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悪気がないのはわかる、わかるのだが

注:今回もサムネイルはポケモンスリープである。明日から水タイプウィークで、ウパーとヌオーを捕獲したいと考えている。本文とサムネはほとんど関係ない。

今回も、架空の話などしたいと思う。

8日の日向灘の地震による、巨大地震の特別な注意の呼びかけが先日解除された。ペットボトルの水やコメが店頭から消え、世の防災意識の高まりが感じられたのだが、私にとっては頭の痛い問題があった。

注意の呼びかけがされてから何日か後のこと、古い友人からメッセージが届いた。

「占いの結果、今日が大地震の日だということで大事な人にお知らせしました。」

この友人が中年にさしかかったころから風水や占いにはまっていたことを思い出す。コロナですっかり忘れていたが、以前、やたら上品なカルト宗教の集いに招かれたこともあった。優しい笑顔の品のいい人しかいなかったのだが、場の雰囲気がどうしても無理で、一刻も早く帰りたいと思ったと記憶している。

友人はすごくいい人で、向学意欲の高い尊敬できる人であった。それがいつしかスピリチュアルなほうにいってしまい、今や私の理解できる範疇を超えてしまっている。

この10年くらいはあまり会っていないのだが、時々「明日は地震に注意して」といったメッセージが来るのだ。恐ろしいことに彼女の地震予報は一度も当たったことがない。どういう感情で毎回送っているのか疑問である。

そういえば、コロナの時期はメッセージが全く来ていなかった。忙しかったのか、それとも占いのセンセイとやらと連絡が取れなかったのか。

久しぶりのメッセージにどう返すべきか。私は頭を抱えた。無視するべきか。しかし、共通の友人もいる。若いころからの友人なのだ。これまでの、特に若いころの思い出を勘案すれば、やはり縁はつないでおきたい。この年になってこれ以上友人が減るのも困る。しかし、おかしな宗教に勧誘されるのはもっと困る。

とりあえず、ありがとうという文字のついたスタンプを送った。五秒後に既読がつき、キラキラしたスタンプが返ってきた。ちょいスピリチュアル風味なそのスタンプを見て、私はため息をついた。

さらに数日後、朝に目が覚めてスマホを開いた私は仰天した。その友人から大量にメッセージが送られてきたのである。おすすめのお守りの画像が貼られている。

私は空を仰いだ。なんだこれ。どうやらこれを付けていれば災厄から守られるらしい。一体いくらなんだろう。

私はそのアプリをそっと閉じ、ポケモンスリープのアプリを開いた。デンリュウはかわいいなあ。フシギソウもかわいいなあ。来週、ウパーとヌオーを捕まえるのも楽しみだなあ。

なお現在も、友人に返信できていない。若いころからの友人は大事なのだが、もう進む道が違ってしまったのかもしれない。一緒に旅行に行ったり、食事会をしたりと、素敵な思い出はたくさんある。最後にみんなで集まったときも、いろんな話をして楽しかった。しかし、お互いの状況は変わってしまったのだろう。

縁にも寿命がある、ということは聞いたことがあるが、その言葉には何とも言えない悲しさがある。本人は良かれと思ってメッセージを送っているのだろうと思うと、やりきれない。

とりあえず、地震には気をつけよう。

再度申し上げるが、この話には架空のものが含まれている。

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