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ライバー事務所G-QUEEN ~最後のコメント~

プロローグ:一通の謎のメッセージ

深夜2時。瑞希(みずき)はベッドに横たわり、スマートフォンの画面を眺めていた。今日もまた、どこか満たされない一日が終わろうとしている。アルバイト帰りの疲れを感じながら、何気なくLINEを開くと、見知らぬアカウントからのメッセージが届いていた。

「あなたの声を、世界に届けてみませんか?」

送り主は「ライバー事務所G-QUEEN」。

「詐欺っぽい…」

そう思いながらも、なぜかそのメッセージが頭から離れなかった。最近の生活に飽き飽きしていた瑞希は、少しだけ勇気を出して返信してみることにした。

「興味があります。何をすればいいんですか?」

メッセージを送った直後、スマホの画面が突然暗くなり、謎の音声が流れ出した。

「この選択が、あなたの運命を変える。」

第一章:G-QUEENの秘密

翌日、瑞希はライバー事務所G-QUEENの説明会に招待された。案内されたのは高層ビルの一室。そこには、最新の配信機材がずらりと並び、スタッフたちが忙しく働いていた。

「すごい…。本当にこんな世界があるんだ。」

説明会では、G-QUEENの成功事例が次々と紹介された。新人から始めたライバーがわずか半年で月収100万円を超えた話や、配信をきっかけに夢を叶えたエピソードが語られるたび、瑞希の心は高鳴った。

だが、説明の最後に言われた言葉が瑞希を驚かせた。

「G-QUEENでは、配信中に奇妙な出来事が起きることがあります。しかし、それはあなたの成長の証です。怖がらずに向き合ってください。」

「奇妙な出来事?」瑞希は首をかしげたが、深く考えずにその場を後にした。

第二章:最初の配信と謎のリスナー

瑞希の初配信の日がやってきた。緊張しながら配信ボタンを押すと、すぐに数名のリスナーが入ってきた。

「こんばんは!初めまして、瑞希です!」

コメント欄には「がんばれ!」「初配信おめでとう!」といった応援メッセージが流れる。

配信は順調だったが、突然、ひとつのコメントが目に留まった。

「瑞希さん、気をつけて。」

「え…?」

コメントを書いたリスナーの名前は「N」。その後、何度呼びかけてもNからの返信はなかった。

気味が悪かったが、瑞希は気を取り直し、配信を続けた。

第三章:画角の呪い

配信を重ねるごとに、瑞希は徐々に人気を集めるようになった。だが、ある日、彼女はリスナーから同じ指摘を何度も受けるようになった。

「画角が悪いよ。」
「顔がコメントで隠れてるよ。」

何度調整しても改善されない画角。自分では完璧だと思っていたのに、リスナーには違って見える。

その夜、瑞希は画角について悩みながら、ふとNのことを思い出した。

「あの人、なんであんなコメントをしたんだろう…?」

その時、LINEにまたNからメッセージが届いた。

「あなたは選ばれた人間だ。真実を知りたいなら、最後まで配信を続けろ。」

第四章:真実に近づく配信

瑞希は次第にNの言葉を意識するようになった。そして、それをきっかけに配信に工夫を加え、リスナーとの距離を縮めることに成功した。

だが、ある配信の日、画面に異変が起きた。

突然、配信画面に自分の顔ではない「誰か」が映り込んだのだ。

「え…?」

視聴者たちは驚きながらも、コメント欄はなぜか静まり返った。その時、Nが再びコメントを投稿した。

「その人は、あなたの未来だ。」

第五章:衝撃の選択

瑞希は恐怖と好奇心が入り混じる中、G-QUEENのスタッフに相談した。すると、驚くべき事実を知らされた。

「実は、ライバー事務所G-QUEENでは、一部のライバーにだけ特殊な現象が起きます。それは、未来の自分や、リスナーの潜在意識が投影される現象です。」

スタッフは続けた。

「この現象を乗り越えたライバーは、圧倒的な成長を遂げます。しかし、途中で逃げた場合、配信を続けることができなくなります。」

瑞希は覚悟を決めた。どんな未来が待っていようとも、自分を信じて配信を続けようと。

第六章:最後のコメント

瑞希はリスナーとの絆を深めながら、配信を続けた。そしてある日、Nが最後のコメントを残した。

「あなたの声は、もう世界に届いている。これからは、自分の力で進んでいけるはずだ。」

その瞬間、瑞希は画面越しに大勢のリスナーの笑顔が見えた気がした。Nからのコメントはそれが最後だったが、瑞希の配信はさらに多くの人に届くようになった。

エピローグ:選ばれし者の未来

ライバー事務所G-QUEENでの経験を通じて、瑞希は自分の可能性に気づいた。奇妙な現象もすべては成長のためだったと理解した彼女は、これからも配信を続けることを決意した。

「これが私の運命なんだ。」

彼女の配信は、世界中の人々に勇気と感動を届けるものとなった。そして、その未来はまだ始まったばかりだった。


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