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DIYBookScanner制作マニュアル


このマガジンについて

このマガジンではDIYBookScannerの作り方を複数回に分けて連載します。
DIYBookScannerとは非破壊で本をスキャンする機械です。
DIY初心者でも作りやすいようにシンプルな設計を目指しました。
材料も市販されており入手可能なものだけです。
比較的、低予算で作成でき、高速で高画質なスキャンが可能です。
非破壊の電子書籍化に興味がある方のお役に立てば幸いです。

プロジェクトの動機

何年も前から家にある大量の蔵書を片付けないといけないという割りと切羽詰まった事情がありました。
技術書や学術書はたまに読み返したいこともあるので、デジタル化して保存したいという思いもあり、何か良い方法はないかと模索していました。
当時(2021年頃)から非破壊で本をスキャンする製品はあるにはあったのですが、どれも一長一短なところがあり、自分で作ってしまおうと考えたのが本プロジェクトの始まりです。
最初の構想から3年も経って、ようやくまともな形になりました。
NT東京での展示やNoteの記事として公開までたどり着けたのは本当に感慨深いです。

DIYBookScanner紹介

DIYBookScannerは手動でスキャナヘッドを上下させて見開き2ページを同時にスキャンします。
ヘッドはカウンターウェイトにより小さな力で動かすことができ、1ページ当たり約2秒でスキャンすることができます。
対応する書籍のサイズは最大B5(182×257mm)まで、2つのラズパイカメラV3が左右のページをそれぞれ撮影します。
アクリル板がページを押し付けて平面化するため、画像処理による湾曲補正を必要としません。
撮影した画像の解像度は約300dpiになります。
画像処理によりアクリル板周辺を切り出し、より見やすい画像に変換することもできます。

左:カメラFOV、右:アクリル板による平面化
左からB5, A5, B6のサンプル画像
変換後の各サンプル画像
キャプチャソフト(SimpleBookCapture)

類似製品との比較

市販されている非破壊で本をスキャンできる製品をまとめました。
実際にこれらの製品を使用したわけではなく、Web上の情報を参考にしています。
本当ならきちんと競合調査したのちにプロジェクトを開始すべきでしたね。
詳細なレビューやベンチマークはまた追って記事にしたいと思います。
S社とI社、V社の製品は幾つかの理由から現実的ではないと思います。
C社製品とは価格やスキャン速度、解像度(dpi)の点において、そこまで差がないようにみえますが、DIYBookScannerにもアドバンテージはあります。
例えば材料費の内訳をみると電子部品(ラズベリーパイ、カメラモジュール、LEDライト)が6割近くを占めています。
これらの部品は汎用品のため、他の用途と共用できます。
LEDライトは普段は室内灯として使用できますし、電子工作が趣味で既にラズベリーパイを購入済みor予定の場合は実質的な負担はもっと低くなるでしょう。
また、画質というか最終的に出てくる画像はDIYBookScannerのほうがよいと思われます。
物理的に紙面を平面化するので文字の歪みが少ないこと、コントラスト調整や湾曲補正など複雑な画像処理を挟んでいないためです。
スキャン速度も実際の作業速度と違っている場合も多く、このあたりは今後実機を用いて検証していきたいと思います。
以上からターゲット層としてはDIYに興味と知見があり、自分で工夫しながらより良い画質にチャレンジしてみたい方になります。
逆にDIYの経験が全くなく、手っ取り早く電子書籍化したいだけの方はご自身で作ろうとするのではなく、既製品を購入されたほうが確実で安全だと思います。

非破壊スキャナの比較
材料費の内訳

マガジンの構成

ハードウェア編ではDIYBookScanner本体を作成します。
木材加工は危険な作業のため、安全には十分配慮してください。
ソフトウェア編ではラズベリーパイ5の初期設定やキャプチャソフトのインストールと簡単な使い方を説明します。
今後の取り組みの記事では現時点で把握している問題点や改良予定について記載しています。

・今後の取り組み
Comming Soon..

まとめ

DIYBookScannerはある程度の完成度になりましたが、まだ試作の段階です。
ハードソフトともに今後も改良を加えていきたいと思います。
最後に本プロジェクトを進めるにあたって何名かの方からアドバイスや励ましをいただきました。
この場を借りて深く感謝申し上げます。

免責事項

DIYBookScannerは市販製品のように安全性、耐久性、品質の確認をしていません。
材料一覧や作業動画を載せていますが、あくまで参考情報です。
材料選定から加工、組み立て、完成後の使用まで全てご自身の判断と責任のもとで行ってください。
本マガジンの情報により、直接または間接的に発生した損害、不利益に対して作者は一切の責任を負いません。


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