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2025/2/22(土) 株式市況
【朝通信】
米主要3指数が1%超の下落
21日、米株式市場で主要3指数が揃って1%を超える下落を記録。NASDAQは2.2%の下落幅を記録。米景気指標の予想外の悪化によりリスク回避の動きが強まり、株式の売りと債券の買いが進行。米金利が下落し、ドル円相場では円が買われた。主要ハイテク株のM7は全て下落し、TeslaとNVIDIAは4%を超える下落幅を見せた。
製造業PMIは堅調、非製造業PMIは低迷
米2月製造業PMIは51.6で、予想の51.4や前回の51.2を上回った。一方、非製造業PMIは49.7で予想の53.0、前回の52.9を下回り50を割り込んだ。製造業は50を超えているが、関税発動前の駆け込み生産による一時的な可能性が高いとみられる。米国産業の大半を占めるサービス業の活動縮小は、米政府の支出削減と関税強化が要因とされる。
中古住宅販売が市場予想を下回る
米中古住宅販売は408万戸と市場予想の413万戸を下回った。住宅ローン金利が政策金利引き下げにもかかわらず7%前後の高金利で推移していることが懸念材料となっている。株価上昇が高所得者の購買意欲を高め、住宅市場は高額価格帯へシフトし、平均価格は上昇している。
消費者信頼感指数とインフレ期待
米ミシガン大学消費者信頼感指数は64.7で、予想の67.8や前回の67.8を下回った。1年先のインフレ期待は4.3%で予想の4.3%、前月の3.3%を上回り、5-10年先のインフレ期待は3.5%で予想の3.3%、前回の3.2%を上回った。関税政策などの先行き不透明感により消費者マインドが低下し、インフレ期待が高まっている。
米国債利回りの低下
米国債は上昇し、10年債利回りは4.43%、2年債が4.20%といずれも大幅に低下。10年債利回りは週間ベースで6週連続で低下している。
円相場の動向
外国為替市場では、円相場が一時148.93円まで円安となった。日銀植田総裁が金利の急上昇に機動的に対応すると発言したことで、国債買い戻しが活発化し、金利が急低下。円は一時150円台を回復する場面もあったが、米PMI発表後に再び円高に振れた。
原油相場の今年最安値
原油相場は今年の最安値を記録。イラクからの供給増加の可能性などから、供給抑制の見通しが弱まり、売りが優勢に。OPECやOPECプラスが原油供給抑制解除を延期する観測が強まっているほか、ウクライナによるカザフスタンのパイプラインへのドローン攻撃で供給不透明感が残るものの、原油の下落は抑制的。
日経平均株価の反発
21日の日経平均株価は反発し、終値は前日比98円90銭(0.26%)高の3万8776円94銭となった。前日の米株安の影響で朝方は売りが先行したが、日銀植田総裁の発言を受けた国内金利低下や円相場の下落を材料に買いが入った。買い一巡後は利益確定や戻り待ちの売りが出て、前日終値(3万8678円)を挟んで方向感を欠く展開に。東証プライムの売買代金は概算で4兆3160億円、売買高は19億4682万株。東証プライムの値上がり銘柄数は556、値下がりは1031、横ばいは53となった。
【考察】
米国のPMIは製造業が拡大、サービス業が縮小。これまでの状況が反転しました。米国産業はサービス業が大半を占めるため、この状況はは足かせになりそうです。
消費者マインドは最悪の状況に。先日のウォルマートの見通し悪化などにはその兆候がありました。ローン金利上昇などによる住宅販売件数の落ち込みや、物価上昇などで消費者マインドが低下しています。これらの経済指標の悪化に伴い、投資家はリスクオフ姿勢を強め、資金を株から債券に振り向ける傾向があります。
これらの指数の悪化は政策金利の追加利下げ期待を高め、長期債利回りは低下しましたが、物価高のまま経済活動が縮小するスタグフレーションの懸念も出始めています。
日本株は、日銀植田総裁が行きすぎる金利高には積極的に対応すると発言したことで、長期金利は下落し、円安に動いたため、買い戻される場面もありました。しかしながら、昨夜の米国株下落、そして再び円高に動いたことで、来週の日経平均は大幅に下落することが予想されます。
良い週末を