やりちぎる女【サウナのサチコ『裸の粘土サウナー』(第17回)】
その女と出会ったのは偶然。ある温浴施設のレディースデイ。出入りが激しいせいで、ちっとも熱くならないテントサウナ。口には出さないが、誰もがこんなはずじゃなかったと思っていた。
するといきなり一人の女が立ち上がった。そして「私の汗がついたタオルで悪いけどっ」と言いながら、首に巻いていたタオルで室内の熱を攪拌し始めた。潔癖な私はすぐ外に避難しようと思ったが、時すでに遅し。女は私に向かってタオルを振り始めた。冷え切っていた室内のどこにあったのか、熱さの塊が私の体に直撃してきた。なんだこの女。
その女は熱波師だった。
ここから先は
2,337字
¥ 200
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?