「福岡におけるU25コミュニティのハブに」TORYUMON OFFICE FUKUOKA始動
F Venturesは、25歳以下の学生・若手起業家や社会に好影響をもたらすスタートアップに投資する福岡発のベンチャーキャピタル(以下、VC)です。
代表の両角は高校までの幼少期を福岡で過ごし、早稲田大学卒業後、東京でシード特化の独立系VC・サムライインキュベートに就職。2016年に「生まれ故郷を盛り上げたい」という思いから、福岡でVCを立ち上げました。
現在はVC事業のほか、若手起業家コミュニティを盛り上げるスタートアップイベント「TORYUMON」を年2回、福岡と東京で開催しています。
そんなF Venturesは、2024年7月2日、福岡市に、スタートアップやVCに興味がある25歳以下の若手向けコワーキングスペース「TORYUMON OFFICE FUKUOKA」をオープンしました。これを記念して7月13日、新オフィスにてオープニングイベントを開催しました。
イベントには起業やVCでのインターンに興味がある学生など、約30名が参加。
学生時代に起業した若手起業家によるトークセッションでは、リアルな起業体験談やF Venturesでのインターンシップ時代の秘話など、実体験がシェアされました。
このnoteでは、当日の様子をダイジェストで紹介します。
新オフィスは「東京福岡の一流起業家と出会える環境」
イベントは、F Ventures代表パートナー・両角のオープニングトークからスタート。新オフィス「TORYUMON OFFICE FUKUOKA」にかける思いや施設のコンセプトなどが語られました。
まず両角は、福岡の若手起業家コミュニティについて説明。「近年は、起業家全体の数は増えている一方で、学生起業家は減りつつあると感じている」と語ります。その背景として、コロナ禍で起業やスタートアップに関するイベントが開催されず、学生の起業への関心が薄れてしまったのではないかと分析しました。
また、福岡市は10年以上にわたりスタートアップ支援に注力するなか、2024年以降は成長の可能性が高い企業を重点支援する方針を打ち出しています。
両角「これまで福岡市がスタートアップ業界のすそ野を広げるなか、F VenturesはU25向けスタートアップイベント『TORYUMON』を主催し、福岡の若手スタートアップシーンを盛り上げてきました。新たに開設したTORYUMON OFFICE FUKUOKAは、学生や若手起業家、東京・福岡の一流経営者がつながる“ハブ”を目指します」
新オフィスでは月に2〜3回のイベント開催を予定しています。イベントを通して、学生が先輩起業家や一流経営者とつながり、スタートアップやキャリアについて考える“タネ”を提供します。
両角「F Venturesの強みは、東京で500名規模のU25向けスタートアップイベントを開催していることもあり、東京のスタートアップコミュニティと強力なつながりがあることです。そのため、福岡にいながら東京の一流起業家と出会える場所にしていきます」
最後にF Venturesインターンシップへの参加とTORYUMON OFFICE FUKUOKAへの入居を呼びかけました。
両角「挑戦したいことを自由にできる環境を用意しています。起業して社会にポジティブな変化をもたらしたい、自分が抱えているコンプレックスや世の中の負の部分を解決したい、と高い目線で起業する意志のある学生や若手は、ぜひ入居を検討してみてください。
また、漠然と何かを成し遂げたい、スタートアップの世界を覗いてみたい人は、VCでのインターンを成長の機会にしてもらえると思います。F Venturesのネットワークを存分に活用して、福岡から東京、そして世界へと羽ばたき、夢を叶える場所にしましょう」
「人生100年をたった数年のコミットで劇的に変えられる」元FVインターンの起業家が語る実体験
「起業が当たり前の環境で営業力やイベント運営を習得できる」卒業生がF Venturesインターンのメリットを語る
トークセッションには、学生時代に起業を経験した若手起業家4名が登壇。起業の体験談やF Venturesインターン時代の秘話が語られました。
Geek Studio(ギークスタジオ)誕生秘話
── TORYUMON OFFICE FUKUOKAがスタートするこの場所は、もともと吉野さんが創設したクリエイター向けコワーキング「Geek Studio」でした。まずは、Geek Studio創設のきっかけや当時の思いを聞かせてください。
吉野:私が通っていた九州大学や九州工業大学は、都市部から離れていて。キャンパスがあるエリアに学生が活動できる場所がありませんでした。文学部の所属だったのですが、エンジニアに興味を持ち独学で勉強するも、正直かなり大変でした。
こうした経験から、学生がお互いに高め合えて、ITについても学べる場所がほしいと思うようになりました。
そんなときに高校の同級生がピッチコンテストで、この場所を1年間無料で利用できる権利を獲得したんです。その友達に声をかけてもらって、一緒に始めたのがGeek Studioです。
当時、自分で一から学生や若手起業家に声をかけて入居してもらい、約6年間運営していました。
「学歴フィルターで就活全落ち」学生起業のきっかけ
── みなさんが学生起業したきっかけを教えてください。
吉村:任天堂のゲーム「スプラトゥーン」の大会を開きたいと思ったのがきっかけです。いざ大会を開こうと思ったら、会場やインターネット回線の準備に10万円以上かかることが判明して。
Googleで「福岡 投資家 学生」と検索したら、F Venturesが高校生にも投資していることがわかったんです。SNSや公式LINEで何度もアプローチし、インターンをしていた福海さんとつながれました。
それから「高校生がピッチに出たらそれだけでおもしろいから」とすすめられ、気づいたらTORYUMONのピッチに参加していたんです。
最初のピッチでは投資が決まりませんでしたが、「eスポーツの事業に挑戦するなら日本でなく、海外でやると良い」とアドバイスをもらって、2回目のTORYUMONで優勝できました。今ではシンガポールで、eスポーツ関連の会社を経営しています。
杉山:学生時代、ITに興味があったのですが、学歴フィルターによりIT企業への就活で”全落ち”しました。それならIT分野で起業するしかないと思ったのがきっかけです。
学生時代、プログラミングスクールの「TECH CAMP」でインターンをしながら「30代、40代くらいに起業できれば良いかな」くらいに考えていたので、20代で起業するとは思ってもいませんでした。
── その後、スタートアップでの就職も経験したんですよね?
杉山:スタートアップで働きながら、ABBALab代表で投資家の小笠原さんが経営していたバーで夜勤して、事業の種を探していました。
その時期に絵本のサブスク事業を立ち上げるため、小笠原さんとF Venturesに出資していただいたのが初めての起業でしたね。
── 事業アイデアは、どう思いついたのでしょう?
杉山:クリエイターが不得意なことで損する世の中に疑問を感じ、事業を思いつきました。
今経営しているTooonの事業もそこから着想していて。フリーランスやクリエイターが苦手と感じがちなことをサポートするソフトを提供しています。
「営業力とコネクション」F Venturesインターンで得られたもの
── 学生時代、F Venturesのインターン経験のなかで、起業に役立ったことを教えてください。
福海:TORYUMONの運営を2年間で4回も経験できたことが大きかったですね。
協賛スポンサーの募集やイベント登壇依頼では、上場企業の経営者に学生ながらアポをとり、飛行機の手配や交通費・謝礼のやりとりをしたこともあります。営業力が自ずと身につき、コネクションもどんどん広がったと思います。
またピッチの登壇者にピッチや事業内容のアドバイスをしたり、投資面談も経験しました。今独立系VCを運営できているのは、インターンで基礎を身につけられたからです。
吉村:僕の場合は、インターンで任されたリサーチ業務が勉強になりましたね。上場企業の決算書をまとめたり、eスポーツ業界のトップ企業についてひたすら研究したりして。
あとは、eスポーツのイベントを企画・運営させてもらえたのも良い経験になりました。協賛企業への営業からイベントの設営、キャスティングまですべて担当させてもらえて、今につながる経験になりました。
起業の近道は“起業が普通の環境に身を置く”こと
── 今振り返ってみて、学生時代に経験するべきことを教えてください。
吉野:やっぱりインターンシップは参加した方が良いと思いますね。特に長期のインターンシップがおすすめです。私は学生時代、ドローンを扱う企業で半年間のインターンシップに参加したことで、社会人になるイメージがわきました。
杉山:覚悟を決めてチャレンジし、ちゃんと失敗する、これを何度もやるのが良いかもしれません。私自身、挑戦と失敗を繰り返すことで自分の向き・不向きがわかったからです。
福海:私は、自分がなりたい属性の人のいるコミュニティに所属するのが重要だと思います。周りの人が起業する環境にいると、起業を思い切った意思決定と捉えずに挑戦できるからです。私自身、周りにVCとして起業する人が多かったので自然とVCとして独立できています。
吉村:今振り返ると学生のときは時間が無限にありますよね。だからこそ創作活動や海外経験は若いうちにどんどん積み重ねると良いと思います。
僕は英語が話せないことが、今すごくネックになっていて。海外のファンドはもちろん、外国籍の社員とスムーズにコミュニケーションをとるのが大変なので、語学力があれば良いなと感じます。
── ご自身の経験を踏まえて、学生は起業すべきだと思いますか?
杉山:覚悟があるなら、挑戦しても良いと思います。覚悟を持って挑戦すれば応援してくれる人が現れるからです。
吉村:僕は高校生で起業したので、企業で働く経験をF Venturesのインターンでしかしていないんですよね。だから、起業以外にどう働けば良いのかわからないのが正直なところです。
ただ、今ではeスポーツの配信で、同接40万人・再生回数3,000万回をとることもあります。市場が伸びているのもあり、好きなことだけで生きられるのは本当に幸せだと思います。
起業を志す学生・U25の社会人へメッセージ
── 最後に、今日参加してくれている学生の皆さんに一言ずつお願いします。
福海:不思議なことに、注目のスタートアップが特定のビルやシェアオフィスから現れたりすることがあります。Geek Studioから始まったこの場所も、語り継がれる伝説のビルになるんじゃないかと期待しています。
吉野:さっき福海さんが言っていたように、自分の置かれている環境や人を自分のやりたいことに近づけるのはとても大事だと思っていて。自分がなりたい人物と積極的に関わると良いと思います。
もし今日この場に集まったみなさんが起業したい、将来もっとおもしろい挑戦がしたいのであれば、このTORYUMON OFFICE FUKUOKAがその始まりの場所になるかもしれません。
杉山:好きなことで幸せに生きるのは、わりと大変です。でも、それを受け入れる覚悟をして、やりたいことに挑戦すれば人生は楽しいものになります。
この場所で知り合って、一度失敗して離れても、5〜6年経ったときにそれぞれ別の場所で輝いているなんてこともあります。多少の挫折は気にせず、がんばりましょう。
吉村:僕は毎日のコンセプトを「伝説」と言い切っていて。福岡の宮若市で生まれてそのまま生きていたら何もない人生だったと思います。
たった6年人生をかけるだけで、自分の大好きなインターネットを使ってお金がもらえる格好いい仕事ができています。スタートアップ、楽しいです。
イベントを終えて
「TORYUMON OFFICE FUKUOKAオープニングイベント」では、両角が語った福岡の若手スタートアップコミュニティへの思いを皮切りに、先輩起業家4名が自身の起業経験や学生時代の取り組みをシェアしました。
「自ら身を置く環境を選ぶ」「失敗から向き・不向きを見つける」といった先輩起業家たちのメッセージは、これからの時代を担う若者たちへの力強いアドバイスとなったことでしょう。
F Venturesは、福岡オフィスを25歳以下の学生や若手の交流拠点として盛り上げ、次世代の起業家やスタートアップが生まれる場所にしていきます。
起業に挑戦したい人、漠然とでも何か新しいことにチャレンジしたい人は、ぜひオフィスへの入居やインターンへの参加をご検討ください。
また、近日の福岡イベントのご案内
2024年8月16日(金)15:00~16:30
2024年8月19日(月)19:00~21:00
2024年8月31日(土)13:30~17:30
※なお、以下TORYUMON OFFICE FUKUOKAでのイベントカレンダーをフォローしていただくと、今後ニュースレターをお送りします。