【投資2】 コラム「バブルと仮想通貨について」
これはこの先の話にも関連してくるのですが・・・
もし投資の世界で何十年先まで勝ち続けたい(=生き残りたい)のであれば、バブルについて “必ず” 知っておかなければいけません。(バブルに踊らされて破滅するのは、一番陥りやすい投資の失敗だからです)
古今東西、ずっと上がり続ける相場というのは存在せず、何千年という歴史を振り返って見ても人間の本質はまったく何も変わることなく、その時代それぞれで数々のバブルが繰り返されています。
(古くは、チューリップの球根で家が買えるほどになったオランダのチューリップバブル。バブルの語源になったイギリスの南海バブル、史上初の取り付け騒ぎとなったミシシッピバブルなど…)
日本でもバブル時代があったのでご存知の方も多いかもしれませんが、バブル崩壊というのは、「わが世の春を謳歌していたような人が全財産を失って次々に自ら命を絶っていったような出来事」です。
バブルに乗って大儲けしようとした人は資産を失い、逆に、崩壊した後に買いあさった人が今の億万長者・・・ というような話は、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
(※リーマンショックや中国バブルでも同様のことがありましたが、日本のバブル崩壊はその比ではありませんでした)
このように、投資の世界では「何億稼いだけれど全部失った」というのはよく聞く話です。だからこそ、極端に言えば、欲をかいてバブルに乗ろうとするくらいなら「投資をしない方がいい」と言えるくらいなのです。
投資で勝つための絶対条件は、「どんな不測の事態があっても生き残ること」です。
「絶対条件は生き残ることだけ」・・・
そう考えれば、1年や2年、ましてや今月来月の勝ち負けなんて、まったくどうでもいいほど小さい話なのです。短期でどれだけ儲けたとしても、長期でプラスにならなければ何の意味もありません。
長期視点で言えば、投資で勝つために一番大切なことは、「バブルに手を出さず、暴落を回避すること」になります。それさえ意識していれば、長期でも必然的に稼ぐことができるはずです。
それでは、通常の相場上昇とバブルとの明確な違いは何なのか・・・
それは、「普段は投資に関心のない素人が参加してくる」という点です。
逆に言えば、バブル(=異常な上昇)を生み出すためには、“カモになってくれる素人” の参加が不可欠なのです。
(※※補足※※ 多数の人が買えば相場は上昇します。相場が普通に上下している中で、“異常な上昇”をするためには“異常な買い”が必要になります。
後から参加したたくさんの素人が相場を押し上げていき、先に参加していた人が利益確定(手仕舞い)すると、相場は下がって後から参加した人たちは損することになります。素人の参加が多ければ多いほど急落につながり、結局、最初から参加していた一部の人しか利益を残せないので、遅れてバブルに参加しても儲けることはできません)
ウォール街の有名な話でも、『靴磨きが株の話をし始めたら暴落する』というエピソードがありますが、“素人が投資の話をする” というようなおかしなことになっていないか?異常ではないか?を、早めに察知しなければいけません。
他の誰かがバブルに乗って10倍100倍と大儲けしていようが、まったくどうでもいい話で、バブルになって浮かれている人が多い方向には近づかないように徹底する。
成功ルールでも繰り返しお話ししたように、「大衆と逆の選択をする」というのは、一番確実で普遍の成功パターンになります。どうしても参入したいのであれば、ブームが冷めて落ち着いた時に考えれば良いでしょう。
・・・さて、こんな話をしていると、最近よく聞くのが仮想通貨(暗号通貨)のことです。 【※注:この文章は2017年に公開】
私はフィンテックの将来性も仮想通貨も否定するつもりはありませんが、投資を知らない人が安易なお金儲けを考えて「素人が参加してくる状況」になると、投資家としては注意が必要になります。
実際、私も一部、資産分散する目的で2016年にビットコインを買い、本来であれば長期保有する予定だったのですが、あまりにも急騰してメディア等でも話題になったため、高値更新した時点ですべて売却しました。
そして、このビットコイン投資の経験からわかった結論は、「仮想通貨は投資対象として適さない」ということです。
さて、ここから仮想通貨の説明をしていきます。
私自身、最初は長期保有が目的だったのですが、あまりにも乱高下が激しくて安定しないので、途中からは「できるだけ早く手放したい」と思うようになっていたのが本音です。
また、このような動きの大きい銘柄はどちらかと言えば短期売買に向いているのですが、仮想通貨の売却益は総合課税になり、「どれだけ稼いでも税率が大きい」のです。
(※翌年の住民税も含めて半分が税金ということにもなり、私も多額の税金を支払うことになりました。もちろんそれは売却前からわかっていたことですが、「それでも早期撤退したかった」ということで、ブームが加熱する様子を見ると、撤退して良かったと思います)
以上のような理由で、海外居住者や決済の通貨として使いたいのであれば別ですが、一般の日本人にとって、仮想通貨は「投資対象としては不適格」だとはっきり断言します。
そもそも正しい投資というのは、ロジックに基づいて行うものです。ロジック通りに動くからこそ必然的に利益にできるのですが、仮想通貨においては何の根拠もない “期待だけ” が先行している状態・・・
さらに、安定した投資先を考える場合は「誰がその銘柄を買っているか?」というのも重要なファクターなのですが、その点で考えると、資産を投じる先として安心はできないでしょう。
(実際、すでに問題が頻発していますし、技術や可能性の面で期待できたとしても、まだ表に出てこない大きな問題もあります。今後ドルや円などの通貨価値が下がるとしても、不動産や貴金属ならまだしも、価値の裏付けがない “仮想” 通貨が果たして資産として残るのか? その確証はありません)
乱高下も激しいので、上がる・上がらないという以前に、「これはもう投資ではない」というのが私の判断です。
とりあえず、投資家視点での「事実」もお伝えしておきますが、以上のような理由もあって、私の知るまともなトレーダーは、誰も本気で仮想通貨には手を出していません。
ロジック通りにならない不確定なものに手を出さなくても、普通にドル円のFXトレードでもした方が、手数料も税金も安く有利なトレードができるわけです。他に良い投資が普通にあるのに、わざわざ「不利な投資案件」に手を出す意味がありません。
(ちなみに、税金を払うのは何よりも最優先事項です。逃れるのは不可能ですし、今後払えなくなる人も出てくるでしょう)
一般的に、仮想通貨に手を出しているのは、今まで株やFXなどで失敗してきた「投資の知識・センスのない儲け話が好きな人たち」・・・
そして、仮想通貨を煽っているのも、自分のビジネスにつなげるなどで直接的・間接的にメリットがある人たちばかりです。
私も当然のことながらこの手の情報は早いですし、ただビットコインを推している人たちよりも知識もあると思います。今急騰している主要な仮想通貨のことももちろん知っていましたが、それでも私の周りでは誰も参加しておらず、(私も含めて)せいぜい一部の資金で試し買いしてみる程度。
ましてや、「ビットコイン以外の仮想通貨は論外」です。
(ビットコイン以外は価値のない詐欺案件ばかりですし、もしもビットコイン以外の仮想通貨が上がる状況になれば、基本的にビットコインも上がっているでしょう)
今回、ネットで見かける情報も一通り確認しましたが、都合のいい話ばかりで、“専門家” も含めて誰も本質が見えていません。
本当のリスクは何なのか? 裏側で何が起こっていて誰が利益を得るのか? 単なる仕組みだけではなく、世界の金融・経済と歴史や政治的な支配構造から深く見ていかなければ、本質的な理解はできません。
まだまだこれから様々なことが起こります。数字の増減だけを見て一喜一憂するなら、やめておいた方が良いでしょう。【※注:その後、コインチェック事件も発生】
また、今のような仮想通貨ブームになる前から「ビットコインの自動売買」なども入ってきていましたが、まったく合理的な動きをしないので、使い続けるのは危険だという結論になり、開発中止になりました。
ロジック通りにならなければチャートも役に立たず、システムトレードの類も使えません。仮想通貨に関しては、システム系のものには絶対に手を出さないようにして下さい。
(仮に一時的に結果が出たところで、まったく参考になりません。切り取った実績には意味がありませんので影響されないようにして下さい)
・・・というわけで、トレーダーではなく、儲け話が好きな人が手を出す(=プロは手を出さないのに素人が夢中になっている) というのが、どういう状況なのか?
もしそれでも手を出すのであれば、「自分は投資に向いていない」ということを自覚しておいた方が良いかもしれません。
私はもう金輪際、仮想通貨を買うつもりはありませんが、もしどうしても興味関心がある人は、ETF化したり大手の証券会社で取り扱うようになってから、フィンテックの「関連銘柄」として投資するのはありだと思います。
(関連銘柄であれば、実際に取引をしている投資家はいます。取引所ではなく通常の証券会社が使えますし、税率も安く済みます)
いずれにしても、儲け話に手を出して成功する投資家はいません。“儲け話やバブルから離れるから” 投資家として生き残れるのです。
儲け話やブームのようなものは、相手にしないのが投資家としての正しい姿勢ですし、仮想通貨に限らず、いかなる投資であっても加熱している間は手を出すタイミングではありません。
わかりやすく言えば、ポジティブなニュースが溢れてみんなが「これが儲かる」と注目すればするほど、そこから離れればいいだけです。
何も仮想通貨だからと言って特別なことはなく、大きく急上昇するなら大きく急下落もするという、それ以上でも以下でもありません。(※税金や取引所リスクの点では “以下” になりますが)
踊らされて一攫千金なんて狙わなくても、タイミングさえ合えばどんな銘柄でも稼ぐことができますし、逆に、タイミングが悪ければどんな銘柄・どんな案件でも稼ぐことはできないことを知っておいて下さい。
私もそうですが、まだ儲かってる人が目立っていなかったから買っただけですし、今現在のブームも、早いタイミングで買った人が儲けた話をしているだけなので、いつまでもチャンスが続くとは到底思えません。
(この先で詳しくお話ししていきますが、みんなが儲かっている時には売る、みんなが損している時に買うのが投資の鉄則です)
・・・最後に、仮想通貨について箇条書きでまとめておきます。興味のある方はご確認下さい↓↓
● この仮想通貨が上がる!という話は、この株が上がる!という話と同等のこと。上がるかもしれないし上がらないかもしれないという意味で、特に煽るようなことではない(ハイリターン=常にハイリスク)
● 予測を元にした投資は絶対NG。ポジショントークに関しては発信者の意図を考える。投資で重要なのはタイミングだけなので、タイミングさえ合えばどんな銘柄でも稼げるし、合わなければ稼げない。(※仮想通貨だけが特別ではない)
● 1つの銘柄として見た場合、値動きが激しすぎるので短期売買のみで考える。上がったら早めに利確。買っているのは投機目的ばかりなので、長期保有や安定資産としては向かない。自己資金の数%以内に抑える。
● ビットコイン以外の仮想通貨は考える必要がない。もし仮にその通貨が上がるような状況になれば、(市場が評価されて)ビットコインも上がる傾向に。
● ただし、投資対象として判断すると、税金が総合課税で圧倒的に不利。(翌年の住民税アップも含めると半分が税金に) また、大手証券会社で扱うわけではないので、保有の安全性や取引所リスクは避けられない。最悪、出金できなくなることも…
● かつて流行った未上場株と同様、儲け話からは離れるのが、投資家としての正しい姿勢 (=常に大衆の逆が正解になる)
● 事実、まともなトレーダーは誰も本気で手を出していない。煽っている人は、商売につなげているだけなので参考にしない。
● 結論としては「投資対象として不適格」で、どうせならまだロジックが通用する株やFXの方が、税金も手数料も安くて良い。(=どちらも重要なのはタイミングだけ)
● 仮想通貨情報は早くから知っていて、ビットコインでも数千万円稼いだ私自身は、もう手を出さないと決めている。(まだ怪しいと言われる段階だから買っただけで、今から買う気にはなれない。これだけリターンを得れば十分です)
● 将来的なフィンテックの可能性はあるので、大手の証券会社で取り扱うようになれば、その銘柄を取引すれば良い。(=個別よりも市場や関連銘柄を選ぶ)
● それを買っているのは誰なのか?投資を理解している人は何をしているか?をよく考えること。儲かりそうなものに手を出すのは、一番下手な投資。
・・・以上です。
ご参考までに、仮想通貨について聞かれれば私はこう答えています→
「投資対象としては不適格です」「運良く儲かっても損ですよ」
(皆さんも誰かに聞かれることがあれば、このように答えれば良いのではないでしょうか?)
【※以上の内容は、仮想通貨ブーム真っ只中の2017年時に初公開しました。その後どうなったのかは、皆さんご承知の通りです】