映画鑑賞記録202304

初見は●

劇場鑑賞

● ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

本邦でのD&Dの認知度とか、こういうハイファンタジー実写映画の流行り廃りとか諸々考えると、初報の時点では「コケそ〜〜」って思ってたんだけど……実際観たらすげーーー面白かったのだ。

D&Dというコンテンツの歴史で醸成された世界観の映像化に一切の手抜きがなくて、その上でその世界観にユルユルな冒険コメディを乗っけるってバランス感覚の素晴らしさよ。

原作ゲームの楽しさの一端に触れられるような演出/話運びが素敵で。「あっこれKPが救済で用意したやつだな」「ここダイス運良かった/悪かったんだろうな」みたいな描写に分かるなあと思ってしまったり。冒頭の脱獄シーンとか、シナリオ的には普通に恩赦で良かったのにPLが張り切ってダイス運にも恵まれたおかげで発生した流れという感じがする。

TRPGセッションのあの空気感の再現度がすごくて。超盛り上がるクライマックスなのに絶妙に格好つかなかったり、道中ふざけ倒して全然話進まなかったりする感じとかめちゃめちゃ分かるんだよな……「D&Dの世界観を使ったファンタジー映画」じゃなくて「D&DというTRPGの映画」だって線引きがキッチリ為されていて、それがしっかり作品の面白さに結びついてるのがすごい。

● ハロウィン THE END

こういう終わりか〜〜〜〜となった。いやシリーズ自体どうするかは分からないけど、ローリーとマイケルの物語としてはキッチリ畳んで、それがだいぶ切ない感じのあれだったので……

ローリーvsマイケル、ついに決着!!みたいな派手なものじゃなくて、一連の惨劇の責任を負わされて人生に疲れ切ったローリーと、下水道に引き篭もって沈黙を続けるマイケルと……って立て付けがもう苦しい。老人vs老人だからバトルが地味になるのは当然なんだけど、二人の姿があまりにも"余生"という感じで。

コーリーの存在とアリソンが惚れる流れは正直だいぶ謎だったな。前作で完成したマイケル・マイヤーズの怪物性の掘り下げと、それをどう解体するのか……って結末に至る流れとしては必要だった気はするが、今その話する???っていう。

配信など

劇場版名探偵コナン  世紀末の魔術師

Huluで。ラスプーチンの肖像画を写真立てに入れて持ち歩くのやめな…?

● SMILE スマイル

アマプラでレンタル。めーーーっちゃ怖い。冒頭の全力笑顔自殺からラストシーン(何ならエンドロール)まで一瞬たりとも心が休まらない。タイトルの笑顔の怖さから、"呪い"に感染した主人公が精神的に追い詰められていく過程、人体損壊、何かが起こりそうな不穏な画面作り…と来て毎度毎度絶妙なタイミングで叩き込まれるジャンプスケア。ジャンプスケアって最近ナメられがちな演出だと思うけど、適切にコントロールされてるとやっぱちゃんと怖いんだよな…と思うなど。

● RUN

アマプラで。毒親スリラー。信頼できない語り手な説も捨てきれないな…と思ってたら結構早いタイミングでお母さんがヤバいって明かされちゃうのが逆に新鮮。高知能サイコパスってわけでもなくだいぶ行き当たりばったりで行動してるのも凄い。薬局のおばちゃんに「あの薬は危険じゃないって説明してよ!」って電話してるの笑っちゃったけど、イヤなリアリティだなと思った。

● 暁に祈れ

Huluで。実話ベースだしエキストラの服役囚はだいたい"マジ"の人たちらしい。落ちぶれた男がボクシングを通して人生を取り戻していく…というのが大筋ではあるけれど、舞台設定(タイのマジで地獄みたいな刑務所)のハードさと異常なまでの台詞の少なさが不思議な静謐さをもたらしていた。こういう観ながら居住まいを正してしまうようなバイオレンスの映画は定期的に摂りたい。

● ペルシャン・レッスン

アマプラで。これも実話ベース。ままならない話だな〜〜〜「収容所に送られたユダヤ人の男がペルシャ人のフリをして、嘘のペルシャ語のレッスンをして生き延びる」ってところから想像されるユーモア的な部分が一切なくて只つらい話だった。"生徒"役のナチス将校がだいぶ人間臭くて感情移入してしまう作りになっているのがまた。

犯罪都市 THE ROUNDUP

アマプラでレンタル。まだ2作目なのにシリーズの"お約束"が完成していてすごい。しょーもないチンピラがマ・ドンソクに一撃でノされる冒頭とチャン・イスがドンソクにこき使われて死にかけるくだりは毎回やってほしい。このシリーズ末長く続いてほしいが、敵役の犯罪者のヤバさを毎回インフレさせていくのも大変だろうな……

名探偵ピカチュウ

Netflixで。久しぶりに観たが実写ベロリンガや実写ドゴームで結構新鮮にゾッとしてしまった。この形式のポケモン映画これから沢山出てくるんだろうな〜と思ってたけど今のところ全然だな。難しいんだろうけどおれは実写ポケモンで色々なジャンル映画が観たい……

● 夜の来訪者

アマプラで。格調高い舞台劇だ。ある労働者階級の女性の死を巡って上流階級(でもないのかな。工場経営してる成金…?)の一家が自分たちの罪を暴かれていく……みたいな話。グール警部、出てきた時点で「絶対警察じゃなくて何らかの形で裁きを下す存在じゃん」ってなる佇まいですごい。

● 降霊会 血塗られた女子寮

Huluで。すげー変。霊の仕業と見せかけて実はサイコキラーが…って大筋はわりと"ある"やつなんだけど、終盤で犯人と主人公がなんかドタドタした格闘戦始めるのはだいぶおかしい。蛍光灯引っこ抜いて犯人をノックアウト→その後天井から瓦礫落ちてきて主人公も気絶、って流れでめちゃめちゃ笑ってしまった。

● 護られなかった者たちへ

Huluで。完全に東野圭吾のあのシリーズだと思い込んでたけど全然関係なかった。あんまり好きじゃない方向性の邦画(偏見)ではあるが画作りや俳優の佇まいが良くて結構楽しめた。震災の話そこまで要らないんじゃないか…とは思ったものの阿部寛と佐藤健の演技に無理やり納得させられた感はある。最後に「ありがとう」って言えるの凄いよ。

ザ・ヴォイド

アマプラで。いや〜〜〜やっぱ好きだな。シチュエーションもクリーチャーデザインも結末も全部がいい。サイコゴアマンも超良かったけどコスタンスキにはこういうテイストの映画をたくさん作ってほしいんだ。

● セント・オブ・ウーマン/夢の香り

Netflixで。タイトルから勝手に官能的な男女のあれこれについての映画だと思い込んでたんだけど、気弱な少年 meets 偏屈ジジイのすげ〜〜〜爽快で美しいロードムービーだったのね……アル・パチーノがめっちゃ良いんだ。捻くれてて女好きのヤな爺さんなんだけど所作に凄みと品がある……おれも「付き合いが長いからな」つってジャックダニエルのことを「ジョン」って呼びたいぜ。

ザ・ギルティ

ネトフリで。リメイクの方。オリジナルにかなり忠実なんだけど、ジレンホールの佇まいと、フークアの手癖なのか、神話的な色合いが付加されてるのとでこれはこれで面白い。

ミッドナイト・ラン

アマプラでレンタル。『セント・オブ・ウーマン』観てから80~90sのロードムービーを観たい気持ちが高まっていたので。絶妙にゆるい展開とかデ・ニーロがどこでもタバコ吸いまくってるところとか、めっちゃ80年代の映画って感じで楽しいんだ。

以上。

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