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知識整理のデザイン 「デジタルガーデン」
みなさんはどのように普段知ったこと、思ったことをまとめていますか?
本に付箋を貼る、付箋に書き出す、Campusノートでまとめる。色々な整理の方法がありますね。
一方で、断片的な情報を接続して自分の思考の網にするのは、意外と頭の中でのみ作られていることが多いかもしれないです。
それを例えば、自分の思考のつながりを見えるようにできたら、あるいはさまざまな状況においてすぐ取り出せるようにできたら、それを実現できるかもしれないものとして「デジタルガーデン」を紹介したいと思います。
デジタルガーデンとは、個人が構築するウェブ上の公開スペースで、知識やアイデアを育てたり、整理したりする場です。
ブログやSNSとの違いとして、時間軸に依存しない情報の蓄積や発展を目的として、非線形な構造を持つことが特徴です。
個人的にほかのアウトプットのメディアと違う一番大きな部分は、「コミュニティに依存しない」「他者への発信を目的としない」点だと思います。
前者はデジタルガーデンそのものが他者からの評価や広がりをせずにそれぞれが独立した「庭」のように存在しているため、エコシステムとして外部からの干渉がない点です。
家屋の庭のように、誰かが家に訪ね、縁側に座って共に庭を眺めることはできますが、訪問者が勝手に庭を荒らしたりはできないということです。
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また管理者(発信者)である自身も、それが外部とつながっていないからこそ、自分が本質的に関心があることのみをアウトプットし、整理しつづけることができるという点で、誰かに見られることを考慮して書かなければいけないというハードルがない「他者への発信を目的としない」という側面があります。
背景
ロンドンのデザイナーMaggie Appletonの以下の記事によると、「デジタルガーデン」の概念は、Web聡明期の1998年、Mark Bernstein氏のエッセイ『Hypertext Gardens』にて、ウェブを迷路のようなコミュニティ空間と捉え、ユーザーが自由に探索できる体験を提唱したとあります。
2015年のMike Caufieldの「The Garden and the Stream: a Technopastoral」という講演で、情報の流れ(ストリーム)と庭(ガーデン)を対比し、ウェブ上での知識の蓄積と探索の重要性を強調したことが、現在の「デジタルガーデン」の「ガーデン」部分の解釈に繋がっています。
一方でこのような知識の体系化や、ナレッジの整理などはいくつか挙げることができ、たとえばAndy Matuschakの「Evergreen Notes(常緑ノート)」や、Niklas Luhmannらの「ツェッテルカステン」などのなかに、この「デジタルガーデン」を位置付けることができるでしょう。
特徴
「デジタルガーデン」たらしめる所以は以下の点にあると思っています。
時系列に縛られない構造
ブログは投稿が時系列で整理されますが、デジタルガーデンはトピックや関連性を基に情報を構築します。(バイディレクショナルにつながりを持つ)
永続的な進化
1度書かれた記事やノートは固定されがちですが、デジタルガーデンでは内容が常に更新・成長します。(Scrapboxや、ZennのScrapsに近い)
個人的な所有と自由度
ブログやSNSはプラットフォームに依存しますが、デジタルガーデンは個人が所有するウェブサイト上で管理されることが多いです。(クラウドサービスを利用することも可能です。)
どこからはじめるか
わたしも自身で実践しながら整理をしていますが、そのプロセスをもとにどう始めたら良いかイメージを掴んでもらえたらと思います。
まず手軽に自分の手に馴染むツールを選びます。
自分でウェブサイトを構築する前に、メモの癖を構造的にすることをまず慣れることを優先し、既存のメモツールから選びました。特に自身で構築することをゴールに、マークダウン形式で書けることがどのプラットフォームでも活用できる記法だとし、Obsidianを選びました。
Obisidianは基本.mdファイルごとにページが作られる構造なので、どの分類でノートをまとめていくかを考えます。
思ったことをすぐまとめられることが正義とし、なるべく階層を深く広くしない構成にしました。
/note <- インプットのメモ(基本すべての情報はここにまとめていく)
/idea <- ブログや記事のアイデアを書き出すところ
/bookmark <- 本のメモ
/files <- ノートの中に添付する画像などアセットファイルなど
/img
/diary <- デイリーノート(日々のタスクや、その日のふりかえりなど)
{YYYY-MM-DD}.md
基本的に/note以下にすべてのノートにまとめているため、どのジャンルについてのものなのかを整理するために、トピックの分類をきました。
生活で出会うすべての知識をまとめていくため、広いジャンルを整理する図書分類法であるデューイ十進分類法 (Dewey Decimal Classification)を自分なりに変えたものにしています。Obisidian上でこれをタグとしてそれぞれのノートに記載しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1734845362-FC51QmZTxvcW7GYzlarDRBko.png?width=1200)
Obsidianはモバイルやデバイス間のsync機能や、Macのショートカットで毎日8時にその日のデイリーノートが生成されるようにし、日々の生活でいつでもメモを取れるようにしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1734846370-qIVylcAwWXMm0H4NnhFUeZSY.png?width=1200)
2年ほどこのメモの方法を続けてみて、ふとしたときにあれどこにメモしたっけなと思ったときにすぐに探して見つけることができるのが現在の最大のメリットではありますが、Kindleのメモを同期したり、物理として持っている本のメモなどをどう取り込んでいくかまだまだ拡張性の方法は探索しがいがあります。
最後にもし自身でもやりたい方への参考を残しておいて、この記事を終わりにしたいと思います。
好きなデジタルガーデン
さきほど紹介したMaggie Appletonのデジタルガーデン。
アイデアノートの状態を、Seedling(苗木)、Budding(芽咲)、Evergreen(常緑)を示しているのが好きです。
デジタルガーデンを構築するためのツール
以下は主にフローではなく、ネットワーク型で知識を整理できるツール・フレームワークです。
Quartz
Obsidian + Obsidian Publish
Roam Research
この記事は、YUMEMI Design Advent Calendar 2024の23日目です