映画鑑賞記録202208

初見は●

劇場で観たやつ

● NOPE

すげーーよかった。

不穏さ全振りのエイリアン・アブダクションものを想定してたが中々にツイストの効いた映画で、"いつもの"ジョーダン・ピールらしい差別や社会構造の問題を前面に押し出してくる感じともちょっと違っていて。

見る/見られる・撮る/撮られるという構造、エンタメ業界の搾取構造(人と動物、白人と非白人、スターと無名の制作スタッフ等々……)なんかがテーマにあるのはそうなんだけど、そういうのを背景にした不穏さを前半で積み上げておいて、急に「カマしてやろうぜ!」みたいなバイブスで反撃に転じるのが新鮮。見る/撮ることの搾取性の話をしておいてクライマックスでは兄弟が互いに視線を交わして決戦に臨む、っていうのも良いよね。

映画業界で忘れられてきた人々がUFOを撮ることで一発逆転を図るって流れが素直にアツいし、業界を取り巻く小難しい問題を一旦捨てて映画への愛をストレートに表明してくる感じも良かった。それでも俺は映画が好きなんだよ!という感じ。俺がこの業界も変えていくぜ!って意思表示なのかもしれない。手作りIMAXフィルムカメラ(手回し式)みたいな小物もそうだし、唐突にぶっ込まれるAKIRAオマージュなカットもそう。

ダニエル・カルーヤは目が凄い。ボケっとしてて何考えてるのか分かんない感じでありつつ思慮深くも見えて。空を見上げる時の佇まいが良いんだ……こいつが主演ってことはまた最後はフィジカルで全部解決するんだろうな…とか冗談で言ってたが、キャスティングの説得力に捩じ伏せられる体験。

人喰いUFOのビジュアル超良かった。動かない雲、雲間を蠢くのっぺりした巨大構造物…という不気味な表現もそうだし、クライマックスで見せる変形後の姿も素敵。開いた"口"の中から先に呑まれた犠牲者の悲鳴が聞こえてくる演出も最悪で良い。

配信などで観たやつ

ハイ・ライズ

アマプラで。映画として面白いかというと微妙だけど結構好きで、折に触れて見返してる。バラードの原作を映像として出力するならこうだよな…という塩梅、全体的な美意識が好ましい。無機質な建造物の美と有機的な人間の狂騒が美しいんだ。
ストーリー展開はだいぶ破綻してる気がするが、この破綻自体がハイライズっぽいというか、視聴者にも一緒になって体験してもらうよ、という意図でやってるんだろうな…

スリー・ビルボード

アマプラでレンタル。唯一無二の空気感の映画だ。悲痛さと滑稽さが同時に存在している。娘を殺した犯人を探す母親とその行動が齎す事件、騒動……って流れでこのオチに着地して、しかも何も解決してないのに不思議と晴れやかな空気になるのが本当に凄い。初めて観たときは呆然としてしまった。主題は事件そのものではなくて、制御できない怒りと「それでも、なお」という人間の善性なんだよな。

ハロウィン

アマプラで。2018の方。最近流行ってる(気がする)初代キャストカムバックさせるやつ、この映画がやっぱり一番上手くやってるなと思う。単独作として見ると物足りない(初見のときも「リアルタイム世代じゃないしな〜」とか思った)けど、続編のKILLSを観てから段々と好感度が上がってきている。

ハロウィン KILLS

アマプラで。初代のキャラクターが次々登場してサクサク惨殺されていく。前作の時点では親子3世代で協力してマイケルを打倒する話になるのかな〜と思っていたらあのラスト。超タフなサイコ殺人鬼でしかなかったマイケル・マイヤーズが超常の怪物として完成する場に立ち会ってしまった感覚。カレンがあっさり殺されてしまったことで、このシリーズは結局ローリーとマイケルの因縁の話でしかないんだよなあというのも分からされる。次作の冒頭でアリソンが惨殺されても全然不思議ではない。

● ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ

アマプラで。つ、つまんね〜〜〜〜〜…下らない二次創作みたいな映画だ。前作でエディとヴェノムの関係性がウケたからって他の要素全部手抜いていいわけじゃないよ。
トム・ハーディまじで全然何言ってるか聞き取れねえ…と思ってたが、ネイティブ的にもそうらしくて笑った。

レイダース/失われた聖櫃

アマプラで。すげー久々に観たけど結構ヘンなテンションの映画だな。演出や展開はコメディっぽいのに壮絶に人が死ぬ。あとロケーションの移動が目まぐるしくて超楽しい。

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説

アマプラで。シリーズ2作目なのに前日譚らしい。インディ先生とガキンチョが良いコンビしてるのに今後出てこないの勿体無いよな〜と思った。1作目と比べてロケーション移動が少なくてちょっと物足りない気もする。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦

アマプラで。シリーズで一番好き。冒頭のヤング・インディのエピソードが綺麗に纏まりすぎててすげーってなるし、自分を打ち負かした悪党のおっちゃんのファッションとか真似しちゃってるインディがラブリー。親父役のショーン・コネリーも超格好いいんだ…

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

アマプラで。宇宙人登場がめちゃめちゃ評判悪いらしいがおれはかなり好き。神話伝承の類にそこまで関心がないので、冷戦下のアメリカとソ連が宇宙由来のアーティファクトを奪い合う…ってオカルト風味エスピオナージュな導入がツボなんだよな。

マリグナント

Netflixで。ホラー映画に求めるものって大きく分けると「怖さ」と「格好良さ」だと思っているが、この映画は後者のステータスがカンストしてる。超クールなオープニングにやたらキマったロケーション、マリグナント怪人の見たことないアクション……ジェームズ・ワン全部載せって感じ。
初見の時は勢いに呑まれて気付かなかったが、この映画多少無理ある展開をその場の勢いと画力で誤魔化すのがやたら上手いな…

ザ・リチュアル

Netflixで。森ホラー。こういうヤバい場所に叩き込まれる系のホラー映画は導入のシチュエーション/"そこ"に向かう理由付けで全体のトーンが決まると思っているが、そういう意味でこの映画の"友人の追悼旅行"って設定がかなり好き。みんな無理してるけど誰が悪いとも言い出せないあの感じがその後に起こる超常現象に絶妙な厭さを付加している。
怪物の造形もいいし、原作設定的にはシュブ=ニグラスであるらしいというのも嬉しいね。

● アンビュランス

アマプラでレンタル。すげーーーマイケル・ベイ映画。最初から最後まで「その理屈はなんか変じゃない…?」って感じで進むのにギラギラした超クールな映像とぶっ飛んだアクションでツッコミを全部呑み込ませられる。すごい。
兄貴の性格破綻っぷり(残忍な犯罪者の面と弟思いの良い兄の面が同時に存在してる)がジレンホールにハマっててよかった。

● 鳥

アマプラで。初ヒッチコック。プライムビデオの概要欄にはアニマルパニック映画の始祖、みたいなことが書かれてたが、展開とかはゾンビ映画の原型っぽく感じた。特に事態の収拾にも究明にも向かわずひたすら翻弄され、最後はどこか遠くに逃げようというところで終わる…という。

● モンスターハンター

アマプラで。ペース配分イカれてるだろ。モンハンの実写化に求める部分だいぶ欠けてる気がするし米軍vsモンスターの映画としてもだいぶ食い足りない感じがある。
おれは後者の要素もっと欲しかったよ。キモい虫だけじゃなくてフルフルに丸呑みされたりとか、ランポスに八つ裂きにされたりとか……

● スペル

Netflixで。サム・ライミじゃないほうの呪術スリラー。あんまり怖くないがイヤな儀式描写と気合の入ったゴア表現(踵から釘を引っこ抜いてまた戻す)があってよい。
ただ全体的に変というかチグハグというか。序盤にテーマっぽく提示された要素(都会の黒人と田舎の黒人の格差、差別意識とかそういう…)が全然効いてなくない?とか、ブードゥー呪術周りの描写の「そういうルールなの!?」って感じとか、最終的に主人公が呪術とフィジカルを兼ね備えた最強ファイターになっちゃうのとか……

● ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

アマプラで。上質なゴシックホラーだった。絵面の幽玄と格調高さもありつつ怪異がアグレッシブで楽しい。子供が無惨に死にまくるホラーって結構珍しい気がするな。あとダニエル・ラドクリフはシリアスな役もやるんだ…という。

● ウーマン・イン・ブラック2 

アマプラでレンタル。無印が19世紀を舞台に格調高いゴシックホラーをやってたのに対して、時代も下り戦時下のお話になってしまっているので神秘・幽玄が喪われてしまっているように思う。それはこの映画だから、というより現実でもそうなんだろうけども。あと映像が暗すぎる……

トップガン

アマプラで。『超おもしれ〜ハリウッド大作』のイデアだ。改めて『マーヴェリック』の続編としての隙のなさを感じたな。冒頭の発艦シーケンスの再演とか、ストーリー展開とか。あと今回改めて観て気づいたけど、映像の質感も結構寄せてたよね??黄色っぽい色調とザラっとした手触りと…

パルプ・フィクション

アマプラでレンタル。オールタイムベスト映画。会話、美術、音楽全部が洒落ててとにかく観てて気持ちいい。ただ急に出てくるあの野生の変態(ゼッド&メイナード)は何なんだ。毎回ちょっとびっくりする。

● ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

アマプラで。実は観てなかった古典。ゾンビ映画の始祖っぽく扱われるけど今とフォーマット全然違うなって思った。モダンなゾンビとは生態が結構違うのもあるが、怪奇映画テイストがちょっと残ってるように感じた。あとヒロインっぽかったあの人、全然何の役にも立たないままスッ…と退場しちゃったのでだいぶ混乱した。

● デイ・シフト

Netflixで。面白いけど特に好きな部分がないな〜と思った。アクションも派手なんだけど何かイマイチ好きなポイントから外れてるし、吸血鬼ハンター組合みたいなものの描写も取ってつけたような感じが(まあそこが本題ではないのだけど)。スヌープ・ドッグは良かった。

● サイコ

アマプラで。シャワールームで惨殺される有名なシーンだけ知ってたけど思ってたのとだいぶ違った。クライムサスペンス風に始まり、主人公っぽかった人が唐突に殺されて後半は主人公交代、って仕掛けなのね…なんか色々な作品の元ネタではあるのだろうけど、サンプリング元としての歴史が深すぎて例えばこれ、ってのがパッと出てこない。
続編が4くらいまであるがそんなにやることあるのか??

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?