ほとばしる汗と大きな窓(寺下メロス に寄せて)
百景社with犀の角 トライアル公演 ひとり芝居『走れメロス』初日初回を鑑賞しました。
寺ちゃんこと寺下雅二(てらしたもとかず)さんが、太宰治の『走れメロス』を演じる、しかも、ひとり芝居。そのメインビジュアルがこちら。
もうこれ、絶対楽しいやつでしょ!!!!
と、即予約したわたしです。
鑑賞してみての感想はというと…
めちゃくちゃ楽しかった!!!
表情筋が痛くなるくらい笑った!!!
よくわからんが元気になった!!!
と、語彙力と引き換えに元気を得ました。
ありがとう、寺ちゃん。
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#寺下メロスに寄せて
語彙力低めの感想は、これくらいにしてもう少し感じたことをしたためていきたいと思います。
ほとばしる汗、汗、汗
こんなにも、役者が汗だくになる芝居というのもなかなかないんじゃないかと思うのです。腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ダッシュ…これでもか!と身体に負荷をかけながらメロスを演じる寺ちゃん。メロスの試練と重なる負荷の数々。ほとばしり、滴る汗が凄まじい。そして遺憾無く披露される寺ちゃんの筋肉。ムキムキ。
大きな窓、フレームの存在。
ずるいなと思うのが、犀の角のあの大きな窓を活かした演出。舞台を飛び出した寺ちゃん。犀の角の前を、海野町商店街を走る、走る。窓がフレームになって、寺ちゃんの走りっぷりを切り取る。演劇でありながら映像のように見える。加えて場内には更に本当に映像も流れてるのだから、うまく言えないけど重層的。
ていうか、あの窓使うの反則!!!!ずるい!!!あの窓使ってるだけで好きになっちゃう!!!(既に好き)
軽口はこのくらいにして、まじめにこの「犀の角の大きな窓」というフレームの存在についてすごく考えたいと思った。言語化したいのに、うまくまとまらない。難しい。
わたしたちは舞台装置
この『走れメロス』。大きな特徴はやはり観客を巻き込んでいくところにあると思う。
「応援求む!!!」とあるように劇中、わたしたち観客はメロスを、寺下メロスを応援させららる。させられる、というか、せざるを得ないというか、応援せずにはいられないというのが正確かもしれない。
メロスも、メロスを演じる寺ちゃんも、これでもかと肉体の限界に挑戦してるのです。その姿を目の当たりにし、そこにZARDの「負けないで」が流れたらもう…そんなの…応援せずにはいられないじゃないですか!!!!歌っちゃったじゃないですか!!!
正直、うちわ買っておけばよかったな!!!!ってちょっと思いましたよ。まさかこんなに応援したくなるなんて思わないじゃないですか。開演前に「うちわもありますよ」って言われた時、「(いや、うちわ…いる?)」と思ったのに、鑑賞中、全力で走る寺下メロス見てたら「メロス、頑張れー!頑張れメロスー!」って喉まで出そうになって、初めてうちわの必要性を感じましたよ、ええ!うちわがあれば!!!この熱い気持ちを!!!うちわに込めながら応援できたのに!!!
観客すらも舞台装置。いや、観客どころか、道ゆく人すら舞台装置にしてしまった『走れメロス』という恐ろしい芝居。演出も恐ろしいし、たった1時間足らずで心から応援したくなるメロスを演じた寺下雅二も恐ろしい。楽しかった。すごく楽しかった。悔しいくらいにおもしろかった。
愛すべき我らが寺下メロス
チラシの裏に載っていた写真がおもしろくて、犀の角チームに「写真がいい。ポストカードになってたら買う」と言ったのは、わたしです。
蓋を開けたら、その写真たちがブロマイドになってました。「まじかよ!」とめちゃくちゃ笑ったけど、作ってもらえてよかったなと思ってます。メロスがヒッチハイクしてるの買いました。
このブロマイドを見るたびに、表情筋が痛くなるくらい笑ったこと、寺ちゃんのほとばしる汗、心からメロスを応援したくなった気持ち、そういうのをぶわっと思い出して元気になれる、ような気がする。