難関大受験者のための世界史の教科書1.はじめに

・本noteの執筆にあたり

 ・2つの不足

 世界史の教科書・参考書において、難関大(東大、京大、早慶レベル)を目指すに適した参考書は未だありません。多くの世界史の参考書は世界史が全く分からない・世界史が苦手だという人や、日東駒専・関関同立レベルの人にも売れるように配慮して設計されており、難関大を目指す人にとってはいささか内容が薄すぎます。なぜなら、その方が「売れるから」です。一方で、難関大を目指す人のための参考書は1つもありません。なぜなら、「売れないから」です。

 難関国立大を中心に考えてみましょう。例えば、東大世界史を分析してみると、「世界システム論」という考え方がしばしばベースになって、現代の歴史的事象と絡めているのが分かります。しかし、「世界システム論」について受験生の論述に資するように詳細に解説したものはなく、私が見た参考書の中で最も詳しく書かれている『詳説 世界史研究』(木村靖二他、山川出版社)ですらも、本文ではなく補論に8行程度という記述にとどまっています。それも、「世界システム論とは何か」という趣旨の説明にとどまり、受験生が論述をするために用いる「歴史観」を構築するのに資するとは到底言い難いです。

 なぜ「歴史観」の構築が重要なのか。それは、論述の上での「取捨選択」のベースとなるからです。東大の第一問の大論述は、数世紀、数地域に渡って論述しなければならず、その字数制限も非常に厳しいです。そのような状況下で、「何を書いて何を書かないか」という情報の取捨選択が非常に重要になってきます。その時に基準となるのが、「自分の歴史観」です。自分の歴史観に基づき、「ここは入れなきゃ説明ができない!」というところと、「ここはなくてもいいかな……」とはっきりさせることで、答案用紙に何を書くかが明確化します。そこがはっきりしていないと、「何から書いていいのか分からない……」という、「書く候補が多すぎて分からない」状態になります。

 これは難関大受験生ならではの、勉強しているからこその弊害でもあります。通常の受験生であればただ「習ったこと、知っていることを書けばいい」となるのが、難関大受験生は「知りすぎていて分からない」となるため、「分からない→まだまだ勉強不足」だと誤った考え方をしてしまうとどんどん泥沼に嵌っていきます。

 しかし、難関大レベルに対応する教科書・参考書がないため、現状では「〇〇大対策問題集」といった問題集ベースで演習するしか手立てがありません。ですが、問題集ベースでは体系的な理解が難しいのです。歴史を学習をする上では「理解」が大事であると言われますが、「理解」ができるように書いてある市販の参考書はなく、問題集ベースで勉強をすると、「問題集でやった短い論述をつなぎ合わせて大きな論述を作る」という方法に落ち着きます。しかし、これでは「暗記」をしているのと変わりません。そこには、「歴史観」が存在しないのです。これが、難関国立大を中心に考えた現在の世界史界隈での1つ目の不足になります。

 次は、難関私大を中心とした不足です。2つ目の不足は、「重要性の不一致」です。
 先ほど、「難関大受験生は知りすぎている」という話をちらっとしましたが、教科書や参考書には、入試に出ない部分も詳細に記述していることが多いです。そして、入試に出る部分を記述していないことも多いです。
 例えば、「民族」や「語族」といった言葉はほぼすべての教科書に載っていますが、そんなものはまず出ません。しかし、2つの教科書にしか載っていない「フェリペ5世」は早稲田大学にて出題されています。
 また、難関私大で問われるものと教科書の太字が重要性という点においても一致していません。どの教科書にも載っている「第一回十字軍」は重要ではありませんが、どの教科書にも載っていない(2018年調査)「アレクシオス1世(ウルバヌス2世に救援要請をしたビザンツ帝国の皇帝)」は最重要なのです。
 これが、難関私大を中心に考えた現在の世界史界隈での2つ目の不足になります。

 本著は、このような「歴史観の構築」「重要性の一致」という2つの不足を補う観点から、難関大を目指す諸君の学習に資すれば幸いです。

 このnoteは有料化するつもりはありません。難関大を志す諸君は、近い将来「政治界」・「法曹界」・「財界」などを牽引する指導者となるはずです。少なくとも、その候補であることは間違いありません。

 私には夢があります。それは、「衰退の一途を辿っている日本を世界随一の強国にし、日本国民を1人でも多く豊かにする」という夢です。今、大学でそのためにやるべきことをやっています。
 このnoteを読み、無事難関大へ合格を果たした後輩諸君の中に、私の夢に賛同・共有していただける方がいらっしゃれば、是非DMを送っていただければと思います。

 皆様の志望校合格に、少しでも寄与できますように。

ふぃる

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