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塗装しなきゃよかった、という記憶
さて、フルアクションZは胸パーツと胴と頭部を接続できる段階になりました。
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胸と腹部にできる恐ろしい隙間をどうにかしようと試行錯誤してますが、多少40年前のキットには見えなくなってきましたよね。
このまま完成にしてもいいでしょうか? 笑
■塗装しなければよかった
さて今回は連休なので、ちょっと横道にそれます。
子供のころ、母に模型を買ってもらい、一生懸命作って完成した後、欲が出て色を塗ってみたくなり、手元にあった塗料を使って筆で塗ってみました。
つたないスキルですし、ろくな知識もないまま塗った模型はみごとまだら模様になり、まあ良くある話、「嗚呼、塗らなきゃよかった」的な出来になってしまうわけです。
最後に母がそれを一瞥して
『あんたそれ、塗らない方が良かったね 笑』
ととどめを刺す。
眩暈がするくらいのトラウマですね、塗装の失敗。幼心にもう二度と塗らないものかと魂に誓いました。
幼い私は恐らく水性絵の具で塗ったんだと思います。
それを模型を弄りまくった手垢などでギラギラになっていた表面に、直でいったんでしょう。
絵の具は薄めすぎると乗りも悪く、弾くしムラにもなりやすかったわけです。
乾燥する前に綺麗に塗ろうとして何度も筆を返すと、ますますムラがひどくなるのが筆塗りなんですが、そういった悪条件と悪循環が見事まだらの完成品を生み出すというわけです。
塗装はやり直しが効かない。模型作りの中では、「塗装」は「工作」とはちょっと次元の違う作業段階なので、よりきちんとした知識とツールが無ければ失敗せずに進めない、そんな気にさせられるんですよ。
■「塗らずに完成」は昔からある
プラモデルを組み立ててそれで完成!というスタイルは必ずしも最近の色分け模型で始まったわけではありません。
昔の単色グレーの戦艦や飛行機、ベージュ一色の戦車などでも、そういうスタンスのモデリングはありました。
ただ、ニッパー跡が目に付いてしまって綺麗に仕上げるのが難しいという方も多いはず。
でも、例えばプラモデルの表面をヤスリで削ると、元の状態に戻せないと思ってる方も多いんですが、今の高性能なヤスリを使うと完全に元の状態に戻せます。改造しても無塗装で完成、というスタイルもあながち無理ではないので、今回ちょっとヤスリ掛けしたパーツを元に戻す段階画像を見て頂きましょう。
(1)未処理の状態
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(2)400番サンドループフレックスで研磨
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(3)800番サンドループフレックスで研磨
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(4)バランサー グレイで研磨
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(5)バランサー ホワイト(水色面)で研磨
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(6)バランサー ホワイト(白色面)で研磨して完了
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(白色面)
サンドループFLEXは傷がつきにくいので、あいだの番手を飛ばしてますが、最終的には全く問題ないくらいの表面に仕上がります。
因みに、この一連の作業で掛かる時間は、ざっと3分満たない程度。
つまり単純にこの4点があれば、普通に表面処理しても元のプラスチックの状態に戻すことが簡単にできる、ということですね。ただし、もちろんこれも、プラスチックをリカバリするほんの一例です。
■身の丈サイズから始めればそれでいい
作業環境、健康面、揃える道具、予算等の様々なハードルがあるので、趣味に関して一律で「こうすべき」「最初はこれがいい」的な話は野暮です。
例えば〇mazonには入門用の〇〇セットのようなものが溢れてますが、「入門」というワードはある意味、何かを始める方には呪い(のろい)のようなもので、そもそも物事始める方に入門もへったくれもない。
免許をこれから取ろうという方向けの入門用の車なんてありません。
ですので、これから模型を始めるあなた。
失敗するのは怖いですよね。最近の模型は高価ですし。
なので、ぜひ最初はお近くの百円ショップでニッパーとヤスリ(必要なら接着剤も)を買って作ってください。
そして大事な模型を作る前に、安い模型をリサイクルショップで買って作ってみて、小さい失敗(経験)を繰り返してみてください。切り方、削り方、様々な試行錯誤が無ければ、良いツールなのか、悪いツールなのかも分かりません。
実は紙ヤスリやスポンジヤスリもメーカーや製品によって研磨後の面が全く違う。
ニッパーも種類によってカット面が全く違う。
これを使うとこうなるんだ、という実感を持つと、ツールの違いに気が付くことができ、次第に経験の蓄積と情報量が増えてきます。
自分にあったものを探す最初の一歩は、まずその辺にあるものから。
これを繰り返していくとちょっとづつ、大事な模型を作るのも全く怖くなくなります。そして、塗装は無しで完成でもいいんです。