熱波甲子園出場選手・熱ごりさんが語る 〜難関「ペットボトル倒し」への思い
真夜中の公園。わずかな明かりの中、大量に並べたペットボトルを前にひとりの男性が激しく腕を振っている──。その姿は一見すると不審者にも見えるかもしれないが、これは熱波甲子園に向けた、ある熱波師の真剣な練習風景なのだ。
(取材・文:天谷窓大)
初出場は総合18位。挫折からの一念発起
地元・北海道を拠点とする熱ごりさん。医療従事者として働くかたわら、札幌市の「湯屋・サーモン」、旭川市の「SPA & SAUNA オスパー」などで熱波師として活躍中だ。本業の性質上、熱波師の活動において本名や素顔を表に出すことは控えているという。
熱ごりさんが熱波甲子園に本格的に取り組むきっかけとなったのは、初めて参加した2023年春大会での”挫折”だ。「言い方悪いですけど、ちょっと熱波甲子園をなめてまして」。結果は総合18位。現実の厳しさが彼の中で火をつけた。
以降、熱ごりさんの練習は徹底的になった。「ペットボトル10本で練習したり、風速計自分で買って友達に手伝ってもらって風速の練習したり」と、本格的な準備を始めたのだ。
難関種目「ペットボトル倒し」を夜の公園で猛特訓
熱波甲子園の競技種目は、「ペットボトル倒し」「風力測定」「おもてなし演舞」「熱ッスル」の4つ。このうち、熱ごりさんが特に力を入れているのが「ペットボトル倒し」だ。
2リットルのペットボトルに水を10cm入れ、これを10本、ボウリングのピンのような逆三角形に並べる。競技者は1〜1.5mほど離れ、前か横、いずれかの位置から指定のバスタオルで風をぶつける。ペットボトルが風圧で机から1本以上落ちれば得点となるルールだ。
一見、なんのことはない競技に見えるが、風をうまくコントロールできなければ力が分散してしまい、ペットボトルをわずかに揺らすことすらままならない。百戦錬磨のベテラン熱波師ですら、2本以上を倒せる人はほとんどいないのが実情だ。総合上位に食い込むためには、この種目で1本以上ペットボトルを倒すことが必須となる。
熱ごりさんの練習場所は、自宅近くの公園。「昼間は子供たちの前でやるのはちょっと不審者になりかねないので」と、必然的に夜練が主体となる。「遅いと22時、23時になることもあります」。彼の姿勢からは、熱波への並々ならぬ情熱が感じられる。
「北海道の熱波を伝える」ために出場する
彼の目標は単なる個人の栄光ではない。「北海道にはいろんな熱波師がいたり、いろんないいサウナがあるよっていうことをお届けできたら」。北海道の熱波文化を全国に発信する使命感が垣間見える。
今年の熱波甲子園への意気込みを聞くと、熱ごりさんの目が輝いた。「やっぱり優勝目指して行きます」。それだけではない。「本州の方とお話できる数少ない機会なので、その交流の面もたくさんしていきたい」。技で出し抜き合うのではなく、全国各地の凄腕熱波師たちとの交流を、何よりも大切にしているのだ。
最近は本州への遠征のほか、サウナ用アロマの販売会社と協力して、熱波時にアロマを用いた際の香りの拡散実験にも協力するなど、熱波の技術を幅広い分野に活かしている熱ごりさん。真夜中の公園で黙々とタオルを振り、風を極め続けるその姿に、北海道へ「新風」を吹き込む意気込みを感じた。
<参考>
ゴリラ熱波師 熱ごりさん X アカウント(@neppa_gorilla)
湯屋・サーモン
SPA & SAUNA オスパー
熱ごりさんも出場! 熱波甲子園2024秋大会は2024年10月21日開催!
「ニフティ温泉」内特設サイトにて生配信も実施(11:30〜19:30)
次回「熱波甲子園2024秋大会」は、10月21日(月)に神奈川県横浜市「ファンタジーサウナ&スパ おふろの国」にて開催予定。北は北海道旭川市、南は沖縄県那覇市まで、全国各地から20チーム以上が参加予定です。
今回「ニフティ温泉」サイト内に熱波甲子園特設ページがオープン!
大会当日は11時30分頃~19時30分頃まで、競技の模様を完全生中継予定です。
熱波師たちのアツい風と魂をぜひ見届けてください。