桃井あずき と金魚すくい
桃井あずきの趣味と言えば、金魚すくい!
腕前もなかなか上手!
綾瀬穂乃香さんの前で『金魚すくい大作戦』を披露する場面もあります。
(手先が器用なのかな?)
それにしても、金魚すくいって、趣味に書くもの?
『特技:金魚すくい』ではなく、『趣味:金魚すくい』
趣味って普通は日常の余暇にやることですよね?
アイドルのプロフィール、最初に目にする自己紹介
そこに、『趣味:金魚すくい』
ちょっぴり不思議なことのように感じませんか?
この記事では、『桃井あずきの趣味:金魚すくい』を、様々な視点から見ていきます!
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目次
1. プロフィールの『趣味』って、普通は何を書く?
2. 金魚すくいは趣味?
3. 他の趣味?
4. 金魚すくいってなんだろう
5. お祭り
6. 桃井あずき と金魚すくい
7. 結び
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1. プロフィールの『趣味』って、普通は何を書く?
プロフィールは、相手に自己紹介するものです。
つまり、紹介する相手がいます。相手に合わせた紹介になります。
では、『アイドルのプロフィール』は誰に向けて書かれたのでしょうか?
ファン向け?プロデューサー向け?
想定する相手は分かりません。考えてみると面白いかも。
でも、『アイドルとして売り込む』ために書かれたのは間違いありません。
そんな『アイドルのプロフィール』を見てみましょう。
項目を見てみましょう。身長、体重、3サイズ、etc……
ほとんどが身体の特徴か、出生に関わる情報です。
アイドルが個性を出して自分の好きなことを書けるのは、
つまりアイドルのアピールチャンスは、唯一『趣味』の欄だけ、なのです
(世の中には3サイズや体重、出身地を面白いことにするアイドルもいるようですね)。
桃井あずきは、「わざとオーディションに遅刻する」という大胆な大作戦で自己アピールをするような子です。
この『趣味』の欄 = アピールチャンスを見逃すとは考えにくい。
きっと、『自分らしい趣味』を書こうとしたはずです。それほど自覚的でなくとも、「なにが良いかなー」くらいには悩んだはずです。
そうして最後に書かれたのが、『金魚すくい』です。
「『金魚すくい』こそが、桃井あずきらしい趣味である」
意識的か無意識かは分からず、思いの強さは大きくないかもしれませんが、他ならぬ桃井あずき本人がそのように認めたのです。
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2. 金魚すくいは趣味?
個人的には、「金魚すくいが趣味です!」と言われると「ん?」と思います。
なんだか、「金魚すくいが趣味」ということに違和感を感じるのです。
そもそも趣味とはなんでしょうか? 辞書的には次の通りです。
仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄
これによると、金魚すくいは何の問題もなく、趣味です。
一方で、Wikipedia の説明には次のようにあります。
趣味とは、人間が自由時間に好んで習慣的に繰り返しおこなう行為、事柄やその対象のこと
『趣味』には、『習慣的に行われるもの』という意味が隠れています。
金魚すくいと言えば、夏祭り、縁日の代名詞です。
縁日は一年に数回ある程度で、間違っても習慣的に開催されません。
「(非日常的な)金魚すくいが、趣味 (日常的な物事) だ」
これが違和感の正体のようです。
本稿ではこの違和感を大事にしたいと思います。
これを踏まえると「金魚すくいは趣味か?」とは、次の問いに等しいです。
出身が長野の桃井あずき、習慣的に金魚すくいができていたのか?
世の中には、数は少ないですが、金魚すくいができる釣り堀なんかもありますし、金魚すくい専門のお店もあります。
しかし、習慣的に金魚すくいをするためには、通わねばなりません。
長野で釣り堀に通うのは、近所、自転車圏内でない限りは大変です。
さらに、桃井あずきには家業の手伝いもあります。
桃井あずきは、家業の手伝いをするために、部活動などの課外活動をしていません。
そんなあずきが、休日のたびに釣り堀等に通ってまでして、金魚すくいを習慣的にやっていたのでしょうか。
定期的に金魚すくいができたかもしれません。しかし、日常的にやるのは難しいでしょう。
要約するとこんな感じ。
Q. 金魚すくいは趣味か?
A. 辞書的には趣味と言えるけど、習慣的に行うのが難しいから、趣味と呼ぶのに違和感があるかも。
これを踏まえ、次の仮説を提案します。
桃井あずきにとって、『金魚すくい』は非日常の事柄である
にも関わらず、
桃井あずきはプロフィールの趣味に、敢えて『金魚すくい』
と書いた。
「金魚すくいの非日常性」を桃井あずきが自覚していたかどうかは分かりません。「趣味には日常的な事柄を書くべき」とは思っていなかったかもしれません。
しかし、日常的な他の事柄ではなく、あまり日常的な事柄とは言い難い『金魚すくい』を選んでいます。これは間違いないでしょう。
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3. 他の趣味?
『金魚すくい』以外にも、桃井あずきらしい趣味はありそうなものです。
部活動、ファッション、家事手伝い、etc.
『金魚すくい』よりもっと日常的な趣味はなかったのでしょうか?
考えてみましょう。
まず、部活動などに関係する趣味はありません。
桃井あずきの実家は由緒のある呉服屋です。
桃井あずきは、家業の手伝いのため部活動などの課外活動をしていません。
次、勉学や掃除といったマジメな内容は、趣味欄に書かないでしょう。
[サマーバケーション] では宿題に追われる桃井あずきが見られます。風呂敷を畳むのは苦手らしいですし、セクシー旋風を巻き起こして超☆風紀委員に取り締まられています。
桃井あずきは型破りな子です。
そういうマジメなコトは、あずきらしくはないでしょう。
最後に、桃井あずきはきっと、服飾関係を趣味に書くという発想が出てこない子だと思います。
家業である「呉服屋を継ぐ」ことをかなり意識していて、部活動等をせずに呉服屋の手伝いをしており、それでも呉服も家のことも大好きで、Pに家の呉服を売り込もうとするほどです。
着物巡り、呉服の物色、着まわしの探求など、呉服業に由来するあれこれは趣味になりそうです。しかし、呉服業や服飾関係に関しては、大なり小なり、(下手するとアイドル業よりも) 仕事意識を持っていることでしょう。
仕事意識のあるものは、趣味の候補から外れてしまいます。
以上を踏まえて、『桃井あずきの趣味』の条件を整理してみましょう。
(1) これまでに経験したことのある、桃井あずきが好んでいる事柄
(2)『桃井あずきらしい』といえる特徴を持った事柄
(3) 仕事意識のない、服飾から離れた事柄
部活動等をしていないので、(1)の条件を満たす事柄が減ります。
呉服はもはや桃井あずきのアイデンティティーなので、
(2)と(3)を同時に満たす事柄が一気に減ります。意外と選択肢がない。
そして、『金魚すくい』はこれら全ての要件を満たしているのです。
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4. 金魚すくいってなんだろう
金魚すくいとはどんな遊戯でしょうか。
水に濡れると破けやすくなるポイを使って金魚を掬い上げる、機敏さやポイの扱いの細やかさ、大胆さが必要な遊戯です。
桃井あずきはどんな人間でしょうか。
活発で、行動力に溢れ、いつも楽しげにしていながら、時折妖しげな表情を魅せ、突飛な発想力があり、色んな大作戦を立てては大胆に実行する、可愛らしい子です。
金魚すくいは、桃井あずきの活発さや、独特の細やかさ、大胆さを表すのに適した遊戯です。
さらに、金魚は名の通り、豊かさの象徴、縁起物でもあり、長いひれで泳ぐ優美で、しかし小さく可愛らしいその姿が好まれてきました。
着物を売る呉服商の、呉服を着回す小さな体躯の桃井あずき、実は金魚との接点があるのかも?
そういった点も大事ですが、本命はこれ。
『金魚すくい』 と言えば、 『お祭り』
金魚すくいは縁日の屋台の定番です。
『金魚すくい』の背景は『お祭り』が自然です。
縁日の屋台には他にも色々な屋台があります。それらはどうでしょう。
「金魚すくい」「水ヨーヨーすくい」「射的」「輪投げ」「型抜き」
「輪投げ」や「射的」は縁日らしいとは言い難く、「型抜き」は大胆な桃井あずきにふさわしいとは言い難いです。
「金魚すくい」も「水ヨーヨーすくい」も、縁日らしい屋台ですが、遊戯として難しいのは「金魚すくい」であり、より歴史と『和』を感じさせます。
水ヨーヨーをびょんびょんさせる桃井あずきも良いですが、取った金魚と共に歩く桃井あずきは、その可愛らしい少女性が良い強調されます。
『金魚すくい』は、縁日、お祭りと結びつけられる事柄の中で、もっとも桃井あずきらしい特徴を備えた事柄なのです。
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5. お祭り
『金魚すくい』は『お祭り』を想像させる単語です。
では、なぜ『お祭り』を想像させるようなものをプロフィール、自己紹介に書いたのでしょうか。
『お祭り』こそが桃井あずきの象徴だからです。
桃井あずきは活発な子です。
いつも楽しげに周りを巻き込んで楽しい空間を作り上げる子です。
『大作戦』という言葉で周りを盛り上げ、お祭り騒ぎを起こす子です。
桃井あずきは呉服屋の娘です。
夏祭りは、一年で最も着物がよく売れる期間だと思います。
お客さんがたくさん訪れ、綺麗な着物を試着する姿が見られる期間です。
桃井あずきは由緒ある呉服屋の娘です。
由緒ある呉服屋は、その地域の集いでも権威を持ち、お祭りでも何らかの役割を担うことでしょう。
大人が集まって、みんなで地域全体を盛り上げるお祭りを開催するための、大作戦を練っているのです。
桃井あずきは、お祭りそのものだけでなく、その準備、みんなで楽しい空間を作り上げていく過程が大好きな子ではないでしょうか。
文化祭でいえば、文化祭そのものだけでなく、文化祭に向けてクラスで一致団結して準備を進める期間を好む子ではないでしょうか。
お祭りは一年でも最上級に楽しい日でしょう。
そして、部活動などをやっていない桃井あずきにとって、
「お祭りに向けて街ぐるみで準備を進める期間」というのは、
最も魅力的な「大作戦」に映るのではないでしょうか。
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6. 桃井あずき と金魚すくい
桃井あずきの『趣味:金魚すくい』は、『お祭り』の象徴と考えられます。
『お祭り』は、街全体が活気溢れること、着物が大活躍すること、お祭りに向けて街ぐるみで大作戦を立てることなど、
アイドル桃井あずきを象徴する、重要な事柄です。
想像ですが、桃井あずきは『趣味』を書く際に、
自分らしく、楽しくて、ワクワクするようなものを書こうとしたのではないでしょうか。
しかし、趣味と言えそうな身の回りの事柄、家業と関連の深い服飾関係ばかりで、ピンとくるものがなかった。
『楽しい、ワクワクするもの』ってなんだろう。
そうして考えた結果、その準備過程も含めて幼いことから親しんできた『お祭り』が、その屋台の『金魚すくい』が、自然と浮かんだのではないでしょうか。
日本文化の世界観には、『ハレ』と『ケ』があります。
『ハレ』とは非日常、お祭りや儀礼に対応します。
『ケ』とは『ハレ』の反対である、日常に対応します。
『お祭り』、そして『金魚すくい』は『ハレ』に対応すると想像されます。
アイドルも、『晴れ舞台』に立つ存在であり、
桃井あずきの『趣味:金魚すくい』は、アイドルとしての桃井あずきの、その『ハレ』らしさを象徴する働きをします。
『ハレ』の存在、アイドルとしての桃井あずきの象徴が『お祭り』『金魚すくい』ならば、
『ケ』の存在としての桃井あずきの象徴は、何になるのでしょうか。
それはきっと、呉服関係になるのでしょう。
呉服関係は、仕事意識があるために趣味に書かれない、と3.で述べましたが、むしろ、無意識かもしれませんが、アイドルとして、
『ケ』の象徴である服飾関係よりも、『ハレ』の象徴である『金魚すくい』を優先したのかもしれませんね。
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7. 結び
一見すると、桃井あずきの『趣味:金魚すくい』は珍しい、というか、
「なぜ金魚すくい?」と思わされます。
しかし考察を進めていくと、『趣味:金魚すくい』は、
むしろ「これしかない」と思わされるような、
素晴らしい『プロフィール大作戦』だったと感嘆させられます。
『趣味:金魚すくい』だけでも、このくらいには考察できる桃井あずき、
これは氷山の一角。この他にも、色々な魅力が詰め込まれています。
そんな桃井あずきのプロデュース大作戦、みなさんもいかがですか?