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080 人材育成コンサルタントが感じたフジテレビの会見における質問者の問題


昨日から今日の深夜にかけて行われたフジテレビの会見

私も2時間くらい観たけど、組織にありがちな問題とか、典型的荒れた会議を改めて観た感じがした

どういうことかと言えば「犯人捜し」「言質取り」「個人的な正義論」という典型的な組織現象がそこにあったということだ

今日はそんな話をする

犯人探しは問題の根本原因につながらない

「犯人探し」とは、問題の原因を個人に限定することを言う

ほとんどの組織問題は大問題になってから自覚する

ずっと前から存在していたにも関わらず、誰も意識せず、全員が無自覚の加担をしながら自己強化し、やがて誰もが判る形で問題化する

こういう現象を、システム思考では自己強化ループというのだけど、そこにはみんなが期待するような「犯人」なんていない

もしかしたら確信犯的な者もいるかもしれないけどけど、多くは無自覚な傍観者か周囲に無関心な作業者だ

そういう意味で全員システムの加担者と言える

にも関わらず、今回のような問題が起こると、システムの問題より「犯人捜し」が最初に行われる

誤解しないでもらいたいけど「トップに責任がない」なんて言うつもりはない

自己強化ループを内部から止めることができるのはトップだけだからだ

その意味では「最終責任はトップにある」としか言いようがない

でもそれは言うほど簡単じゃない

自己強化ループという現象は、そう簡単に止まらないんだよね

人が何かをするのはその背後に何らかの理由がある

その理由にも理由があり、さらに理由があり…

これら理由が円環になっているのが自己強化ループ

問題行動だけピックアップし、規則や命令でストップできるほどやわじゃない

役員全員総入れ替えして、社員全員で新たなシステムをつくろう!という士気の高まりがあれば別だけど

犯人探しとか、規則でしばるとか、監視を強化するような直接的な手段を講じても、以下のとおりさらなる問題を生み出すだけだ

  1. 問題の循環構造を考慮しないため、真の原因を見逃し、問題の再発防止策を効果的に講じることができない

  2. 特定の個人に責任を押し付けることで、その他のシステム加担者は無罪放免となり、組織全体で学び成長する機会を失う

  3. トップダウンが強化され、官僚型組織に陥る危険性がある

一般的に自己強化ループはバランスループを組み込むことで収められるとされている

例えばニューヨークの犯罪を激減させたのは、割れたビルの窓を徹底的に直すことだったように、バランスループは間接的な手段が多い

このようなバランスループを組み込まない限り、なかなか会社の習慣は変わらないと思う

言質は取れば取るほど解決から遠ざかる

組織問題が発生した時、きまって発言者の言質を取りたがる者が現れる

今回も「さっき〇〇と言いましたよね」といったやり取りがあったけど、これも「荒れた会議あるある」だと思う

その問題は次のとおり

  1. 発言者の言質を取れば取るほど、参加者は慎重に言葉を選び、コミュニケーションが歪み、正確な情報が伝わらなくなる

  2. 個々の発言や行動に対する責任追及ばかりに囚われ、組織全体のシステムやプロセスの問題を見落としてしまう

  3. 上記の相互作用により、会議自体が本質的な課題解決につながらないシステムになる。結果、ますます荒れた会議になる

個人的な正義論を振りかざす者がいると会議は荒れる

荒れた会議では、自身の正義論を振りかざす者が現れる

今回も、それまでの文脈から外れて持論を振りかざしている質問者がいたけど、荒れた会議ではよくある話だ

その主な問題点は次のとおり

  1. 他者の意見や視点を無視することで、好きなことを言っても構わないという空気を作り出す。結果、問題解決が遅れる

  2. 正義論を振りかざす者は感情的であるだけでなく、議題にすることを強く要求するため、会議の流れを悪い方に変えてしまう

  3. 正義論は善悪を強調するため、会議の主旨とは異なるコンフリクトが勃発し、建設的な議論を難しくする

以上です

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