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日本人の給与が30年間上がらない第二弾、いや、むしろ手取りは下がっている

社会保険料が上がっているのです。

日本人の給料がどうにも上がらない理由を、前回は、下記のように説明したのですが、もうすこし原因を絞り解決の方向性を出したく、第二弾を書きました。

前回は、下記の5点

1)90年代のバブル崩壊後、多くの企業が倒産し失業者が出たため、毎年、賃金アップを求めてきた「労働組合」が、雇用維持優先の交渉が中心になった。

2)企業の人件費の抑制と賃金水準の低いサービス産業の拡大(外食や小売り等)、非正規化が進展したこと。
30年前は、派遣社員比率20%でしたが、現在は就業者の40%が派遣社員になっています。

3)デフレ、消費増税、人口減少。

4)企業側がほとんど賃上げをしなかったため。

5)中小・零細企業が異常に多い。約420万の日本企業のうち、中小・零細企業は99.7%を占め、労働者のおよそ7割が働いている。
中小・零細企業は、資金繰りも苦しく、新たなビジネスや商品開発が出来ないため、競争力が乏しく、給与をあげる余裕はないのです。


本当に、上記なのでしょうか。他に理由があるのではないでしょうか。

例えば、企業側がほとんど賃上げをしなかったと一言で結論づけていますが、日本は製造業を中心として成長期してきた歴史があり、会社に長く勤務しながらその経験値を上げてチームで協力しながら、高品質かつ低価格商品を作ってきました。
そのため、賃金が年功序列主義で、毎年、少しずつアップする仕組みになっていた。
結果的に、賃金を大きく上げる必要はなかった

業績の悪い社員がいたとしても、同じ部署の社員がカバーして、部署として目標を達成することが美徳されていました。
最近、やっと個人評価になり、一時的に業績をあげても、次年度で業績がダウンしたら降格させる人事制度が出てきましたが、ごく一部の企業のみです。

ひとつひとつ、理由を詮索しても、原因究明は難しいと思いますので、視点を変えて


どうすれば、国民の所得を上げることができるか考えてみました。

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では、経済評論家から文句を言われますが、国内総生産が上がれば、国民の所得があがると仮定しましょう。さすがに、企業も賃金を上げると思います

昔からよく言いますが、問題を解決するには、すべてではなく、重点志向で考えろと言われています。
確か、QC手法(品質管理)だったと思います。
下記がQCの重点志向の考え方です

「重点指向とは、目標を達成するために、結果に及ぼす影響を調査・予測し、効果が大きく優先順位が高いものを重点的に取り組むこと。」

そこで、日本のGDP(国民総生産)の中で、広義でのサービス業は約7割を占め、国内の従業員数も8割近くが、ここで働いています。
ここの業界の生産性を上げて、所得を増やせれば、全体の国民総生産が上がるのではと仮説を立てました。

(この30年間、日本の製造業は販売、生産拠点を海外へシフトし、GDPの比率を大きく下げ始めたのです。そこをカバーしたのがサービス業なのです。
1970年は、52% 1980年 61.4% 2017年 72%)

そして、主流は、スーパー、コンビニなどの小売業や外食チェーン、ホテルなのです。
ここの従業員の給料を上げる策があれば・・・・・。

海外では、ここで働く従業員は、移民や出稼ぎ外国労働者が中心ですが、
日本は、まったく進んでいないのが実態です。ここで、移民に頼っては、愚の骨頂です。

では、スーパー、コンビニなどの小売業や外食チェーン、ホテルの分析をします。

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では、コンビニ業界から。
30年前はオーナーの年収は、900万くらいあった。
現在は、実際400万から600万前後(夫婦で税込み、休み月1.3日で)―>そこで2店舗オーナーを進めている始末。
アルバイト採用はかなり厳しく、コンビニオーナーの月の休みは平均1.3日。

アルバイト不足をカバーするため、たしかに、無人コンビニやセルフレジ化も進んでいますが、高付加価値サービスは出来なくなりますし、扱い商品も限定されます。
実は、中国やアジアにおける、無人コンビニの投資のスピードは鈍くなっているのです。
無人コンビニも、品出し、商品入れ替え、店内清掃などの作業をしなければなりませんので、ここで人が必要です。さらに、配送費用や電気代もかかります。
節約できているのは、レジ作業の部分だけなのです。
取扱いも菓子や飲料などの管理がしやすい商品が主流ですが、これは利幅が低いのです。


外食業界は
そもそも過剰に店舗が増やすため、アルバイト採用が出来ないのではなく、これだけの多くの店舗に勤務する人そのものが日本にいないのです。
よって、店長が、休みなく働く、眠気で交通事故おこした話はよく聞きます。
競争も激化し、高品質、低価格が進行すれば、さらに人件費を削減しなければならなくなります。
正社員1名であとは全員、非正規社員などあたりまえの世界です。
おそらく、ホテルもスーパーも同じでしょう。

公益財団法人 日本生産性本部の数値によりますと

・日本の労働生産性水準は、製造業で米国の7割(69.8%)、サービス産業で5割(48.7%)低いのです。
・産業別にみた日本の労働生産性水準(2017年)は、米国と比較すると化学(対米比128.3%)で上回るものの、運輸・郵便(43.1%)や宿泊・飲食サービス(36.6%)、卸売・小売(32.3%)、情報・通信(13.9%)といったサービス産業分野で下回っており、日米格差が依然として大きい。
・日本の製造業の労働生産性は、データが利用可能な日米欧19カ国中11位であった。一方、サービス産業は、19カ国中15位となっている。

2008年の少し古いですが、日本総研のHPに、小売り、サービス業に関連した記事がありました。
私の持論は裏付けた内容ですね。

「小売業およびサービス業での生産性向上を図ることが、時系列的にも国際比較の観点からも、さらにその就業者数割合の大きさからみても、わが国の所得水準引き上げに向けた重点課題なのです。
小売業の生産性低下は、低金利と低賃金労働の拡大という環境のもと、出店規制の緩和されたことにより、過剰な出店が続き、過剰な雇用を生み出したことが大きいのです。」

2015年にも政府から下記の施策をすべきとの提言もありましたが、2021年の今でも残念ながら、あまり進んでいません。


① 伸ばすべきサービス業として、ITエンジニア
「情報技術」に関する技術者であるシステムエンジニア(SE)、プログラマー、サーバー・ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、Webエンジニア
② 医療・福祉分野では、医師や看護師、介護士=>現状、医師の数は抑制されている。福祉業界は、介護士の給与の原資は大半が税金で、利益が出しにくい。
③ 公営住宅や上下水道などの事業について、民間企業との連携を強める「公共サービスの産業化」=>2021年現在、利益が出ない事業のため、民間委託も誰も手上げない状況。
④ 空港の整備や管理などの公共サービスについて、民間資金の活用や企業への委託。
⑤ 教育や子育て支援でも、民間資金の活用でサービスを拡大。


横道にそれますが、私の体験談

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実は、私の前々職は、あるスーパーのMGRをしていましたので、小売りの仕組みや組織にはくわしいのです。
当時(1988年前後)は、家電・オーディオ部門で、年間売上8億円くらいの売上の部署でしたが、正社員7名 契約社員(正社員とほぼ同等の待遇) 3名、パート3名で、ほぼ正社員と同等の契約社員を加えると、その正社員比率76.9%です。
これで、正社員の高い人件費があっても、売上前年比で、10%以上伸び、利益もきっちり出ていました。
約30年前で、給与水準は今と同じで、日本人の平均給与420万。社会保険で引かれる比率も低かったので、手取りは、今より確実にありました。
さらに、いくらデフレといっても、30年前のほうが物価は安いのです。
しかし、この頃から小売店舗出店の緩和が進み、過剰に店舗が増え始めて競争が激化し、1店舗あたりの売上が鈍化したため、アルバイと比率をあげ、利益を出す施策へ変更されました。
さらに、競争力をあげるために、ディスカウント店舗を増やし、店内部署を統合しながら正社員を削減し、アルバイトを大幅に増加させる施策を推進していきました。
アルバイトが多いので、業務内容を単純化され、正社員の業務はアルバイトの管理が中心に変化しました。
この頃から正社員の離職率が上がり始めました。
仕事が単純化されて、今まで店で運営してきた企画的なことは、本部一括で運営され、それを指示書にしたがって、再現するだけになったのです。
アルバイトでも運営できるようになったのはいいのですが、正社員の業務はアルバイトがおこしたクレーム処理と休んだ場合の穴埋め、シフト作りなど、やりがいを感じる業務は、なくなっていきました。
さらに、近隣に大型の新店舗がどんどん立ち始め、商圏人口にあわないほどのオーバーストアー状態になり、開店半年くらいで、売上は急激に下がり始めていったのです。
そして、ついに売上不振で、スクラップ&ビルドなような前向きな閉店でなく、売上不振での閉店が始まったのです。
私が勤務していた店舗は、すべて閉店し、ありません・・・・。

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今はどうでしょうか。

大型スーパーの勝ち組であるイオンが発表した2021年2月期の連結業績は、売上高に当たる営業収益が前期比ほぼ横ばいの8兆6039億円、営業利益は30.1%減の1505億円、最終損益は710億円の赤字(前期は268億円の黒字)など、あまり芳しくない状況です。
近くにイ

どうも、今回でのブログでは、仮説や対策を導きだすのは、難しいようです

しかし、わかっていることは、サービス業で働く人の正社員比率をあげる必要があり、そのためには、サービス業が利益を上げる構造改革をしなければなりません。
暴論ですが、派遣比率を元の労働者の20%へ戻しましょう。

今のところ、下記の5つの項目の事業の拡大を推進することでしょうか

①伸ばすべきサービス業として、ITエンジニア
②医療・福祉分野では、医師や看護師、介護士
③公営住宅や上下水道などの事業について、民間企業との連携を強める「公共サービスの産業化」
④空港の整備や管理などの公共サービスについて、民間資金の活用や企業への委託。
⑥ 教育や子育て支援でも、民間資金の活用でサービスを拡大。

明確な結論が出ませんでしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

私たちは、正業以外の副業で当分稼ぐしかないですね。



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明日に向かって稼ぐしかない

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函館のダイ
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