2018Kartellの秋コレをまとめて眺める。
そろそろメゾンオブジェが迫ってきたところで、秋に何度かに分けて開催されたカルテルの発表会で見聞きした様子をまとめておきたい。
Kartellらしさの端的な発露 LA DOUBLEJ
まずは2018年10月3日に開催されたLA DOUBLEJ(ラ・ダブル・ジェイ)発表会でのJ.Jマーティンとロレンツァ・ルーティのトークセッション。
■カルテル マーケティングディレクター ロレンツァ・ルーティさん
■クリエイティブディレクターはJ.Jマーティンさん
今年70周年、日本でも50年となるカルテル。家族経営を貫きつつも、made in Italyを世界に広めることを使命に、デザイナーはイタリア人にこだわらずグローバル化を進めてきた。
同社の革新は、そうしたデザインのみに留まらず、工業化の推進にも発揮された。プラスティック素材を研究し、次々と新素材を採用するに至る。
デザイン×新素材。同社の革新によって生み出された数々の作品は、屋内外を問わずどんな空間にもマッチする柔軟性を持っている。だから家じゅう360度をカルテルで埋め尽くすこともできるし、香水やモードとのコラボレーションだって違和感なく果たせたのだ。
またカルテルは、ショップを世界中に展開し、その世界観周知に全力を注いできた。モードとインテリアの架け橋でありたいという企業スタンスが、これほどのロングライフを支えてきたのは間違いないだろう。
このLA DOUBLEJは、そうした背景の上に成り立っている、まさにコンセプト通りの作品。アナログ感のある洗練されたヴィンテージプリントと最新のテクノロジーのコラボは、現代を生きる私たちに鮮烈な印象を突きつけるものとなった。
カルテルのロレンツァ・ルーティさんは、祖母アンナ・カステッリがつくったコンポニビリで、コラボできないかと考えたとき、ふと現れたのがJ.Jマーティンだった。
ロサンゼルス生まれのアメリカ人の彼女はイタリアに17〜8年在住。ファッションジャーナリストとして活躍し、3年前にLA DOUBLE J.COMを立ち上げてビンテージのジュエリーとドレスを販売していた。やがて新品も取り扱いを開始し、ビンテージプリントを使った新しいドレスが人気沸騰となった。
それがテーブルウェア、そして今回ファニチャーへと派生して今回のコラボアイテムが実現したわけである。
↑1920年代の柄 ニンフィア
↑プラスティック製のマット、ラメリカーナ(Lamericana、4,700円)。こうしたアイテムが一つあるだけで部屋全体の印象が変わる。パトリシア・ウルキオラによる丸みを帯びたチェア、クラップ(Clap、83,800円+税)も同様。
↑一方、フィリップ・スタルクによる角張ったマダム(Madame、107,200円+税)には、ニワトリ柄のガレッティ以外は別のファブリック柄があてがわれている。
↑赤のコンポ二ビリでは、ジオメトリコ ロッソがよく似合う。
そのほか、今年を占う注目株の新作
↑ヴェニス(Venice、32,900円+税)
丸くて深い座面と、鳥かごのような格子の背もたれ。ヴェニスのレストラン「ハーリーズ・バー」をイメージしたもので、マット仕上げの定番「ジェネリック」と同時にフィリップ・スタルクがデザインした。強靱なポリカーボネートを使いコントラクト向けで4脚までのスタッキングが可能だが、エナメル調の仕立てで登場した。
↑キャットウォーク(Catwalk、31,200円+税)は肘掛けがないモデル。エナメル調にポリカーボネートで5脚までのスタッキングが可能。フィリップ・スタルクの手による座る人をこそ引き立てるデザインに唸る。
↑カーラ(Cara、122,700円+税〜)スタッキングソファ
約20cm厚のポリウレタンでしっかりとした座り心地。樹脂×ファブリックという異素材の組み合わせがいい。カルテルにソファのイメージは薄いが、”これで必要にして十分”という提案性が心地いい。フィリップ・スタルク。
このカーラにはアウトドア仕様があるが、そのほかにもKartellには魅力的なアウトドアバージョンを持つソファがある。
オススメはポップのアウトドア仕様(Pop Outdoor)。クッションがあり、撥水性のあるファブリックで、紫外線にも強く、水洗いも可能だ。デザイナーはピエロ・ロッソーニで、いままでになかったアウトドアの椅子で、ぜひいちど触れてみたい。
またマジックホールソファはポリエチレン製で、グラスの雰囲気にも揃う。コントラクトで使われていることが多いというが、今後ホームでも人気になるだろう。
最後に照明についても触れておく。
ランタン(Lantern、32,500円+税)やバッテリー(BATTERY、26,200円+税)といったカジュアルなラインが人気だが、一方でコダワリともいえる作品もある。
吉岡徳仁さんのデザインしたPLANETがそれ(74,100円+税)。文字通り、宇宙に浮かぶ惑星がイメージされた。
クリスタルガラスのように透明度の高い樹脂の厚みを調整し、外側だけでなく内側にもカットデザインを入れることで絶妙な光と影の綾を紡ぎ出す。
下の写真をご覧いただきたいのだが、光源のLEDも、よくみると単一光源ではない。真鍮の球にLEDデバイスを貼り、絶妙な浮遊感とバランスを維持している。
この光りを実現するために、2年以上の時間を掛けて吟味したというから、心して味わいたい。そして今年のKartellは徳仁イヤーになりそうな予感。
いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。