ラストダンスが悲しいのはイヤッッ

東京にこにこちゃん「ラストダンスが悲しいのはイヤッッ」を観劇して随分時間が経った。その間、俺は常にこの公演について考えていた。圧倒的な出来栄えの前に、もはや思考が追いついていなかったからだ。

考えがまとまった今、俺はこのnoteに感想を残そうと思う。

俺はにこにこちゃんの暴力性が好きだ。圧倒的暴力で客を殴りつけるその様は観ていて気持ちが良い。今回もそんな暴力性が全面に出ていた。

まずは脚本のテキトーさ。これは凄い。しじみ演じる余命幾ばくもない美笑という少女の終活がメインストーリーなのだが、美笑が何故死にかけてるのか言及されない。なんで死ぬんだよ。随分元気じゃん。

凄い暴力。最後死ぬんだから、死因なんてどうだって良いだろって考え。他の設定もガバガバ。相変わらずその辺もにこにこちゃんらしい。堪らない。勃起する程の暴力。

でも何が凄いってそんなにガバガバな設定なのに役者の実力と確かな演出力で笑いと涙をもぎ取る。天才しかいない座組かよ。

そして役者。もう粒揃い。凄い。

まず主人公のしじみと父親役の栗田ばね。この二人が主に涙をぶん取りにくる。確かな演技力は圧巻。感情をぶつけ合うシーンなんて泣かずにいられねぇわな。泣かなかったけど。上手いのよ。なのに笑いも取りにいかされんの。何を思って演技してたの?気持ち悪くならなかった?

それからコーディネーター役の青柳美希と直木ひでくに。技巧派よ。DVのシーンなんてずっと笑ってた。表情が凄いんだよね、この二人。力加減も分かってるから、目立っちゃいけないシーンはちゃんと大人しくできんの。キモいわ。

九歳児役のたかぎ道産馬とその母親役の矢野杏子、あと坊主役のてっぺい右利き。出てくるだけで面白い。化物共。制御が利かない。加減もできない哀れな怪物達。つーかもう舞台裏にいるってだけで面白い。だから出てくんな。裏でジッとしとけ。

尾形悟と成瀬大樹。この二人は最もにこにこちゃんの暴力性を体現してる。スベってんのに間を使う。観客との殴り合いでノーガード。しかも負けてんの。スベるのが怖いとか多分無い。スベっている瞬間を全身で味わってる。そうなりゃもう無敵だよな。

ぐんぴぃは笑いの勘がずば抜けてる。空気によって間も緩急も全部変えてんだと思う。お笑い瞬発力の塊。お笑い畑だもんな。エグいよ。バキバキ童貞でバズってる場合じゃねぇよ、この巨漢。

あと誰よりも石井エリカよ。美笑の母親役なの。上手すぎんのよ。テクニカルな笑いからのシリアスからのパワープレイの笑いのシーンがさ、キレイなグラデーションなの。できる?普通。天才女優。舞台を駆け回り、髪をかきあげるその様、惚れるわ、こんなもん。コイツが出てるシーンはずっと勃起してたわ。いい演技見ると勃起すんのよ、玉じろうは。

もう最高だった。長々書いたけど伝わった?にこにこちゃんの暴力性。怒鳴るとか、殴るシーンがあるとかそういうんじゃないのよ。間が、笑いの質が、流れが、圧倒的暴力で作られてんの。

大体、美笑って役名どうよ?美しい笑いなんて取ったことねぇだろ、こいつら。いい加減にしろって話。

オチは葬式で皆でダンス。アジカンに合わせて。踊る皆を見ながら切ない表情のしじみ。

よくできんな、こんなシーン。もう病気だよ、あの流れでこんなシーンやる奴。病気でーす。

散々やりたい放題やって最後の最後でキレイにまとめやがんの。こんな暴力の前じゃ客も泣くわ、そりゃ。

もう負けた。純愛だよ、ディズニーだよ。馬鹿が。狂気とか混沌とか、そんなもんはとうに萩田の中にはねぇんだよな。

凄まじいまでの暴力と嗚咽する程の純愛。それが東京にこにこちゃん。

これからも頑張れ。俺はこの作品のDVDが出たら速攻買って、観ながらめちゃくちゃシコる。決めたわ。

言われたから書いたけど、これで良いかな?萩田くん。

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