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ネガティブなりにポジティブ
梅雨だ。
私は基本気候に恵まれない女であるにも関わらず、雨が嫌いではない。だから、梅雨には災害にならない範囲で思う存分雨が降ってくれればいいと思っている。
今日はいよいよ冷蔵庫内の食材が底を尽きそうだった。肉類は冷凍された少量の豚肉だけで、今日の昼は乗り越えられても晩御飯は確実にひもじい思いをすることになる程度しか残されていなかった。
贔屓にしている薬局には食材も売られており、大変私のお気に入りショップである。片道徒歩5分程度。
今朝は小雨だが、この程度なら問題ない。なんなら小雨のおかげで暑さが緩和されている。買い物チャンス!
ウェザーニュースとも相談し、折り畳み傘とリュックで家を出る。何故だか伊達メガネまで掛けて、誰に見せるでも無い自分による自分のためのオシャレをした。
信号が上手くいった時にはすごくラッキーな気分になる。今日がそれだった。
小雨の中歩いている分を、ささやかなラッキーでお返ししてもらったような気分だ。
今日は水曜日。私のお気に入りショップはポイントが多く付く日であり、日頃より繁盛している様子だった。
私はいつもこのお店ではセルフレジを利用している。ここではセルフレジを利用した時だけレジ袋が無料になるのだ。みんなそれに気付いていないのか、多くの人は有人レジに並んでいる。
私は人見知りだからという理由で無人レジを利用するが、レジ袋まで無料になるとは そちらを選ばない理由が見つからない。あと自分でバーコードをピッピッとやるのは、幼少期の夢でもありなんだか気分もよい。
リュックをパンパンにして、爽やかな気分で店を出ようとした。と同時に目に飛び込んできたのは、荒れた天候であった。
「え」
私はひとりで買い物に来ている。しかしハッキリと「え」と発声した。誰がどう聞いても、「え」であった。
さっきまで小雨だったのが、ここまでになるのか。
何故もうあと5分程待ってくれなかったのか。など色々な感想を持ったが、とりあえず私は家に帰らねばならない。
折り畳み傘という頼りになるようで信用ならない相棒と共に帰路に着く。
「行き道は小雨で帰り大雨とか一番最悪なやつだ。いや?あの食材の量で今日買い物に行かない選択肢は無かったから、一番の最悪は行き道も帰り道も大雨の方かもしれない。大丈夫、これは二番目の不幸。」
などと考えながら歩いた。
大雨の帰りこそ信号に恵まれたかったが、ここぞとばかりにしばらく青になるのを待たされた。さっきのプチラッキーで埋め合わせ出来ないほどのプチ不幸が、今私に雨と共に降りかかっている。
急に大雨になったので、あちらこちらに水溜りができている。それを大股で避けていたのだけど、最後の方はもう濡れすぎて跨ぐ気さえ失っていた。
これを跨いでも、踏んで通っても、私はどのみちビッショビショのグッショグショエンドを回避できない。
オマケに、折り畳み傘は途中何度かコウモリになっている。
私は嫌われ者の雨を嫌いじゃないと言っているのに、その雨から嫌われている。
大学生の時、みんなからイジられすぎている人に私だけはと優しくしていたら、私にだけ当たりがキツめになったあの野郎を思い出した。
そんなつもりはないが、「嫌われ者の雨を好いてやっている」みたいな姿勢が雨を怒らせているのだろうな。だから、あの野郎さんもきっと同じ思いだったのだ。
帰り道の運気は完全に「凶」だったので、帰り道の要所要所で「どうせ車来るんでしょ?」とか「どうせここ曲がってくるんでしょ?」とか荒んだ私の心の声があったけれど、私の予想は当たらず難なくクリアできた。
絞る前の雑巾くらいになって帰宅した後も、「どうせ私が家帰った途端晴れるんでしょ?」なんて言ってみたものの、嬉しくか悲しくかそれも当たらず雨は強く降り続けていた。
私が「どうせ」と言い それがハズれる毎に、私の不幸な現状は「二番目の不幸」から「三番目の不幸」になり、どんどん格下げされてゆく。
そうして「実はそんなに不幸は起きていなかった」ということに出来た。
大雨ではあるものの、無事に帰れたのでオールオッケーである。ネガティブなりにポジティブ。
なので、今日の私のトップ不幸エピソードは「アイスを買い忘れてしまった」である。
まで打って投稿せずに日を跨いだ。