リノベ好き「マニア女子」向けキッチン!?
今回発表されたシステムキッチン「PLUG-IN」は、これまでの同社の「3Dシンク」および「パラレロ」の考え方を、調理後の盛り付け〜提供にまで及ぼしたといえる。
昨年大反響を得たシステムキッチン「CUBE」のコンセプトは、ミニマリズム。キッチンに必要な要素をいちどバラして分析し、細胞のように有機的に繋ぐことで全体を構成している。思想的には、暮らしの必需品以外そぎ落として空間を構成しようとする「タイニーハウス」や「モバイルハウス」などともシンクロする。
「CUBE」では、夫婦で同時に調理できる「パラレルシンク」がカギだった。素材を「洗う」「切る」といった作業は「3Dシンク」で完結するので、あとは火に掛けるだけ。シンクと加熱機器の間に必要悪として存在した”狭い”調理台は不要となった。そこに「PLUG-IN」が組み合わさると、「サービスエレメント」で盛り付け〜食事に至る流れまでもがゼロ動線で行えることになったのだ。
このコンセプトは、こんにち「忙しい」若いカップルの間で求められる「時短ニーズ」にもピタリ適合するだろう。ところが今回は、それを最上位グレード「iNO」に加えたところに実は意義があるとおもう。キッチンに相応のコストを掛けることができるのは年配の富裕層と捉えられがちだが、RC造にアイアンといった仕上げを好む新築やリノベーション志向のカップルのように感度の高い世帯こそ、固定概念に囚われることなく暮らしの重点に資金を投入するものだからだ。
理由はもうひとつ。実はこの「PLUG-IN」、将来さらにリフォーム・リノベーションをする段には、間取りや用途の変更に合わせて文字通り”プラグ・イン”を施せる。まさにリノベ想定仕様なのだ。
背景には、10年〜15年と言われてきたキッチンも大切に使えば30年は使ってもらえる、もらいたいというTOYOKITCHEN STYLEの分析、想いがある。今回、TOYOKITCHEN STYLEにしては敢えてグレー、ホワイト、ブラックというオーソドックスなカラリングだけで勝負しているのも、そのあたりまで実に巧妙に感じ取って提案した結果という気すらする。従来のメジャーブランドのキッチン、さらには「CUBE」とはまた違った「マニア女子」を含む若年カップルのファンを増やすのを期待したい。