映画鑑賞記録202302

初見は●

劇場鑑賞

● バビロン

あまりにも暴力的すぎる……内容が、というより観客の脳に強いる負担が凄まじい。冒頭のパーティー(全裸の男女が踊り狂い、物品は破壊され、ホールに象が突入してくる)があまりにもヤバくてその時点で体力だいぶ持っていかれたのに、そこから3時間ずーーーっとその狂乱のテンションが維持されるので鑑賞後物凄い疲労に襲われた。

『ラ・ラ・ランド』と『セッション』のちょうど中間くらいのマインドの映画だな〜と感じた。業界はクソでそのトッププレイヤー達は破綻者だらけだが、そこから永遠に残る何かが生み出されることもある……という芸術讃歌的な部分と、夢を追う男女の人生を描く部分とがあって。

ただ全体的に変なとこが多すぎてそっちの印象が先行するわね。クソとゲロとアルコールとドラッグ塗れでとにかくドギツイし、ストーリーも「そ、そっち…?」って方向に飛んでいって中々帰ってこないし。それでも要所要所では必ず最高の一瞬を見せてくれるから、映画とはそういうものなんだな…という変な納得もある。

とはいってもトビー・マグワイアが出てくる終盤は流石に何なんだよ。LA地下で繰り広げられる冥界下り。映画の本質にはフリークショー的な部分がある、みたいなことが言いたいのか…?とか余計なこと考えてしまうけど単にああいう絵面を出したかっただけなんじゃないのとも思う。

総じて、おれ個人としては凄く好きなんだけど「これ本当にウケるか…?」みたいな要らん心配をしてしまう作品だった。監督ちょっと休んだ方がいいんじゃない……?

● 別れる決心

面白かったけど興味ね〜〜〜という不思議な感情になってしまった。パク・チャヌク作品はやっぱバイオレンスが見てえよ。

刑事と事件の被疑者が惹かれあってしまう…って古典的なテーマを今これだけ面白く仕上げるのは普通にすげ〜と思った。全体的に暗喩遣いや場面/時系列/視点の転換がテクニカルだし、両者ともに大不倫なんだけど生臭さみたいな部分を綺麗に脱臭して"純愛"に仕立ててるのも凄い。「愛してる」という直接的な言葉を一度も使わずにあのラストに持ってくのも超絶技巧という感じ。

配信など

ディズニープラスに加入したので今月はそれ多め。『ガンニバル』とかのドラマシリーズ観てたので映画あんまり観てないかも。

● プレデター ザ・プレイ

D+で。面白かったな……18世紀のアメリカ先住民族vsプレデターって最高のカード。女性主人公なのも初だし、女性が抑圧されている時代/社会を舞台にそれへの抵抗を描くっていうのも現代的な手法だ。

プレデターの装備も旧式なのか現代プレデターが採用してない武装が色々出てきて楽しいし、コマンチ族の戦士も殺されまくるし途中で悪の白人が殺されるために補充されるのもいい。

プレデターで歴史モノは夢があるわね。大航海時代のアフリカと江戸時代日本はコミックで既にやってるらしいが、19世紀ロンドンや1920sアメリカ、中世で十字軍vsプレデターとか色々見たいぜ……

ナイル殺人事件

D+で。絢爛で古典的なミステリは何本あってもいい。画の楽しさとは対照的に重たい話なのもいい。ポアロの「そして私はこういう人間になった」という語りが好き。

エイリアン コヴェナント

D+で。こんな面白かったっけ…? 人間の知性をひとつも信用してない展開(だいたいの人死にが人災由来)とか、多種多様なエイリアンとか画的にも楽しい。当時は「で何の話だったんだ…?」とか思ってたが、造物主と被造物の話だとか、その辺りだいぶ聖書的なんだなというのが何となく。

ブラックパンサー

D+で。2はイマイチ(というかチャドウィックの死によって色々ブレてた印象)だったが、無印は結構好きだな。アフリカのカルチャーとアメリカのブラックカルチャー要素の織り込み方が丁寧でいい。あとやっぱ"ルーツを失ったアフリカン・アメリカン"であるキルモンガーくんをメインヴィランに据えるのが凄い。

● ニュー・ミュータンツ

D+で。「やりたいことは分かるよ…」という感じ。ミュータントの子供たちが各々の恐怖と対峙して成長していく…というテーマは良いのに尺が足りない感。60分×8話くらいのドラマシリーズ(できれば監督はマイク・フラナガン)だったら傑作になったかもしれない。雰囲気ももうちょいホラーに寄せても良かったかも。
デーモン・ベアが想像の5倍くらいデカくてすごい笑っちゃった。

カニング・キラー/殺戮の沼

D+で。昔見てかなり面白かった記憶あるんだけどやっぱり楽しいワニ映画だった。ギュスターヴのデカさとヤバさは勿論、民族紛争の話や白人の無自覚な見下しの話なんかも織り込んでて記憶よりだいぶシリアスな作品だったな。ギュスターヴが凶暴な怪物になったのは紛争/虐殺の犠牲者を河に捨てていたからだ…みたいな皮肉がいい。

● ジェヴォーダンの獣

DVDで。貴族社会の腐敗とかその辺にフォーカスした上品めな映画に擬態してるのがマジで謎で、ゴシックミステリ的な雰囲気を楽しんでたら普通に"獣"が飛び出してくるのが本当にすごいし、そこからBloodBorneみたいな狩人バトルに雪崩れ込むのもイカれてる。序盤よくお行儀よくしてられたな???

● ナイト・ハウス

D+で。最近のアートホラーっぽいな〜って油断してたけど普通にしっかり怖くて良かった。自殺した夫が実はヤバいやつだったのでは…みたいな方向に話が転がっていくのが結構予想外だったし、主人公(精神的に不安定)と周囲の人の距離感、気まずさみたいな部分がかなり厭なリアルさで。怪奇現象の撮り方もあんまり見たことない感じでよい。

● ミッション・インポッシブル フォールアウト

ネトフリで。MIシリーズ実はそんなに観てないが、TGM以降トムクルーズの好感度がバリ高なので……トップガンの方はともかく、こっちの世界のトムクルーズは未だに現役バリバリっぽいので「そろそろ隠居させてやりなよ…」みたいな気持ちになる(キャラクターはともかく、本人がマジでやりたがってるっぽいのでどうしようもないが…)

ヘンリー・カヴィル超いい感じだったからこれ一作で使い捨てるの勿体無いよな〜と思った。悪役じゃ仕方ないけどトムクルーズとのバディでもう何作か見たかったな。

プレデター2

D+で。結局これが一番面白いよ。

● ザ・ロストシティ

Netflixで。だいぶ古臭くてコテコテのアクションコメディで楽しい。ただタフな主人公がサンドラ・ブロックでセクシーなヒロインがチャニング・テイタムって逆転が今っぽい。

"カッコ良すぎて笑いが先に来ちゃう"みたいなキャラデザをブラピにやらせた上で速攻使い捨てるのもすごかったな。「えーーー!!!」って言っちゃった。

返校 言葉が消えた日

Netflixで。ヴィジュアル周りのセンスが炸裂していて凄い。クリーチャーデザインも良いし、体育館のステージから下がる首吊り縄だとか、麻袋を被った群衆だとかの超怖くて超格好良い画がバンバン飛び出してくる素敵な映画だ。

以上。

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