見出し画像

一匙の好奇心と上田の街


上田の街に住んで3年半が経つ。

移り住む前の上田に関する知識は「めっちゃ山に囲まれてる」「『サマーウォーズ』の舞台」「『真田丸』がめちゃくちゃ盛り上がった」「本屋と映画館はあるからなんとかやっていけそう」くらいのゆるふわだった。

それが「え?地元(出身)の人じゃないの?」と言われるほどには、上田に関する知識も増えた……と思う。上田映劇にいると街の人にも観光で来た人にも「この辺でいいとこある?」と聞かれる。なので、暇を見つけては実地調査と称してあちこち遊びに行ったのが功を奏してる(はず!)

ところで仲良くしてくれている人の多くは上田が好きな人たちなのであまりないけど、ごく稀に「上田には何もない」という言葉を耳にする。「いやいや〜、そんなことありませんぜ、旦那ァ」と返したくなるけど、直接言われたわけじゃないのでそっと心にしまってる。

でも、上田の好きな場所、いいなと思う人/物についてつらつらと書き綴ろうと思う。誰に宛てるわけではないけど。


▷Books and Cafe NABO(本屋未満)

画像1

上田で一番好きな場所と言ったらやっぱりNABOをあげる。今はもう本屋未満という名前だけど。上田で住む家を決めた帰り道、「ここ(NABO)があれば、私は生きていけるな」と思った。古本に囲まれた穏やかな時間が流れる場所。その時飲んだジンジャーミルクが美味しくて、冬になるとヘビロテしてた。カウンター席が好きで、店員さんとお喋りしたり、時には書き物をしたり、イベントをやってみたり。色んな人に出会えた場所で、恐竜友だちにも出会った。今、本屋未満は週末のみの営業だけど、毎回素敵なイベントを企画してるのでぜひ行ってほしい。


▷TORTOISE COFFEE BEANS BY UNITE

画像2

NABOと同じくらい、いや、今になってはそれ以上に通い続けてるトータスコーヒー。マスターや隣り合ったお客さんと話をするのが好き。できるだけ空いてる時間に行ってカウンターでゆるゆる過ごしてる。コーヒーを飲みたいけど何を飲んだら…と思って足を運ぶ人から丁寧に好みをヒアリングして提案するマスターの姿勢が好きだ。ここで偶然出会ったアクセサリー作家のsatokoさんのイヤリングがとても好きで、ここぞという時にお守りみたいに着けてる。月末もしくは月初めには上田市在住の歌人・日向彼方さんが参加してる短歌のネットプリント企画「dectet(デクテット )」を読むのも習慣の一つだ。

そういえば、先日、NABOの元店長・池上幸恵さんとトータスのマスター・中沢康輔さんがそろってこの記事で取り上げられてた。すごく素敵な記事。


▷犀の角

大学時代、演劇好きな友人が色々と連れて行ってくれたおかげで、演劇を楽しむ下地のようなものができたと思う。積極的に観に行くというわけではないけど、たまに犀の角さんでやるお芝居を観ては心揺さぶられてる。カフェ営業もしている犀の角さん。リベルテの角という企画で、NPO法人リベルテさんの方々がお昼を出していた時はよく足を運んだ。鶏団子汁が泣きそうなくらい美味しくて、窓側の席に座ってぼんやりしながらいただいた。上田は犀の角だけじゃなくてサントミューゼもあって、演劇が楽しめる街だ。まだサントミューゼで作品は観たことないのだけど…。(いつか観たい!)劇場兼ゲストハウスな犀の角さん。一度でいいから泊まってみたい。


▷バリューブックス

NABO改め本屋未満を運営しているのが上田に拠点を置くVALUE BOOKS(バリューブックス)だ。古本の買取と販売を通して様々な取り組みを行なってる企業。WEBマガジン〈End Paper〉はとても読み応えがある。個人的には古本の移動販売車・BOOK BUSの取り組みとその東北ツアーを追ったドキュメンタリーが好きだ。本を通して人々が笑顔になっていく瞬間が尊い。こちらの記事の最後に本編が載ってるのでぜひ観て欲しい。


▷papetree

画像3

魔女の工房のような素敵なお花屋さん。お花の知識ゼロなので毎回「こんな雰囲気の人に、こういう目的で贈りたい」とふんわりしたお願いで花束を作ってもらってる。贈るのも、貰うのも嬉しくなれる花束。店主の山﨑さんはほんわかしてて癒される人、親しみを込めてパペさんと呼んでる。パペさんの花束を使って撮影したい!


▷岡崎酒造

時折、足を運ぶ岡崎酒造さん。お目当ては『亀齢』…ではなく、おかざき真里先生の大きなタペストリー!(申し訳ない!私はお酒が飲めないのだ!)岡崎酒造さんは『阿・吽』や『サプリ』などで知られる漫画家・おかざき真里先生のご実家。ということで、ここでしか見られない素敵タペストリーが掛かってる。今現在はアマビエさん。惚れ惚れするほどの美麗イラスト。また甘酒をいただきがてら見に行こう。ちなみにおかざき真里先生の作品は『かしましめし』が好き。

画像13


▷檸檬

「夕飯お世話になってるランキング」の第1位なのでは?ってくらい頻繁に行く。突発的あんかけ焼きそば症候群に襲われるのだ。カラシを溶いた酢をかけながら食べるあんかけ焼きそばがまたうまいのだ!そして何より女将さんの笑顔が柔らかくて好きだ。檸檬さんと大泉洋さんの関係も好き。去年(2019年)の5月、久々に上田に凱旋された大泉さん。大泉さんのために早くお店を開け、早く閉めて舞台挨拶へと足を運んでくださってた檸檬さん。胸熱じゃない?…は!突発的あんかけ焼きそば症候群が…!(あんかけ焼きそば食べたい)

画像6


▷和菓子、洋菓子、甘味処

城下町だからか、歴史ある和菓子屋さんが多いなという印象。まだまだ開拓中。御菓子処千野さんのアマビエ、美味しくて可愛い。

画像7

洋菓子も気になるところがちらほら。海野町にできたアップルパイ研究所Qさんはいいぞ。私はりんごアレルギーだからそんなに食べられないけど、ちょっとした手土産にすると喜ばれるし、観光に来た方にも勧めやすくて◎ なにより美味しい!(ちょっとだけ齧った!)

画像8

雪屋Concoさんも、お忘れなく。ふわふわで雪のようなかき氷が美味しい。でも、私は……私はたい焼きが好き!あと梅昆布茶が最高。梅昆布茶とたい焼きで優勝。

画像9


▷会いたくなる人たち

上田城にいけば信州上田おもてなし武将隊の真田幸村様たちがお出迎えしてくれる。街を歩けばたまーにご当地ヒーロー・六文戦士ウェイダーたちが撮影していたりする。イベントがあれば現在ゆるキャラグランプリにて奮闘中の真田幸丸君をお見かけする。関わる人々もファンの方も素敵だなと思う。特にファンの方々の推しへの愛が熱くてキラキラしてる。

画像10

人といえば『真田丸』のキャスト陣の方々の上田への心配りが胸に滲みる。別所線への応援ポスターのコメント、じんわり。キャストの方々もそうだし、今も真田丸や上田を愛してくださってる丸クラさんたちにもじんわりしてる。(ただ私は放映当時調子が悪くて『真田丸』視聴が途中で止まってるのです…すまん。もう少し元気になったらちゃんと見たいです。いえ、見ます)


▷おいでよ上田さん

もはや名指ししてしまう。私の上田に関する情報の半分はおい上さんの呟きが元になっており、勝手に外付けHDDにしてる。上田の街により深く関わっていけるようになったのはおい上さんのおかげと言っても過言ではない。「上田って何にもない」そんな風に思ってる人は、ぜひおい上さんのTwitterをフォローすることをおすすめしたい。きっと何かが見つかると思う。ちなみに今は「俺たちの花火プロジェクト」というかっこよすぎる企画をやってる。私も心ばかりだけど参加した。花火、楽しみだな。


▷写真を撮るのが楽しくなる景色

友人であるともちん(ともさん)の写真をよく撮る。それがあれよあれよと彼女のポートレート冊子を作る運びになり、春から販売を始めた。『#上田市でロリィタ』上田とともさんの魅力がギュッと詰まりまくった一冊だ。ポートレート冊子を作るにあたって上田の街中を歩き回った。上田城、駅前、海野町、袋町……ファインダー越しに見る上田の街は新鮮に映った。カメラを持って歩き回ると、上田ってこんなにもシャッターを押したくなる風景なんだと気付いた。

画像13

街中だけじゃない、少し離れたところにある旧宣教師館は、えもえものえも。レトロで可愛い、静かな雰囲気に包まれた建物。どこを切り取っても物語しか生まれない。最高。ちなみに『#上田市でロリィタ』は好評につき完売。 

画像12


▷合わせて9スクリーンある街

ここで暮らしていけると思った要因の一つにTOHOシネマズ上田がある。どちらかというと、大作映画が好きなのでTOHOがあればそれなりに観たい映画をカバーできると思ったし、実際にある程度観ることができてる。(それでも観れない作品もあるので長野・松本まで足を伸ばすけど!)

そして我らが上田映劇だ。番組編成さんが心血注いで選んだ映劇のラインナップは本当に気概があると思う。上田の人たちに「これを観て欲しいんだ!」って強い想いがある。映劇で上映するのはミニシアター系と言われる作品が多い。だからどうしてもシネコンとは違うと比較されがちだ。それも一つの考え方としてありだけど、私は「上田映劇とTOHOシネマズ上田、上田の街には合わせて9スクリーンもある」って考えが好きだ。シネコンかミニシアターか、どちらが良いとかじゃなくて、両方あることは幸福なのだ。だって、それだけ多くの作品に触れる機会があるのだから。

画像13


▷雑記

音楽に明るくはないけど、上田にはライブハウスやジャズ喫茶、フォーク酒場があるし、なにより上田染谷丘の高校生たちによるバンド・Euphoric Album がCDデビューしたニュースはすごいなぁ!と目をパチパチさせたのを覚えてる。

まちなかキャンパスを通じて知り合った学生さんたち。企画力も行動力もすごい。自分よりも若い人たちの活躍に尊敬の念を抱いてる。最近は、時節柄仕方ないとはいえ会えなくて少し寂しい。

車の運転が得意ではないのでどうしても行動範囲が街中になりがちだけど、丸子や真田、武石にもおもしろそうなものがあるだろうなって思ってる。武石はこの夏、友人と撮影させてもらってすごく楽しかった。美ヶ原高原美術館行きたい!


▷おわりに

「上田には何もない」という言葉が私の中でぐるぐると渦巻いてたので、それを打ち消したくて書き綴ってみた。書けば書くほど、あれもこれもと浮かんでくる。kadokkoさんのピザが美味しいとか、ノキロさんの雑貨やお洋服が可愛いとか。信州国際音楽村のお花が綺麗だとか、温泉最高すぎてQOLが上がりっぱなしだとか。お酒が飲めたら居酒屋さんとが、アウトドアなタイプだったら山を楽しめたのかもとかとか。とかとかとかとか。とかが溢れる。上田の魅力を伝えたい!……なんて大それたことは思っていないのだけど、やっぱり好きなもの、おもしろいもの、いいなと思うものは声を大にして「私は良いと思う!」って叫んだ方が気持ちがいい。そして楽しい。Twitterで結構呟いてるつもりだったけど、こうしてまとめて書いてみるのもまた違ったおもしろさがある。

もしよかったら、あなたの街の好きなところを聞かせて欲しい、叫んでほしい。

一匙の好奇心を持って、上田の街を探検する。
(夜の柳町もいいぞ!)

画像14






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?