【日記#8】プレイバリューの一等賞になりたいの、俺は。
ヨホホイ!(時候の挨拶)
朱上言です。
戦隊ロボのプレイバリューとは、
なんぞや。
なんぞや。
なんぞやと思うわけですよ。
僕は結構「プレイバリュー」という言葉を安易に使う方の人間で、Twitterでもnoteでもかなりの頻度で言っている。
基本は「遊びごたえ」的なニュアンスのことを固有の言葉でわかりやすく伝えたくて頼ることが多いワードなのだが……
では、戦隊ロボにおけるプレイバリューとは具体的にどういうものなんだろうか。
そんなことを漠然と考えながら自分のツイートを遡っていたら、こんな過去ツイを見つけた。
ツーカイオー。
そうだ、ツーカイオーが解禁された時、
「これプレイバリューすげえな!」と騒いでいたんだった。
当時僕が発売前情報を見てそう感じた理由は主に3つ。
まずは、単純に再現できる形態の圧倒的な多さ。
・クロコダイオー
・クロスカイオー/クローリングオー
・ツーカイオーカッタナー
・ツーカイオーリッキー
・クロコダイバズーカ
5パターン、6種の形態をワンパッケージで再現できる。
今見てもすごい絵面だ。
前年の魔進戦隊キラメイジャーが「ロボ同士の合体をしないかわりに単体での遊びをより深いものにする」というコンセプトで開発されていながら、どれもかなりアッサリとした仕上がりになっていたことに対してやんわりと不満を持っていたこともあり、
目に見えて気合いの入った単体完結型の商品を出してきてくれたことに喜びがあった。
2つめに、合体ギミックの面白さ。
・戦艦がSDキャラをスプリングによる瞬間変形ギミックで飲み込み、ロボに変形
・SDロボの入れ替えとロボ単体の前後の裏返しで別形態に
なんだこのクソ面白そうな仕様。
スプリングギミック。換装、形態変化、瞬間変形。
どれも戦隊ロボによくあるセールスポイントばかり。
楽しさの特上海鮮丼だ。
最後に、キャラクターフィギュアとしての側面。
劇中でも印象的なキャラクターとして描かれるリッキーとカッタナーのフィギュアがDXの形態を取って販売されるという喜び。
完全にスケールが合うとまではいかないものの、ソフビと合わせて並べることでゼンカイジャーの戦士たちを揃い踏みさせられる点はかなり魅力的だ。
ゼンカイオー2種がソフビのゼンカイザーとスケールを合わせて設計されていたこともあり、ボイトイの規格で揃えていける楽しさは何者にも変え難いものである。
これら3点が合わさった完全無欠のスーパープレイバリューロボがやってきたと胸を躍らせていた2021年の春。
解禁から発売まで1ヶ月以上開いていたこともあり、期待は膨らむばかりだった。
そして迎えた発売日。
2021年の6月5日。
ウッキウキで購入し、一通り遊び終わって出た一言。
「あれ……?」
いや、面白い。間違いなく。
面白いんだけど、なんかこう……
あれ…?って……。
なんか思ってたほど感動がない。
誤解のないように言うと、前述したすべての要素は漏れなく含まれている。
沢山の形態にできる、ギミックも申し分ない、キャラの立体物としても良い。
いろんなことができてすごい楽しい。
なのに何かが「ハマらない」。
そう感じていた。
僕はこのモヤモヤの正体を掴めず、自分の中で何かに「蓋」をした。
あれからもう丸2年ほどが経過しようとしているが、あの時感じた違和感の結論は出ていない。
今がそれを考える時なんじゃね?
と、思い立ったのがこの記事の本題なのである。
ということで、早速モノを出してきてみた。
「DXツーカイオー ツーカイリッキー&ツーカイカッタナーセット」である。
まずは劇中でも非常に登場回数の多いツーカイオーの戦艦形態 兼 ゴールドツイカー一家の居住スペース、クロコダイオー。
たまたま近くにいたクワゴンと並べてみた。
ゴッドクワガタは他のシュゴッドがこまごまとくっつくので、結果的にロボ全体の7割くらいを占めるメカだが、
クロコダイオーはこれ1機でロボほぼの全てを担当するので、流石に体積がデカいなといった感じ。
さて、ここで先ほども紹介した6種の変形を早速やってみる。
まずは先ほどのクロコダイオー。
さらにクロコダイオーを上下に分割し、カッタナーとリッキーを搭乗させてクロスカイオーとクローリングオーに。
再び2機を合体。
パーツを変形させることでクロコダイバズーカに。
カッタナーとリッキーは置いているだけ。
続いてロボ形態への変形。
完成!
ツーカイオーカッタナー!
さらに、カッタナーの時と同様の手順でリッキーをレールにセット。
完成!
ツーカイオーリッキー!
以上が、DXツーカイオーの6段変形である。
なるほど、
ちょっとわかりかけてきたぞ。
確かにやれることはめちゃくちゃ多い。
ギミックも面白い。
ただ、それぞれの要素に必然性がなく、分散してしまっているのかもしれない。
まずは変形に絞って考える。
同じく多段変形を売りとする同時期の戦隊ロボ、DXキラメイジンと比較してみよう。
画像のように、キラメイジンは多段変形の中に大まかな「流れ」を設けて筋道を立てているのに対し、
ツーカイオーはそれぞれの形態に関連性がなく、クロコダイオーを中心としてばらばらに発展していくようなイメージになる。
結果的に、「実現している形態数は同じくらいでも遊びの中の『軸』の強さに差異が出る」という結果になっているのではなかろうか。
そういう意味では、僕はツーカイオーの多段変形は軸がブレている、と感じていたのかもしれない。
続いてギミック。
ツーカイオーのメインギミックは主にスプリングによる瞬間変形だろう。
これに関しては、単純に「ギミックを発動するまでの手順が多い」「その操作が合体上での必然性を持たない」辺りがモヤるポイントっぽい。
同じような瞬間変形に関しては、直近で虎龍攻神なんかが近いコンセプトなのだが、
このロボは、「コアメカとなるドンロボボルトをロボ本体にセットすると隠されていた頭部パーツが展開する」というギミックを持っている。
ギミックにより頭部を出現させるツーカイオーとかなり近いコンセプトだ。
それを踏まえて一度、ツーカイオーの合体手順を振り返ってみる
大まかにはこんな感じ。
そして、その中で「スプリングのギミックを発動するためだけに行われている動作」がこれ。
赤で囲った部分すべてである。
もちろん、"SDロボを飲み込んで変形"という特異なコンセプトを実現するためであるとはわかっているが、
それにしても合体に不要な手順が多いし、
虎龍攻神のように「スプリングによって展開する箇所がある」のではなく、実質的には「展開したものをスプリングでしまっているだけ」で、
合体のためのギミックとしては浮いてしまっている点に問題があるのだろう。
つまるところ、
多段変形もスプリングギミックもそれに至るまでの必然性や筋道がなく、
全体的にまとまりに欠くことこそが、
期待以上の玩具体験とはなり得ていない原因なのだろう。
これこそが、当時感じたモヤモヤの原因だったのだ。
なにかとんでもないDXツーカイオーアンチみたいな記事になってしまったが、玩具としての名誉のために言っておくと普通にめちゃくちゃ楽しいロボットであることは間違いないので、ここまでの話はあくまで僕の勝手な期待と実物への齟齬にケジメをつける自己分析であったと理解してほしい。
しかし、我々が玩具の良し悪しを考える時、特に発売前などで商品が手元にない状態だと「どれだけ沢山のことができるか」「どれだけ面白いギミックがあるか」など、事前に開示されている情報の端々だけを見て直感的に評価を下してしまう部分があるが、
こと戦隊ロボに限っては、
それ以上に遊びの中にある「動作の"必然性"」や「要素同士を繋ぐ"流れ"」のような、より複雑に連なった体験が大事になってくるのかもしれない。
そういった玩具体験としての厚みこそが、より深い意味での「プレイバリュー」なのだろう。
結局のところ、おもちゃって触ってみないことにはわからないことが多いんだなぁ。
と、散々話しておきながら月並みな結論に落ち着いてしまうのであった。
今日の日記はここまで。
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前回の記事も是非。
↑ここでも戦隊ロボについての考察を書いてます。
それでは、また。
おまけ。
本編でやってた回転モードチェンジを再現してみたgif。
今回からgifを使い始めてみたけど、結構可能性を感じる。
今後も使っていきたい。
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