ビデオレター、公開します
Chap.0: ビデオレターなんて作れるか!!!ばか!!!!!
世間では終活やらで「遺す人にビデオレターを!」と言います。
それはそう。情報量は段違いですし、遺した人も喜ぶでしょう。今や手紙をしたためるより、iphone開いてビデオレターのが手軽ですしね。
しかし、いざ着手となるとある疑問が浮上します。
「ビデオレターって何を伝えれば良いんだ?」
ただでも自分の死と向き合わなければこんなの書けませんし、今を生きている人にそれをするのは乗り気じゃないでしょうし、非常に難しい。実際闘病中の私でさえそうでした。
で、結局筆を折ります。
「ビデオレターなんて作れるか!!!ばか!!!!!」
当記事は幸い土壇場でビデオレターを完成できた筆者が、それに至る経緯や実際の原稿を綴ったものです。
みなさんがこれを読んで、少しでも自分のビデオレターの参考にしたり、それに伴い充実した人生を歩むことを切に願います。
読者の皆さんの人生に、幸あれ。
Chap.1: ビデオレター作成のいきさつ
私は従前より、希少がんである粘液型脂肪肉腫を患っております。
2020年より大学病院に依頼し、抗がん剤と放射線の治療により何とか生きながらえていましたが、去る4/28にそれらの終了が告げられました。
伴いもうがんの積極的治療が出来ないということで、緩和ケア病棟(通称ホスピス)への転院を勧められました。
自分は当時の大学病院の医療や看護に対して十二分に満足していました。
今でもあの病院は3割負担で受けられる質を遥かに超えていると思います。KOは神。
しかし、唯一の不満は、病棟が7階だったということです。
7階だと外を見てもなにも見えません。せいぜい昼か夜かぐらいしかわかりません。窓を開けても暑くも寒くもない謎のビル風。お陰で私は冬でも半袖半ズボンでした。
加えて今日の新型コロナ対策として、8~17時の病棟外への外出は禁止されていました。お陰で日中は寝るだけの生活を強いられてきました。
私は、「自分の最期の死に場所はここではないな」と思い、大学病院を去りました。
現在の病院は、1階、目の前に溢れる緑、今のところは窓を開けると肌寒い、たまに虫が入ってくる、無差額なのに個室(!?)と自分の満足の行く形での転院が叶いました。
さて、前の主治医が言うには「余命は数週間」。明日死ぬかもしれないこの状況下で何が出来るか?そうだ、午後は面会で忙しいとして、午前中は散々保留していたビデオレターをやろう。最悪未完でも良い。1つでも多く遺して、その時が来ても後悔しないように。それが私の「生きる」ということなのだから。
Chap.2: ビデオレターをどう保存/公開するか
さて、ビデオレターの作成にあたり問題になってくるのは動画の保存方法です。
一般に死亡時に見られれば良いのであればなんでもいいのですが、これが何年も先だとすれば話が変わってきます。
例えばブルーレイディスク。こちら一般的に20年持てば良い方と言われています。それぐらい経過すると、記録面が物理的に剥がれるなどして読めなくなってしまうのです。
そこで登場するのはM-DISCという規格です。
詳細は省きますが、これなら最低100年持つと言われています。
その分値段はかさみますが、仕方がありません。買いましょう。
私は当該M-DISCとそれに対応したドライブを購入しました。
いくら100年ディスクと言えど、例えば物理的な紛失や破損には太刀打ちできません。そんなときのリスクヘッジとして、youtubeの限定公開も同時に行うことにしました。
限定公開とは、youtubeの公開方法の一つで、URLを知っている人のみが閲覧できます。
これなら不特定多数が見れるわけではないですし、URLさえ教えておけばyoutubeが潰れるか仕様変更がない限り半永久的に動画がアーカイブされます。
詳細はyoutubeのヘルプを御覧ください。
いずれにせよ、この2レーンでの保存であれば、両方がなくなる前に遺族の寿命が尽きるでしょう。これで安心ですね。
Chap.3: 結局ビデオレターで何が伝えられるか
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