田で発揮したいと思う。
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