イベントの作り方:澤の茶話会ができるまで
昨日のお題は、「サイモン・シネックと『仲間』」。
コミュニティを共にする「仲間」について考えました。
コミュニティを作る・入る時に考える「3つのポイント」は「旗」、続いて旗の元に集う「仲間」、そして仲間と共にする「活動と役割」の3つです
そのうち「仲間」に求める=期待することと言えば、何でしょうか?
それは、ゴールデンサークルベースのビジョン=旗を共有できる人だと思います。
経済的利害関係で結びついていないコミュニティの場合、より「ビジョン」=「旗」ベースでの関係が大事です。何のために集っているのか(目的)、その集いが目指すものは何か(目標)を「なぜ」を問いながら共有しておくと良いと思います。
さて、今日はイベントの作り方です。
マイクロソフトの澤円さんと、奥様の澤奈緒さんと一緒に、実質2時間で企画した「澤の茶話会」を例に、考えるポイントをまとめてみます。
澤円さんと澤奈緒さん
■澤円さんと澤奈緒さん
澤円さんと言えば、年間250回以上のプレゼンをこなす「伝えるプロ」としても知られています。そして、奥様の奈緒さんはアート仮装活動を始め、現在、世界に伝わる神様の装いで心を解放するアートプロジェクト「KESHIN」を展開しています。
■澤さんご夫婦
最近はご夫婦で「ポンコツ」キャラとして、いろんなイベントやサイトなどに登場されています(もちろん、澤さんも奈緒さんも、皆さんご存知の通りポンコツではありません!)
■澤さんご夫婦とのご縁
僕は澤奈緒さんとは2018年10月に、慶應義塾大学の前野隆司先生と、ユニリーバの島田由香さんと開催した「AHA !Hカンファレンス」の幹事をした際に、衣装を作ってくださったのをきっかけに、ご縁をいただきました。
澤円さんとは、その2ヶ月後の2019年1月に開講されたNewsPicksアカデミアのゼミのチューターをさせていただいて以来、いろんな機会の幹事としてご一緒しています。
澤の茶話会
そんなご縁をいただいた澤さんご夫婦とご一緒する『澤の茶話会』とは、澤さんオススメの100年にわたって作られている宮崎のお茶屋さんのお茶を、100年の歴史のある東日暮里の長屋でちゃぶ台を囲みながら、春分の日に頂こう!という企画です。
お茶会は10人1組で90分、澤さんの淹れてくださるお茶を飲みながら、話をしようというものです。もちろん、このタイミングなので体調不良の方にはご遠慮いただく、マスク・消毒・会場の換気は徹底、状況次第で中止もありうる、という条件付きです。
企画までの流れ
奈緒さんがご自身のFacebookでも書かれていたように、実質的に昼の1時間ほどのチャットミーティングで企画が決まりました。
①3月5日(金)日中:奈緒さんが今回の会場の長屋主の杉本 綾弓さんへ別件の相談に行き、「澤円さんと茶会をやろう!」という話になる
②3月5日(金)深夜:奈緒さんから辻宛にご相談メッセをいただく
③3月6日(土)11:51:辻がメッセージを開封し、ご夫婦とチャット開始
④3月6日(土)12:54:澤さんからの「完璧や」というコメントで終了
⑤3月6日(土)14:00:澤さんが新宿へお茶買い出し、辻合流&最終確認
⑥3月6日(土)22:10:Peatix作成
⑦3月7日(日)12:07:奈緒さんのFacebookで告知、チケット販売開始
⑧3月7日(日)19:57:チケット完売
ちなみにメッセージはこんな感じでした(一部抜粋。キリストは澤円さんのニックネーム)。
20日春分の日に、知り合いの日暮里の長屋を借りて、キリスト本の販促イベントを開催しようと思います。入れる人数がmax15人程度とかなり限られるのと、とてもゆるい企画です。長屋は、昭和で(ウルトラセブンのメトロン星人のちゃぶ台のような感じとキリストが言っております)素敵な雰囲気です。
人数管理や料金設定など、幹事プロのG2さんにご意見いただけませんでしょうか。
煎茶道師範のキリストがお茶を適当に淹れながら、ゆるく語り合う場にしようかと思いつつ、読書会か質問会か会える会かは絞っていません。オンライン配信もいいかなと考えています。
ここ数日、澤さんの著書「あたりまえを疑え。」の販促企画のご相談をしていた流れで、メッセージをいただきました。
1時間の間に考えたこと
この3つです。
①条件
②澤さんの思い
③この会にお越しになる方の思い
①前提(条件)
■まず確認すること
主催される方がすでに決めたこと、変えられないこと(いわゆるマルゼ)です。一般的に、ハード面(場所、日時、設備、予算など)とソフト面(当日の時間の使い方、事前の告知、事後のフォローなど)の両方あります。これがそれを直接でなく、表現を工夫しながら確認します。
■今回の前提
ハード面は、場所は日暮里の長屋を使うこと、日時は春分の日に開催すること、人数は最大でも15人(やりとりの間で10人とわかる)などです。
ソフト面は、ちゃぶ台のある雰囲気を生かすこと、煎茶道師範の澤さんがお茶を淹れること、本を広めること、語り合うこと、などです。
そして何より、昨今の状況です。
ハード面とソフト面の条件はメッセージから読み取り、場所が素敵であること、そして、お茶好き&澤さん好きな僕としてはこのアイディアは嬉しい!というレスから、やり取りを開始しました。
②澤さんの思い
まず聞いたことは、主催者の思いです。
具体的には「関係者」と「ゴール」のことです。
主催者の方がどんな方と時間を過ごしたいか、また、時間を共にした方(=参加者)がどんな気持ちでお帰りになったらハッピーか、といったことです。なので、このような質問から始めました。
■参加者
ちなみに、どんな方に来ていただけると、お二人としてはハッピーですか??それによって、告知の仕方が決まってくる気がします。
澤さんから、このようなレスをいただきました。
最近の状況で家に閉じこもりがちな人に出かけて欲しい、ってのがベースにありますね。
また、奈緒さんからもその直後に、このようなレスがありました。
長屋運営している友人に聞いたら、このあたりには霞ヶ関勤務の若い官僚さんたちがかなり住んでいるらしく、そんな人たちにも気軽にきてもらえたら。いつもキリストのイベントにいらっしゃらないような人とお会いできて面白いかなとも思っています。
ということから、ご夫婦が想定する関係者=参加者は「最近の状況で家に閉じこもりがちな人」だったり、「いつも澤さんのイベントにお越しになっていないような人」であることがわかりました。
そのうち「いつも澤さんのイベントにお越しになっていないような人」は、長屋界隈にお住まいの職業柄お忙しそうな方々がまさしくそのようであり、その皆さんには長屋ネットワークで告知できそうなことがわかりました。
■ゴール(ソフト面)
チャットするうちに、メインを本の販促というより「いつもイベントにお越しになっていないような人」と、澤さんの本に書かれているメッセージを共有できる時間にすること、という空気感を感じました。そこで、こんな風にメッセージしてみました。
メインはあくまで「澤会ならぬ茶話会」とし、お茶とお話。でも本と配信録画をみられる権というお土産付き、とするとか??
「こんな時だから澤円さん!お茶とありがたい話で、この雰囲気を変えちゃおう!」的な!!!!
奈緒さんから「澤会!!!うまいです!!!!さすが!」というコメントなどの後に、こんなレスをいただきました。
(長屋の周辺には)若い独身の官僚さんたちが多いらしいので、頭の柔らかい方々が日本を変えてくれたらと!
これで参加者像と、ゴールは見えました。
■チャット開始40分時点でお示しした企画案
こうしたやり取りを踏まえて、こんな企画案をお示ししました。
1セッション1時間、参加者10〜15人で、流れをイメージしてみました。
10人くらいがいいかもしれません。
0:00 澤さんによる「澤会」開会のご挨拶
0:05 澤さんがお茶を淹れながら、自己紹介(1人1分:名前、自分をこのように記憶して欲しいというハッシュタグ、澤さんと話してみたいこと(=質問など))×人数(10〜15人)
0:20 お茶を順次飲みながら、一人2分で「澤さんと公開一問一答」
0:50 澤さんによる「澤会」閉会のご挨拶
0:55 事前にサインしておいた本の手交(本を手渡すことで握手代わり)
1:00 終了
これに奈緒さんから「おおおおおおおお!!」、澤さんから「すげーー!!」とのレスをいただき、方向性はほぼ固まりました。
同時に澤さんから、改めて配信の確認もありました。
これをネットで流しておけばよいわけですね
Facebook や YouTube のライブで
これで企画はほぼ、固まりました。
また合間に、昨今の状況を踏まえた対応についても、次の通りに確認できました。
長屋は仕切りを開け放せば、屋外と同じ様な風通しになる
■1日の流れ
最後に1日の流れをお示ししました(この前に、1セッション90分となったので、その想定で作っています)
9:00 会場入り、準備開始
9:45 開場
10:00 第1回澤会開始
11:30(最大延長含め)終了
(休憩、片付け、消毒的なことなど)
12:45 開場
13:00 第2回澤会開始
14:30 (最大延長含め)終了
(休憩、片付け、消毒的なことなど)
15:15 開場
15:30 第3回澤会開始
17:00 (最大延長含め)終了
18:00 完全撤収
これに澤さんから「完璧や」とのコメントをいただき、セットとなりました。
③この会にお越しになる方の思い
「最近の状況で家に閉じこもりがち」だったけど、澤さんとお茶を飲みながら話して(「日本を変える」くらいの)開放的な思いになること
…と設定しました。
そこでPeatixには「3つのお土産」という表現で、その思いに至れることを示しました。
お土産は3つです。
①煎茶道師範の澤さんに淹れていただいたお茶を飲んだという経験
②人生の師範である澤さんと一問一答でお話することによる開放感
③経験とスッキリ感の余韻のお供となる澤さんの本
この企画は、おかげさまで上述の通り、数時間で完売となりました。ありがとうございました。
告知方法は、まず奈緒さんが自身のFacebookに書き、それにタグ付けされている澤さんや僕のFacebookスレで見られる状態…という告知だけで、完売です。
今回のさらなる特徴
「お茶」と「お菓子」にこだわることになったことです。
澤さんが「せっかくなので。ストーリーやご縁のある方の物を」と思われ、お茶は宮崎の白玄堂さんのもの、和菓子は澤さんの50歳の誕生日パーティーなどで素敵なケーキを作られた小島和美さんのものになりました。
なので、イベントにお越しになる方々は、おいしいお茶とお菓子、そしてお茶との組み合わせで免疫力を高める効果が想定されるお漬物などと一緒に、澤さんとの会話を楽しめます!
ちなみにお茶のことや効能などは、お茶屋さんの催事の店先で収録されたVoicyで語られています。
まとめ
このイベントがこの短時間でまとまった最大の理由は「澤さんご夫婦との信頼関係があったから」。これまでに関わった時間は限られていたものの、その間にお互い尽くした思いで形成された「信頼関係」があったからこそ、だと思います。
単発のイベントを考え、成立させる力を養うことも大事ですが、それ以上に日頃の人間関係が大事、だと思います。なので僕は日頃から「#呼吸するように幹事」を推奨しています。
その上でイベントを考える際は、
①条件・②主催者の思い・③参加者の期待
の3点を考えます。
特に①条件は、ハード面(場所、日時、設備、予算など)とソフト面(当日の時間の使い方、事前の告知、事後のフォローなど)の両方の確認を!
②はマルゼ(絶対やること)を確認し、③を意識しながらコンテンツを作りましょう!
ありがとうございます!頂いたサポートで、コミュニティ活動&幹事で知見を得て、また、共有します!