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2025/2/9 (日) 振り返りと展望
今週は、トランプ大統領の関税政策に振り回されました。日経平均はほぼ週間通じて動かず、米国はわずかに上昇でした。
【振り返り】
先週は、トランプ氏がカナダとメキシコに関税発動が確実視される中、まずはメキシコの関税発動1ヶ月延期、続いてカナダも延期となりました。ただ、中国には10%の関税は発動となったようですが、それに反応した中国の対応措置は品目をしぼったものとなり、控えめな内容。これにより大きな貿易戦争となることは避けられました。
ISM製造業景況指数は50をこえて景気拡大する一方で、非製造業景況指数は50以上は維持しましたが、前回を下回りました。米経済の大半を占めるサービス業が勢いを失いつつあることは、今後の経済失速の予兆でしょうか。
米ベッセント財務長官は、10年債利回り低下につながる政策に重点を置くと発表。FRBを批判することはひかえるとも述べました。
国内では、厚生労働省が発表した毎月勤労と統計調査では名目賃金、実質賃金ともに上昇。これにより日本金利は上昇し、ドル円相場は一気に円の買い戻しに。
加えて、日銀田村審議委員は年内に少なくとも1%程度まで政策金利を引き上げる必要があると述べ、日米の金利差が更に縮まり、ドル円は151.24円まで円が買われることになりました。
そして週末の雇用統計。結果は、非農業部門雇用者数は減少しましたが、失業率は低下、時給は伸びる結果に。迷わせる内容でしたが、結果的には円高が進んで150円台まで買われました。
日産がホンダとの経営統合を撤回すると伝わり、日産の株は暴落し、ホンダは高騰。ホンダにとっては負債となり得る見方が強かったのかなと感じました。
石破総理とトランプ大統領の会談は和やかな雰囲気でした。日本企業による対米投資額を1兆ドルに引き上げると表明したことで、友好的なムードになったと思われます。
日本製鉄とUSSの関わりについても、明確に否定したわけではないので、今後も継続して検討されることとなりました。
今朝のTVニュースを見ていたところ、トランプ氏が手を添えて握手するシーンは、過去に安倍晋三元総理と英国のテリーザ・メイ首相だけだったそうで、石破さんは3人目。ドイツのメルケル首相とは握手すらしませんでした。
ともあれ、一旦は米国との強い絆は維持されたのではないでしょうか。
終わってみると、関税発動は中国にのみに課せられることになりましたが、報復は限定的で、思ったほどのインパクトはなかったのかなと感じました。
しかしながら、151円までの円高は日本株には重荷となり、冴えない動きが継続することとなりました。
【展望】
今週は、11日のパウエル議長の上院議会証言に注目したいところ。
市場では、次回利下げは6月以降との見方が強くなっている中で、パウエル議長がどのような見方を示すのかに注目です。利下げの前倒しには動きにくいところですが、これまでにいくつかの米経済の失速を示す数字もあるので、そのあたりにどのように見ているのかは見所。
12日の米CPIにも注目。物価の低下基調が続くかどうか。
そして先週に引き続き関税問題。一旦は中国の報復関税は品目を絞ったものでしたが、いつ拡大されるかはわからず注意が必要です。
日米首脳会談後の共同記者会見では日本への関税政策は具体的に話されませんでしたが、突然発表される可能性もないとは言えないので情報収集は大切です。
フジクラ、ソフトバンクG、ソニーGoogle Earth、JT、ホンダ、日産、郵政3社、損保3社の決算発表がひかえています。
好調な内容ならば、再び4万を目指す動きも期待できそうです。
【経済指標予定】
企業決算の主なものも追加しています。
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【チャート分析】
今週の日経平均はほぼ動かずでした。
月曜日に大きく下げて始まりましたが38,500円付近では買い支えられ、底堅い動きに。ですが、なかなか20MA、60MAを超えられずに、下は100MAに支えられているような格好です。
短中長期移動平均線の向きが全て下を向いており、来週安く終わるならば、20MAが60MAを下に抜けて、下落のPO達成となります。
2/3の安値38,402円を割り込めば、引き続き下落トレンド継続ですが、陽線を付けて2/6の高値39,190円を抜けるならば、上昇トレンドに転換となります。
また、図のように三角持ち合いにも見えるので、上の下落ラインをローソク足が上に抜けると強く上昇する可能性が高まります。
反対に、38,400円を割り込むと下落トレンド継続となってしまい、その場合は38,000円付近まで売られる可能性があります。
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明日以降の動きを3パターン予想してみました。
①三角持ち合い上放れで上昇
②三角持ち合いの下側のラインまで一旦下落して反発
③三角持ち合い下放れで38,400円付近まで下落
金曜日の米国市場は1%前後の下落で終えているため、明日の日経平均株価は安く始まることが予想されます。
そうなると、②か③が濃厚に感じますが、どちらになるかは企業決算次第ではないでしょうか。
好決算でも売られる銘柄が多く、内容が良いから上昇するとは言い切れないところはあるのですが、EPSが高まれば必然的に株価は伸びてくるはずです。
ところが、最近の市況はトランプ氏の発言に一喜一憂しているところがあり、業績通りに株価は動かずに不安定な相場が続いています。
そして、151円までの急速な円高。これは日本株に取っては向かい風となり、上値が重いと思います。
パウエル氏の上下院議会証言での発言次第では、為替がどちらにも動く可能性があるので、場中は為替をチェックすることをお勧めします。
【投資主体別売買状況】
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1/31の週は、海外が売り越し。今年に入って、週替わりで売り越しと買い越し入れ替わっています。2月の1週目も売られていそうですね。
【ドル建て日経平均】
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円高になったおかげで、チャート的にはなかなか底堅い動きに変わりました。257.5ドルあたりが上限となっているような動き。
こちらだけを見ていると上昇していきそうな気がしますよね。
安値は切り上げってきているので。
【まとめ】
先週は、関税の発表で揺れ動いた1週間でした。今週は国内企業の決算が相次ぎ、米国においてもパウエル氏の議会発言、CPI、小売売上高が発表されます。
これらの内容だけで素直に株価が動くならば良いのですが、トランプ砲があるために、突然のショックが走り得ます。注意必要です。
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