渋三さくら祭

リアルに集まらないと成立しないイベント、とは何か②

昨日のお題は「リアルに集まらないと成立しないイベント、とは何か①」。

具体的に考えた2点のことは「リアルに集まらないと成立しないイベントとは、何か?」、そして「そもそも、イベントとは何か」。

自分の経験から、リアルでないと成立しないイベントとは「ラストワンマイルに人の手が介在する時間」イベントとは「複数の人が同時に関わって、それまでに無かったものが現れる機会」と整理しました。
ちなみにイベントと言っても、趣旨や規模などで意味合いが違ってくると思います。その要素を勘案した分類は、改めて挑戦したいと思います。

また、日本イベント産業振興協会(JACE)の調査等をふまえ、イベントの構成要素として、

①人の集まり、②臨場感(プレゼンス)、②同時性(ライブ)

の3つがあげられると考えました。また、人の集まり=それを作る関係者は

1)主催者(=幹事)、2)出演者・主役(例:講師、プレーヤー)
3)参加者(例:観客など)

の3つを挙げました。

以上を踏まえ、「3つのきっかけ」から「リアルに集まらないと成立しないイベントとは」について、考えます。

①家内との会話 ②美容院での散髪 ③Jリーグの開幕

①家内との会話

僕の妻は音楽家です。フルート奏者としてコンサートを開催したり、教室で教えたりしています。他方、僕と言えば出来る楽器と言えばカラオケでのマラカスとタンバリン。音楽に関する造詣は、かなり差があります。そんな僕と家内で以前、オランダ・アムステルダムにある「コンセルトヘボウ」というコンサートホールを訪れました。

そこでとある有名な指揮者のコンサートに、最前列に座って鑑賞。
素敵な雰囲気のコンサートホールで、指揮者の方の(文字通り)飛び散る汗、それに合わせて演奏するオーケストラの皆さんの音楽を堪能しました。

コンサートを聴き終えて外に出た家内の一言、それは「生きていてよかった」。なんで?と聞いたところ「これほどの環境で、これほどの音楽を聴いたことがなかったから」。音楽に関して、妻に比べて造詣がかなり浅い僕には、素晴らしいとは思いましたが…そこまでは思えませんでした。

そんな妻に改めて「音楽は、リアルに集まらなければ成立しないものか」と聴いてみました。答えは「もちろん!」。「コンセルトヘボウ」を引き合いに、「あの雰囲気、空気感、熱量は、リアルでなければ作れなかった」

そう、リアルイベントの魅力≒雰囲気は、空気感×熱量、な気がしました。
空気感は物理的な場所や、ホールやコンサートの運営・企画者によって準備され、熱量は演奏者によって生み出され、雰囲気はその全ての組み合わせで出来上がります。

しかしこれは「場所」以外は、リアルでも、オンラインでも、同じかな、すなわち、音楽はオンラインに置き換えられる可能性を探れるかな、と思ったりしています。

ただし、昨日も書いた通り、そこで関係者が感じられる質の高低や量の増減が生じる可能性はある、と思います。なぜなら、演奏者は観客の反応で、演奏が変わるからです(これは一昨日書いた「ゲストとしての楽しみ方」で触れています)。何より、主体である演奏者はリアルに集う必要があります

また、熱気の伝播の仕方の一つである指揮者の汗(嗅覚への刺激)は、オンラインでは伝わりません。オンラインでそれを伝えるには、映像の高度な力が必要になって来ると思います。

②美容院での散髪

そんな会話の後に、美容院に散髪へ行きました。
散髪して頂きながら、この身体接触を伴う時間はリアルでないと成立しないな、と思いました。

散髪は、僕にとってはイベントです。
美容院といういつもと違う場所、感じの良い受付の方、髪を切るスタイリストというプロ、そして、僕という人の集まり(=座組み)で、身体接触という臨場感、そして、髪を切る前と後で起きる変化という同時性を、僕は堪能します(でも、JACEの集計に入る対象ではありませんね…)。

この「散髪」というイベントは、スタイリストが僕の髪を切る、という主役と参加者の身体接触という「ラストワンマイルに人の手が介在する時間」がないと、成立しません。ゆえに「散髪」は、さすがにオンラインには置き換えられなさそうです。

③Jリーグの開幕

ちょうど昨日、Jリーグが開幕しました。
昨今の状況を踏まえ、Jリーグとしても対策を発表するとともに、各チームも個別に対応しているようです。

ニュースでヴィッセル神戸の取り組みが採り上げられていました。その一つは歌、チャント、肩組などの応援行為の禁止。
Jリーグが発足した1995年に阪神・淡路大震災があり、その地震当日がヴィッセル神戸の練習初日だったことなどから、神戸の復興とヴィッセル神戸の活躍は、特に地元では紐づけられて考えられているようです。その現れの一つが応援歌の「神戸讃歌」の合唱。

しかし、今回の対策によって歌が禁止されたことから、「神戸讃歌」の合唱ができない、という事態になってしまいました。インタビューされていた方は「寂しいが仕方がない。心の中で歌う」と答えておられました。

そもそも「サッカー」自体が、①の音楽同様、「ラストワンマイルに人の手が介在する時間」があるので、リアルでないと成立しない、と思うと共に、その場にいる観客の皆さんの応援も含めて「Jリーグ」の試合なのだな、と改めて思いました(これまた「ゲストとしての楽しみ方」に通じます)。

まとめ

イベントの奥深さを、改めて思い知りました
リアルのオンラインへの置き換えの可否は、「イベント」の構成要素、イベントの「関係者」の関わり、未整理のイベントの「種類」などを合わせて考える必要があるな、と思いました。そもそもの整理を続けます。

先程、新型コロナウイルスの感染拡大防止に関して、国の専門家会議の見解が報じられました
「今後1〜2週間が瀬戸際」とのことです。引き続き、個人でできることに努めつつ、リアルイベントは最小限にとどめ、新たなイベントの開催方法の模索のタイミングと捉えてオンラインへの切り替えや、時期の先送りなどを考える時なのかと思います。

(写真は渋谷駅界隈で再開発が続く「渋南」エリアで開催されている桜祭りの様子です。思えば祭りも、リアルとオンラインでは「意義」が違ってきますね)



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