014 士業・コーチ・カウンセラー向けの営業トーク
士業・コーチ・カウンセラーなど支援者はどう営業したらいいのだろう。
とくに営業を兼ねた初回面談は頭を悩ませるよね。
挨拶や雑談は何とかできたとしても、肝心の商品説明がなかなかうまく行かない。
今回は説得力ある商談にするための「説明ストーリー」の作り方を説明する。
切り出しは「初頭効果」を利用する
さて、「説明ストーリー」の作り方に入る前に、基本的なところをお伝えしたい。
まず、切り出しの基本である「初頭効果」である。
これは、心理学者のソロモン・アッシュが1946年に発見した心理バイアス。
簡単に言えば、「最初にメリットを伝えた方が印象がよくなる」傾向のことである。
例えば、次の質問を考えてもらいたい。
いかがだろうか?
直観的に選んだ人は「グループ1」と答えたと思う
これが「初頭効果」である。
ただし初頭効果は直観的な反応なので、挨拶と自己紹介の後、普通の口調でそっちょくかつ端的にメリットを伝えるくらいにしたらよい。
例えば次のメリットアプローチが考えられる。
うまくいった事例を紹介する。
特別な割引や特典を提供する。
ありがちな顧客の問題やニーズに対する解決法を強調する。
競合他社と異なるユニークなセールスポイントを強調する。
その部門の担当者にありがちな悩みに応える提案をする。
これを伝えたことで、相手が乗ってきたら、そこからが本番、いろんな角度から質問を受けることになるだろう。
終わりの一押しは「親近効果」を使う
「初頭効果」は切り出し向きとして、終い向きに「親近効果」というものがある。
これはアメリカの心理学者アンダーソンが1976年に発見した心理バイアスで、最後の言葉が意思決定に大きく影響を及ぼす傾向のことである。
アンダーソンは、裁判の証言の順番によって裁判の結果がどう変わるのかを調べた。
その結果、「最後」に証言した側が陪審員を説得することを発見した。
どちらにしようか迷った時、最後の一押し的な言葉が与える影響はすごく大きいということだ。
具体的には次の3種類がある。
カスタマイズした提案: 顧客のニーズや要望に合わせたカスタマイズされた提案は最後の一押しに効果的である。
社会的評価:他の顧客、業界、専門家、マスコミなどの肯定的なフィードバックやレビューを付け加える。
締め切りの強調: 例えば補助金の締め切り、法律改正の時期、目標から逆算したスケジュールなどを示すなど。
最後の一押しは、顧客のニーズや状況に合わせて柔軟にアプローチすることが重要。
我々支援者にとって基本中の基本だと思うけど、コミュニケーションを通じて、彼らの関心や要望を理解し、それに応じた提案を行う。
説明ストーリーを持つ
ここまでの話をまとめると、営業は、初頭効果→質疑応答(メリット・デメリット両方伝える)→親近効果、が良いことになる。
いわゆるサンドイッチ法(メリット→デメリット→メリット)である。
全体的にもサンドイッチ法であり、間に挟まれた質疑応答もサンドイッチ法が良い。
この流れに持っていくためには、事前に説明ストーリーを持っておく必要がある。
説明ストーリーは「カスタマージャーニー」というツールを使い作成する。
ちなみにカスタマージャーニーというと、WEBマーケティングツールのイメージがあるけどアナログの営業にも効果があるんだよね。
これがしっかり出来上がっていれば、説明は説得力を増し相手に安心感や信頼感を与えられる。
とりあえず事例を見てもらいたい。
上記の表のうち、とくに見てもらいたいのは「矢印」である。
「明確に価格が示されている点はいいなあ」→「でも肝心の〇〇がメニューにないなあ」→「でも〇〇の代わりに△△があるのか」…
という風に顧客の頭の中で起こる「自問自答」を想定している。
この流れがメリット→デメリット→メリット…、になっており一つのストーリーになっていることが分かると思う。
このストーリーを頭に入れた上で営業トークをすると次のようになる。
(良い例)メリットは〇〇です。そのため△△は省略されていますが、その分安価に設定されています。
(悪い例)メリットは〇〇です。ただし△△は行いません。でも、安価です。
(良い例)は相手の自問自答を予測したような伝え方である。
顧客の思考に沿った説明なので、顧客も「ああ、まさにそこを聞きたかったんですけど…」と質問も流れに沿ったものになる。
これに対して(悪い例)はまるでカタログの注釈を読み上げているような説明なので、相手の対応も軽くなる。
説明ストーリーがあるかないかで、このようにトークも変わってくる。