「好き」がある人への祝福ー映画『メタモルフォーゼの縁側』を観てくれー
「これはもう祝福だな」と思った。
女子高生と老婦人。歳の差58歳の二人がボーイズラブを通して交流を深めていく映画『メタモルフォーゼの縁側』。鶴谷香央里先生の優しくあたたかい原作を丁寧に映像へと翻訳した作品だ。まずはこちらの予告編を見てほしい。
もはや予告編だけで泣ける。愛おしさと尊さを思い出して泣ける。6月の終わりにこの作品と出会って以来、時折、思い出しては目頭を抑えてる。この作品は「何かを好きになったことがある人」「『好き』を通して人と繋がったことがある人」への祝福だと思う。この祝福をたくさんの人に浴びてほしいので、ここに『メタモルフォーゼの縁側』への想いを綴る。
『メタモルフォーゼの縁側』という祝福
好きが溢れる映像
『メタモルフォーゼの縁側』は、なによりもまず映像が美しい。きらきらとあたたかく、柔らかな光に包まれてるような映像が印象的だ。主人公2人を結びつけたBL漫画。それを観客も知ることができる仕掛けがうまい。
個人的には、女子高生と老婦人をはじめとするはまざまな対比を映像的にも行ってるところが好きだ。うららさんと雪さん、雪さんと雪さんの娘さん、うららさんとお母さん、うららさんとクラスメイト…。一人ひとり違う人間だからこそ「好き」で繋がる尊さに目頭が熱くなる。
原作の力を信じた脚本
実写化というのは、2次元の物語を3次元に翻訳することだとわたしは思ってる。しかし、時には映像、映画というフォーマットに合わせて意訳することもある。その意訳が上手いと感じることもあれば、下手だと思うこともある。
そんな中で映画『メタモルフォーゼの縁側』は、原作の力を信じていた。「映画ならこういうストーリーにするだろうな」と思っていたシーンが原作通りで、「ああ、製作陣は原作の力を信じて作ったんだ」と感動した。パンフレットを読むと「脚色に徹した脚本作り」を行なっていたと書かれていたので、わたしの感動は確信になった。
素晴らしい俳優陣
何よりも主演の2人が素晴らしい。うららさんを演じる芦田愛菜さん。うららさんの常にどこか緊張してるような表現、それでいてBLについて語るときの目の輝き。しぐさ、セリフ、その一つ一つが佐山うららというキャラクターを、わたしたちと地続きにいる人物にした。
市野井雪を演じる宮本信子さんもまた素晴らしい。雪さんはうららさんから見れば人生の大先輩である。でも、うららさんと同じ目線で好きなものを語り、共有する。
縁側で育まれる2人の友情が、こんなにも尊く愛おしいものになったのも、芦田愛菜さんと宮本信子さんの演技が素晴らしかったからだ。そんな2人が歌うエンディングテーマは落涙必至。最後まで楽しんでほしい。
9月10日(土)、上田映劇にて上映開始!
さて、6月の終わりに観た『メタモルフォーゼの縁側』について、なぜこのタイミングで想いを認めているかというと、9月10日(土)から上田映劇で上映開始となるから。
一人でも多くの人に観てほしい。「好き」なものがある人への、推しがある/いる人への祝福に溢れたこの映画をたくさんの人に観てほしいと心から思う。
というわけで、お近くの方はぜひお運びください。