改装21〜22週目。国宝級と言いたい村瀬左官。
残置物片付けより、改装トライアスロン状態。常に毎日限界まで挑戦(作業)している。
とりあえず古民家改装は大変。ひとつひとつパンドラを開けてしまうようなもの。おそらく普通に暮らしていたら気がつかなかった建物の老朽化を見てしまうこととなる。
例えば、外壁。屋根のどこかから雨が侵入し、モルタルにクラックが起きているのがわかる。モルタルとペンキの間にできてしまっている水脈により、ペンキが膨れ上がっている。おそらくこれを剥がし出すとどこまでも剥がれてしまうので、ある程度のところで止める。
例えばベランダ鉄部。サビを落として、ペンキを塗ろうとすると、サビがひどいところ、水がたまりやすい場所は内部からの腐食が進んでいる箇所を、つまり現実を見てしまう。サクサク、ポロポロといじればどんどん崩れていってしまいそうだ。
しっかりしている、といっても時代的に使用しているのは鉄、木。
ちょうど昨年新築を建てた作家のNさんが助っ人に来てくれたが、新築でよかったと思うのは、素材は確実に進化している。というようなことを言っていた。
一気修繕をやりだしたらキリがなく、永遠と再オープンができないので、緊急性の高いところから少しづつに手をいれていくしかないだろう。
ようやく正面のデッキを張った。玄関入り口は、もともと窓だったところを改造しているので、少し高い。その床レベルまで広めデッキ階段で4段ほど上がる構造となった。
より正確にかくと、1段目は土とセメントの土間階段。
2段目〜4段目がデッキ材だ。
引き直した水道やガスのパイプが壁面に沿って配管されているので、ハイプスペースも作り、土間階段より土多め配合のソイルコンクリートで左官仕上げとなった。
この日は、祭日だったため助っ人に鵜の木時代のご近所お客様のYさん、出張南インドカレーでおなじみのTくんがきてくれた。
Tくんは手の方がやりやすいと、かなりナチュナルアフリカンスタイルで左官をしていた。
細かい作業はたくさんあるものの、大きな改装が終わりつつあるため、いつに何を行ったか記憶が朧気である。
鮮明な記憶と言えば、職人中の職人、左官のプロのM左官のMさんに来ていただき、ワークショップスタイルで、外壁補修と茶室の漆喰を行ったことだ。
左官デーは2日間。
1日目は外壁と茶室の漆喰のための下地。
この日の助っ人は3人。
何度も来てくれているスーパーCさん。自宅駐車場をDIYで作った経験あり。
大工K氏のいとこの旦那さんTちゃん(現在育休中)。これから自宅リフォームの予定あり。左官経験は0。
Y兄(鵜の木のプレオープンの展示を飾ったアーティスト)。
まずは外壁。道路沿い、もともと玄関があった場所を塞いだので、その補修。庇(玄関や雨戸の上にある小さな屋根みたいなもの)を取ってしまったので、雨の侵入など心配があったので、プロに頼むことにしたのであった。
防水紙の上にはった網にモルタルを塗っていくのはおそらく大変とのころで、1度目の下塗りを左官のプロMさんに行ってもらい、2度目の上塗りを集まってくれた助っ人たちと行った。
下地がガタガタだと上塗りで修正しずらいので、下地が実は超重要。左官のプロMさんが行ってくれた下地は綺麗すぎて、このまま仕上げになってもいいのでは!!!と思うほどであった。
この画像は、茶室。
もともと漆喰だったが、かなり浮いてきていたためはがせるところはすべて剥がすことに。
また、土壁の一部が露出していてどうにもならないところがある大きな面は石膏ボードをはることになった。
下塗りが入る前の状態を記録しておいた。
外壁にモルタルを助っ人たちと塗っている間に、茶室の下地塗りを左官のプロMさんがここは一人で担当。下塗りが終わったところだ。もう完成だね!って思うほどに綺麗。そして驚くほどに早く、下にもほとんど汚れていない。
左官2日目。
助っ人は4人。大工K氏、私、左官のプロMさんをいれると7人となる。
それならばと急所左官する箇所を拡張し、トイレの中も左官仕上げにすることに決めた。
助っ人は前日から引き続き助っ人スーパーCさん、Tちゃん。
左官になったら手伝いにくる宣言をしていた陶芸家Kちゃん。
鵜の木移転間際のハシモトミカ展よりお客様で来てくれたCさん。左官経験0。難しそうだから不安、と言っていたが来てくれた。
前日、左官のプロMさんが塗った綺麗な下地に、本番漆喰を3度塗りをしていく。茶室はもともと左官仕上げの予定はなかったが、外壁と茶室の壁の一部となる版築壁(土とセメントを混ぜたものを少しづつ叩い固めて層状の壁を作る)について相談している時に、先日仕事でやったという漆喰の部屋の写真を見せてもらった。
それがまさに今回使用させていただいたグレーの壁だった。
これは漆喰に黒泥土が混ぜているそうだ。黒泥土といえば、小方英理子の作品の特徴でもある素材だったため、親近感を覚えたのと、グレーの漆喰壁は落ち着いておりそのかっこよさに痺れた。
この材料が余っているよ、とのことでじゃあ茶室はグレー漆喰仕上げを、という流れとなった。
下地も漆喰も撹拌機がないと練ることは難しいという。その練りから、一部3度目塗り〜押さえ仕上げまでを左官のプロMさんが行ってくれた。1度目からMさんが塗った漆喰部分は乾き方も均等。石膏ボードかよっと思うほどに均一、平、綺麗。
2度目、3度目まで左官研修生が塗った部分はムラがあるものの、最後の押さえ仕上げをMさんが行ってくれているので、安心してみることができる。
そして、触った時のしっとりきめ細かい肌はあかちゃんのようだ。
この部屋には、これから版築壁が片側にでき、畳が入り、上がり框の下、一段下がった床板が見えているところは庭となる予定。
プロの手が入った茶室は予定以上に素晴らしいできになりそうで、ここはvipルームと決めた。
まずは、壁ファンディング5000円の壁+断熱材コース、またはそれ以上の前倒し祝いをくださった方々はお礼の茶会を再び開きますので、楽しみにしていてください。
助っ人人数が集まったので、急遽左官仕上げにしたトイレ。
漆喰の下塗り材もまたよい感じだったので、それ一発、2土塗りで仕上げることにした。ここは助っ人スーパーCさん、左官初めてCさんのCコンビが黙々と仕上げてくれた。
この下地は石膏ボードと同じような素材なので、ちょっと硬質な感じに仕上がる。もともとのトイレは和式で、ちょっと狭かった。
トイレを壊したり、タイルだったところ、タイルが壊れ土壁が出ているところなどこのトイレの収まりどうすんのーー、という完全改装あと回し感があったが、左官仕上げで一気に良い雰囲気のトイレに仕上がってしまった。
左官当日の朝に急遽決めたので、下準備ができてないところがあり、一部手付かずの部分があるが、最終系が見えたので安心した。
ちなみにどこまで押さえる?ということで、最後の押さえは私が行うことにした。
左官のプロMさんのようにはもちろんいかず、味わいある感じになったがそれはそれでまた悪くはない。仕上がりは好みだと思う。
ビカビカ仕上げを目指すなら、それはプロに頼むしかない。
古民家リノベーションだし、少し味わいがある方が似合っている気もする。
扉がそれぞれの部屋に設置されはじめた。
大工K氏は現在もっぱら建具作りに入っている。
シマシマみかん箱仕上げの扉は、2階のスペースへの入り口だ。
鵜の木の改装時、解体した押入れの板材をパッチワークで作った扉があり、その材料をリメイクしたもの。
茶色の扉は茶室の扉となる。こちらは鵜の木時代に作ったものをそのまま使用している。年季の入った松の黒さがとても良い。
みかん箱扉。アップバージョン。室内側は壁に見えるようにすごくシンプルになっている。
近くの解体現場のもらってきた蔵の取っ手がここで採用。ジャンクはみかん箱扉は、蔵取っ手が付き、なかなか可愛く仕上がった。
パッチワークはK氏お得意である。
2階ベランダ側に出る方の扉。戸越物件ででてきた雨戸をリメイクで作っている。ドアノブ、ガラスが入っていないので、まだ未完成だが、とりあえず取り付けられこちらも良い感じだ。
あと少し、という感じであるが、残工事リストを書き出してみるとまだまだある。全て終わって、待望のグランドオープンとすると1年は先になりそうなので、ある程度のところで再オープンするしかなさそうだ。サクラダ・ファミリア的に作り続けるしかないかしら。