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undercurrent

長かった夏の終わりは早い。秋が季節を陣取って久しい。朝夕の冷え込みが心地いい季節になった。

社会人になってからというもの、コト消費やトキ消費にお金をかけ、情操を養おうと生きている。例えば無形のもの、ライブや美術館、博物館、映画、神社仏閣。時間をそれらに割いてみようとしている。

星の中を泳いだりもしてる

空いた時間があればライブか映画か美術館今日見た映画は「アンダーカレント」。別に批評したい訳でもなく、いつも通りに思考を吐き出す。

あらすじ

アンダーカレントは真木よう子主演・「愛がなんだ」が代表作として知られる今泉力哉が監督の作品で、マンガが原作。
バンクーバー国際映画祭にも出品され、原作マンガも「漫画界のカンヌ」といわれるアングレーム国際漫画祭に出品されているらしい。あまり前情報はいれない派だが後から見てそりゃそうだと納得。

ビジュアル

あらすじは公式HPによると以下と言ったところ。

銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる−。

https://undercurrent-movie.com/about

ぼくが思うに

ぜひ本作を見ていただければと思うが、アンダーカレントというタイトルには考えさせられるところが多分にある。

undercurrentとは辞書を引くと「発言の根底にある抑えられた感情、底流」とある。
本作を見て改めて考えた時、その人をその人たらしめている「何か」こそがundercurrentなのではないかなと。

人のことを網羅的に知りはできないし、できると思っていること自体が傲慢で憚られることであろう。
人のことを「わかってる」と思うなら、それらきっとわかった風なのだろう。他者でも自分でもそれはきっとわかった風。

こいつらもたいせつ!

自分のとてもとても大切な人、それは男同士、家族、恋人、生涯のパートナー、、なんだっていい。自分にとって大切な人ならなおのこと。
undercurrentが悲しいものだろうが喜ばしいものだろうが、大切な人のundercurrentを分からなくても分かろうとする、その姿勢はとても大切なことなんだろうと思う。

その姿勢を、水に揺蕩いながら、犬と散歩しながら、火を焚べながら、食事をともにしながら、日々折々の生活の中で続けていくこと。
その姿勢こそが、その人との未来を拓いていくのではないか。

いろんなことを巡らせながら、ぼくはあっという間の143分のアンダーカレントを見終えた。

後刻譚

アンダーカレントを見た後、高の原のエスカレーターを降りながらふと浮かんだのはSUPER BEAVERの素晴らしい世界だった。

僕らにはどうしても
知ることができないことがある
出会うまでの互いの日々に
存在することは叶わない
知らない時間が
今ある時間を愛しくさせてる

素晴らしい世界/SUPER BEAVER

やはり、その人の全てを知ることができないよね、と渋谷先生も仰せである。
知らない時間の中にあるundercurrentを大切に、知ろうとしながら、今ある時間を過ごしていきたいと思いを新たにするところだ。

しまむら、いいやつですほんまに

そして人はどこまでいっても一人なのだろうと、思う。それでも独りでは必ず、必ずない。目の届く周辺に誰もいなくても、広い空の下であなたを想う人がどこかにいるはずなんだと、アンダーカレントは再度思い起こさせてくれた。

一人と独りの違いもこれまた渋谷先生が以下のように仰せである。

僕もあなたも一人なんだよ
生まれて死ぬまで一人なんだよ
だから独りきりじゃ成り立たないんだよ
あなたがあって 分かち合って 抱きしめあって
命は初めて輝く

証明/SUPER BEAVER

つもるところ、ぼくの考えはSUPER BEAVERを色濃く反映されているということがよくわかった。

根っこはアンダーカレント

最近、上席が「根っこ」とよく仰せになる。その行動の根っこは何なのか、その人の根っこは何なのか。
上席と対話をする中でなんとなく「根っこ」の輪郭を掴んだような気でいたが、アンダーカレントを見て、輪郭から少し踏み込んで理解できたような気がする。
それでも「気がする」レベルだから、もっともっと人生の修行を積まんといかんな。齢二十五、勉強することは腐るほどある。

ふと見に行こうと思って時間がピッタリ合うから、という理由だけでアンダーカレントを見たが今の自分に必要なことだった。

明日からも頑張れそうだ。
頑張れるのは、いつだって、始まりは青い春だからだが、今度はそんな青い春について思考の海をダイブしたい。

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