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【ドバイの税務申告と納税:意外と簡単?それとも落とし穴だらけ?】

こんにちは、行政書士の佐々木です。

今回は、ドバイの税務申告と納税についてをお話しします。

「え?ドバイって税金ないんでしょ?」なんて思っている方、ちょっと待ってください。
実は最近、いろいろ変わってきているんです。


ドバイの税務申告と納税は「簡単」と言われていますが、本当にそうなのでしょうか。

実際のところ、良いところもあれば落とし穴もあります。

それでは、これからドバイの税務申告と納税の仕組みについて、メリットとデメリットを包み隠さずお話しします。

この情報は、ドバイでビジネスを展開する日本企業の方々にとって、非常に重要なものとなるでしょう。



1.ドバイの税金システム概要


ドバイの税金はもとい経済システムは、ここ数年で大きく変化しています。
私が2年前ドバイに来た時とは、まるで別の国のようです。

法人税

2023年6月から導入された新しい税金です。
これは、ドバイの経済構造を大きく変える可能性のある重要な変更点です。

  • 対象:年間利益が375,000ディルハム(約1,400万円)を超える企業

  • 税率:9%

ただし、フリーゾーン企業は基本的に免除されます。
ここがポイントですね。

例えば、私の知り合いであるA社は、年間利益が500,000ディルハム(約1,900万円)ありますが、JAFZAのフリーゾーンに登録しているため、法人税は免除されています。
一方、本土で事業を行っているB社は、400,000ディルハム(約1,500万円)の利益に対して9%、つまり36,000ディルハム(約135万円)の法人税を払うことになった企業もあります。

付加価値税(VAT)

2018年から始まったこの税金は、今ではかなり定着しています。

  • 税率:5%

  • 対象:ほとんどの商品とサービス

導入当初は混乱もありましたが、今では日常的な取引の一部となっています。
例えば、100ディルハムの商品を買うと、実際には105ディルハム支払うことになります。

ただし、注意が必要なのは、一部の商品やサービスは非課税または免税になっていることです。
基本的な食料品や医療サービスなどがこれに該当します。

個人所得税

個人所得税はまだありません。
ただし、「まだ」というのが重要なポイントです。
将来的な導入の可能性は否定できません。

現在、給与所得者にとってはこれが大きな魅力になっています。
例えば、年収10万ドル(約1,100万円)のIT技術者Cさんは、日本なら約220万円の所得税を払う必要がありますが、ドバイではこれがゼロです。
ただし、これがいつまで続くかは不透明です。

その他、ぜいたく税(お酒やたばこなど)も存在します。

2. 法人税の申告と納税


新しい税金なので難しそうに思えるかもしれませんが、実は意外と簡単です。
ただし、注意点もあります。

申告の流れ

  1. 会計年度終了後9ヶ月以内に申告が必要です。
    例えば、12月決算の会社なら、翌年の9月末が期限となります。

  2. 申告はオンラインで行えます。
    Federal Tax Authorityのウェブサイトから簡単に申告できます。

  3. 必要な情報:

    • 会社の基本情報(会社名、登録番号、住所など)

    • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書)

    • 税額計算書

私はドバイに会社を立ち上げてまだ2ヶ月程度なのでまだ経験はありませんが、FTAのウェブサイトは日々税制の情報収集でアクセスしており非常に使い勝手が良いと感じています。

納税方法

  • オンラインバンキングで支払い可能

  • クレジットカード決済も可能(ただし手数料に注意)

例えば、NBDのオンラインバンキングを使えば、数クリックで納税が完了します(聞いた話なので、自分では未確認ですが)
ただし、クレジットカード決済の場合、2-3%の手数料がかかることがあるので注意が必要です。

注意点

  1. 期限厳守が重要です。
    遅れると高額なペナルティが課されます。
    具体的には、最初の月に未払い税額の5%、その後毎月1%(最大300%まで)のペナルティがあります。

  2. 記録は7年間保管する必要があります。
    これは電子データでも構いませんが、バックアップを取ることを強くお勧めします。

  3. 赤字企業も申告が必要です。
    「うちは赤字だから関係ない」と思っている方、要注意です。
    赤字でも申告義務があります。

3. VAT(付加価値税)の申告と納税


VATは少し面倒に見えるかもしれませんが、慣れれば意外と簡単です。

登録

  • 年間売上が375,000ディルハム(約1,400万円)を超えたら強制登録

  • それ以下でも任意で登録可能

例えば、初年度の売上が300,000ディルハム程度でも、将来の成長を見込んで任意で登録することで仕入れにかかるVATの還付を受けられるようになった事例もあります。

申告の頻度

  • 標準:四半期ごと

  • 大企業:毎月

  • 小規模事業者:年1回の選択肢あり

多くは四半期ごとの申告を選択しているとのことす。
これにより、キャッシュフローの管理がしやすくなっているようです。

申告の流れ

  1. オンラインポータルにログイン

  2. 売上と仕入れのVATを入力

  3. 差額を計算(システムが自動で行います)

  4. 提出ボタンをクリック

全体の作業時間は、慣れれば30分程度で完了するそうです。
ただし、事前の準備(インボイスの整理など)にはもう少し時間がかかるかもしれません。

納税

申告と同時に納税額が計算され、オンラインで簡単に支払いができます。

例えば、四半期の売上VATが100,000ディルハム、仕入れVATが80,000ディルハムだった場合、差額の20,000ディルハムを納付することになります。

注意点

  1. インボイスの保管は必須です。
    電子でも可能ですが、適切な管理システムが必要です。
    クラウド会計ソフトを使用している企業が増えています。

  2. 仕入税額控除の規則をしっかり理解しておく必要があります。
    全てが控除できるわけではありません。
    例えば、接待費に関するVATは控除できないケースがあります。

  3. 期限厳守が特に重要です。
    VATは特に厳しい規制があります。
    遅延ペナルティは最初の月に未払い税額の5%、その後毎月2%(最大300%まで)です。

4. 個人所得税は?


個人所得税は現在ありませんが、将来的な導入の可能性は十分にあります。

現状

現時点では個人所得税はなく、給料やボーナスは全額手取りとなります。
これは、多くの外国人労働者にとってドバイの大きな魅力の一つです。

将来の可能性

  • 国際的な圧力が強まっています。
    OECDなどの国際機関から、税の公平性の観点で圧力がかかっています。

  • 財政需要も増加傾向にあります。
    インフラ整備や社会保障の充実に伴い、新たな財源が必要になる可能性があります。

注意点

  1. 日本の税務署からは「日本で納税せよ」と言われる可能性があります。
    国際的な税務ルールは複雑です。
    例えば、ドバイに1年未満しか滞在していない場合、日本での課税対象となる可能性があります。

  2. 社会保険料、年金などに該当する制度は存在します(アラブ首長国連邦(UAE)2023年の年金および社会保障に関する連邦法令第57号参照)。
    会社が負担しますが、間接的には従業員の負担となる可能性があります。

  3. 将来の変更に備えて、常に最新情報をチェックすることが重要です。
    税制は予告なく変更される可能性があります。
    定期的に専門家に相談することをお勧めします。

5. 日本との比較

法人税

  • 日本:実効税率約30%(法人税、住民税、事業税の合計)

  • ドバイ:9%(ただしフリーゾーンなら基本0%)

この差は大きいですね。
例えば、利益1億円の企業の場合、日本なら3,000万円の税金ですが、ドバイのフリーゾーンならゼロです。

申告の手間

  • 日本:複雑な書類作成が必要、税理士依頼が一般的

  • ドバイ:オンラインで比較的簡単、ただし英語力が必要

日本では確定申告の時期になると、多くの経営者が頭を悩ませます。
一方、ドバイでは数時間で申告が完了することも珍しくありません。

納税

  • 日本:複数の税金を別々に納付

  • ドバイ:基本的にオンラインで一括納付可能

日本では法人税、消費税、住民税など、複数の税金をそれぞれ別々に納付する必要があります。
ドバイではほとんどの場合、一度の操作で全ての納税が完了します。

税務調査

  • 日本:頻繁にあり、厳格(わたしの周りでもよくあります)

  • ドバイ:まだ珍しいが、今後増える可能性大

日本では3-5年に一度は税務調査があるのが一般的です。
ドバイではまだ珍しいですが、今後増える可能性が高いです。
特に、新しい法人税制度の導入に伴い、調査が増えると予想されています。

6. プロが教える裏技と注意点

  1. 記録管理がすべて

    • クラウド会計ソフトの利用を強くお勧めします。
      例えば、Xeroやクイックブックスなどが人気です。

    • 日々の入力が非常に重要です。
      月末にまとめて入力しようとすると、必ず混乱が生じます。

  2. 言語の壁に注意

    • 税務関係の文書は基本的に英語とアラビア語です。
      特に複雑な取引の場合、誤解が生じやすいので注意が必要です。

    • 不明点はすぐに専門家に相談しましょう。
      「たぶん大丈夫」は危険です。必ず確認しましょう。

  3. 国際税務の知識が必要

    • 日本とドバイの両方の税制を理解する必要があります。
      特に、日本に一時帰国する際の税務上の扱いには注意が必要です。

    • 特に移転価格税制には要注意です。
      グループ企業間の取引価格が適正かどうか、常にチェックが必要です。

  4. アップデートをチェック

    • ドバイの税制は変化が速いです。
      例えば、VATの導入から法人税の導入まで、わずか5年しかありませんでした。

    • 定期的な情報収集が欠かせません。
      現地の会計事務所や行政書士事務所からのニュースレターの購読をお勧めします。

  5. 専門家のネットワーク作り

    • 現地の会計士や税理士とのコネクションを作っておくと安心です。
      特に、アラビア語での対応が必要な場合に重宝します。

    • ただし、必ず複数の意見を聞くようにしましょう。
      ドバイでも専門家によって見解が分かれることがあります。

おわりに


ドバイの税務申告は、一見シンプルなように見えて数々の落とし穴があります。
ご自身でやろうとすると思わぬ事態に巻き込まれ、場合によっては会社やライセンスの取り消しになる可能性もありますので不明点がある場合はぜひ専門家へご相談ください。

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