映画鑑賞記録202305&06

初見は●

5月少なかったので纏めた。

劇場鑑賞5月

● ソフト/クワイエット

最悪。こういう連中は間違いなく実在するんだろうな、という絶望がある。

90分ワンカットの撮り方は超テクいんだけど技術だけじゃなくて、それが作品のメッセージを伝える上で意義のあるものになってるところがさらに凄い。最悪の差別主義者の輪の中に放り込まれる居心地の悪さや終盤の事件の緊迫感を完全に当事者として体験させられるつくり。すげ〜〜嫌。

差別主義者サークルの会合の後、偶然出会しただけのアジア人女性の家まで襲撃に行くーーって展開、理屈がなさすぎて本当に怖かった。あの会合も回を重ねてどんどん思想が先鋭化していって最終的に……って展開を想定してたんだけど、あれあの集まり初回だよね……?

映画はアメリカの白人女性によるアジア人に向けたヘイトの話だったが、これ日本に住んでると加害者側に立ってしまう可能性もあって、そっちの意味でも全然他人事じゃねえんだよな……という。

● 岸辺露伴 ルーヴルへ行く

普通に面白かった。劇場版スケールを期待してると肩透かし喰らうかもだが、いつものドラマシリーズの延長としての面白さがちゃんとある。"マジ"でやるけど映画だからってハシャいだりしないぜ、って美意識なのかなと。

原作読んでなくて映画見終わったあとに買ったんだけど、「この世で最も黒い絵」の出自や能力のアレンジが結構効いてるのね。原作だと"そういう怪異"くらいの理屈だったが、映画版はもうちょっとオカルトなアーティファクトとしての箔付けがされててこっちの方が好みだったりする。

絵の出自の説明や結末なんかは原作の方が良かったかな〜〜。映画はちょっとウェット過ぎるというか、完全に好みの問題ではあるがあんまり何でもかんでも説明されると「ナメてんのか??」となってしまうので。

高橋一生の露伴ちゃんは相変わらず良かった。何かこれでシリーズ畳むのかな…という雰囲気だが、今後もドラマシリーズは続けてほしいね。密漁海岸とチンチロ回はマストだと思うが……

劇場鑑賞6月

●ザ・フラッシュ

MCUもDCも最近あんま追ってないんだけど、近頃のDCはこんな真っ直ぐに楽しい映画作るんだな……全体的に洗練されてない気もするが、そこがまたフラッシュというキャラクターなんだろうなという感じがあってよい。

エズラ・ミラーのフラッシュはほんと良いキャラしてるんだ。(作品としてはアレでも)ジャスティスリーグでのバットマンとのやりとりとか結構好きだったんだよな。ベンアフバッツが再登場したのも嬉しい。なんかめちゃめちゃ痩せてたけど……

マイケル・キートンのバットマンは全然愛着ない(子供の頃に観たことあるな〜という程度)が、疲れ果ててちょっと狂ってるベンアフバッツの行く末みたいな佇まいで登場シーンは結構掴まれた。完全に近距離パワー型のベンアフと違ってガジェット総動員でクレバーな戦い方するのも良い。あとあのジョーカーの笑い袋だけは凄い記憶に残ってた。

ニコラス・ケイジのスーパーマン、存在しないはずなのに凄い"知ってる"キャラデザで不思議な感覚だ。一本の映画で観たかったような観たくないような。逆に今のニコラス・ケイジで見たいかもしれん。

「過去を変えたせいで何もかんもめちゃくちゃになった!」系映画は最終的に全部無かったことにする他ないよな……とは思うが、滅茶滅茶になった他宇宙を"能動的に"見捨てる選択をする、っていうのが中々新鮮だった。あの選択によってコミカルなヒーロー映画に"愛する人の死を受け入れるための物語"としての色が付いて。まあスーパーガールとか今後どうすんの……みたいな気持ちはあるが。

●スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

現代のアニメーション映画の最高到達点って感じだ。前作も大概ヤバかったのに今回それ以上に表現の幅は広いし全部のシーンが格好いい。漫画の見開きみてーな超気持ちいいカットが欲しいタイミングで必ず出てくるんだよな……

スパイダー・パンク好きだな。超クールなUKパンク野郎だ…と思ったら声ダニエル・カルーヤでウケちゃった。

あとメインヴィランのザ・スポットがおれの好きなタイプの異形でとても良かった……見た目もいいし、ギャグキャラっぽく扱われてたのがどんどん恐ろしい怪物に変貌していくのがまた。

めっっっちゃ良いところで"To be continued…"なのが本当にな〜〜。ペニー・パーカーがちょろっと出た程度でグウェンとピーター以外ほとんど触れられなかった前作メンバーが最後に集結してくれるのは良かったが。

完結作も超楽しみではあるんだけど、そろそろ観客の側が耐えられなくなってくるんじゃないかという心配がある。今回も序盤の全然何でもないシーンで急に涙出てきたし、人体の何かの許容量を超えてしまったんだと思う。

配信など5月

● ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード

一作目観てないけどまあいけるやろ…って。全体的にノリがボーボボとかあの辺のギャグ漫画に近い。奥さん役の人がサミュエルLジャクソンが霞むレベルのパワータイプの狂人でいい。ライアンレイノルズは死んだ目してるときが一番面白いね。
ワイフズなのかワイフスなのかワイヴズなのか一瞬悩む。

● ドアロック

韓国のヒトコワ系。伝えたいことは分かるけど出てくる男が狂人か無能しかおらんのが凄い。ドアロックがどうこう言う以前の問題なのでは…?という気もした。

● トレーニング・デイ

悪のデンゼル。バディムービーなのにこいつら全然仲良くならないな……フークア監督はデンゼル・ワシントンの"すべて"をフィルムに収めようとしているのでこういうパターンの映画もある。

ザ・ディープ・ハウス

劇場で観ること前提の映画って感じではあって、実際映画館で観たときはマジで怖くて死にそうだったんだけど家で観るとそこまで怖くはないかな…ただ幽霊屋敷のデザインが超イカしてるので、そういう細部の良さを味わうには良い。

オーシャンズ8

みんな出てくるたびに衣装変わってるの笑うんだよな。この映画、かっけ〜役者をかっけ〜衣装で撮りてえ!から出発してるよねたぶん。

● この子は邪悪

ダメダメじゃない…? 序盤の不穏な感じはとても良かったが、全部催眠術でした、ってオチが超ダサいのと黒幕が全部口で説明しちゃう感じもダメな邦画って感じだ。和製『グッドナイト・マミー』とか『ゲット・アウト』みたいなのをやりたかったのかな…と思ったが、それにしてももうちょっと上手にできるだろ。

配信など6月

● エリア51

ブレアウィッチの宇宙人バージョン。ちょっと前に濫造された有象無象のPOVホラーって感じだが、このジャンル(ヤバいとこに忍び込んでヤバい目に遭う)はロケーションにワクワクできればそれで十分なので結構楽しめた。

コールド・スキン

これ好きなんだよなあ。フォーマットはモンスターパニックなのに、荒涼たる孤島の風景と人間の領域を巡る物語、内省的な語りがやたらと格調高い雰囲気を醸し出していて。

GHOST IN THE SHELL

おれはSACシリーズが好きで一番見返してるが、たまに初代劇場版を観るとあまりの傑作ぶりにビビる。劇場版のシーンを実写版(あれはあれで結構好き)でほぼそのまま再演しちゃうの、気持ち分かるなあ…

イノセンス

GHOST IN THE SHELLも大概だが輪をかけて難解になっている……引用に引用を重ねて会話するのやめな。映像の綺麗さやアクションの格好良さは凄い好きなんだ。あと犬。

● ザリガニの鳴くところ

原作を途中まで読んで長らく積んでいるので映画版先に観ちゃうのもどうかな…と思っていたが。原作だと湿地での暮らしぶりの描写がすごく丁寧で美しかった印象で、映画版でもそのあたりは(尺的にはコンパクトでも)しっかりハズしてなくて良かった。

裁判パート、結局お互いに確たる証拠出さないまま人情で無罪に持って行った印象が強かったけど原作でもこんなもんなのかな。最後のあれは完全に蛇足だと思うが……

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット

脅威の4時間超え。劇場版のJLも良いところはあったと思うが、完全に"神話"に振り切ったこっちの方が圧倒的に面白いんだよなあ。エピローグ(これだけでも30分近くある)での怒涛の展開が今後回収されることはなさそうで残念だ。こういう形の映画は2度と作られないと思うし、あんまり連発されても困るんだけど……

● タイラー・レイク -命の奪還-2

真面目な方のクリヘム。前作から続いてシリアスな映画なんだけどもクリヘムだからずっと何かちょっと面白くなってしまう。ヤバめのワンカットアクションみたいな前作の凄かった要素は順当にパワーアップしてるし、固いザコが出てくるのがいい。


以上。

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