Web3で変わる経済圏〜コレクティブルNFT、X to Earn...etc、盛り上がるNFTコミュニティの特徴とは〜
2022年3月12日、Web3への移行。NFTを活用した新たな世界を福岡にて開催しました。Web3界隈で活躍する起業家ら4名を迎え、パネルディスカッションを実施しました。この記事では、パネルディスカッションの内容をお伝えしたいと思います。
「Web3」への移行。NFTを活用した新たな世界と題しまして、Polygon日本進出の立ち上げを行うPolygonJapanコミュニティマネージャー 岡山佳孝氏。CryptoCrystalのNFTは世界的なトレンドになり、The Sandboxと共同でLANDセール&NFTセールを実施したMinto 代表取締役 水野和寛氏。Web3の未来を支援者ではなく貢献者として共創していく専門家集団Fracton Ventures Co-Founder 鈴木雄大氏。ウォレット・イーサリアムなしで遊べるブロックチェーンゲーム『クリプトスペルズ』を提供するCryptoGames株式会社 代表取締役 小澤孝太氏をお呼びして『NFT』界隈をざっくばらんに語っていただきました。モデレーターはPolygonJapanコミュニティマネージャー 岡山佳孝氏が務めています。
NFTの現状と今後の課題
[岡山]
最初に、NFTの今後の課題について現状から今後までをざっくりお願いします。
[水野]
NFTの現状についてですが、まず前提として、CryptoKittiesというDapper Labsが2017年に作ったブロックチェーンのアプリケーション(NFTゲーム)があり、2018年から2019年にかけて日本でもブロックチェーンのアプリケーション(NFTゲーム)が作られました。ただ、2019年、2020年が仮想通貨冬の時代で、それに引きづられてNFT市場も停滞してしまいました。2021年になって風向きが変わって、Beepleさんのアート作品がで売れたり、NBA Top Shotの売上が急増したりしてNFTが再注目されるようになりました。
2021年の7月8月ぐらいからNFTの世界最大のマーケットプレイスであるOpenSeaの流通総額は上がっていき、2018年にローンチしたMinto社のCryptoCrystalも再度盛り上がってきたりしました。また、個人クリエイターの方がNFTを作り、それらが何十万円、何百万円で売れるということが沢山ありました。せきぐちあいみさんやNYさんなど多くのアーティストが大活躍した1年だったと思います。
[水野]
今後の課題だと、個人がNFTを作ってそれを買ってコミュニティが活性化してきたという側面はありつつ、海外でも昔からあったNFT、例えばCryptoPunksみたいなもののムーブメントが去年は盛り上がっていたものの最近は落ち着きを見せてきたかなという印象があります。次のフェーズのNFTプロジェクトに移っていくと思っています。
今後は、CloneXやAzukiみたいな複数人のチームで作ったNFT、それも3Dだったりアニメのクオリティが高かったり、当然その先にはゲームやメタバースもあり、そういったユースケースを想定したチームで作るNFTのプロジェクトが増えてくると思うので、そこに対応するようなチームや政策、開発が必要になってくると思ってます。
[岡山]
そういう意味で言うと、今後はこれまで個人の時代だったものが組織化されたり資金がより必要になっていくような、事業性を持ったものが増えていくような感じですね。
[水野]
そうですね。最近ニュースになっていたBored Ape Yacht Club の運営会社がCryptoPunksと、Meebitsを買った話があったと思うのですが、あれも1つの節目かなと思っています。
[鈴木]
あのニュースではIPを買ったと書いてましたね。Larva Labsの本体はIPを作ってる会社でした。そこで生まれたのが、CryptoPunksやMeebitsで、MeebitsとCryptoPunksはそれぞれの世界観を持って羽ばたいていったと。そのIP自体が譲渡されたという感じですね。
[岡山]
簡単に言うとマーベルシネマティックユニバースができました、みたいな感じですかね。
[水野]
そうですね。今までMeebitsとCryptoPunksはあんまりIPとして扱ってなかったので、権利の存在が曖昧だったりとか、良くも悪くも自由にやっていいものだったのが、整理されていくみたいな感じですね。そういう意味ではフェーズがちょっと変わったという気はしてますね。
NFTを始める時のチーム構成
[小澤]
なんかNFTを販売していて感じるのは、1年前だととりあえずNFTやってみましたというだけで売れたんですよ。それまでは、単なる画像や動画が売れたんですが、1年経ってプロジェクトが乱立し、競争が激しくなっていく中で求められることが多角化してきたなと思っています。
プロモーションもしなきゃいけないし、コミュニティを作らなきゃいけないし、エコシステムを考えなきゃいけないし、新しい技術提案もしなきゃいけない、となってきて、クリエイター個人では難しくなってきたなという感じがしてます。一方で、クリエイターはプロモーションをしたいというわけではないので、それができるチームをいかに作るかが重要になってきていると思っています。
[岡山]
これからNFTをやるために、チームを作ろうとしたときに、どういったスキルセットの人が集まると、1つのチームとして実働するイメージなんですか?
[小澤]
再現性がないので難しいと思っているんですが、個人的に2つの要素があると思っています。1つ目は、新しい技術提案みたいなものが必要だと思っていて、AzukiのERC721Aとか新規でやらないと界隈の人から応援されないんじゃないかというのは1つ思っています。2つ目は、DAO的な運営で、NFTを持っていることで何ができるのかといった設計も確実に求められてきていると思います。そのような設計ができる方とクリエイターのセットが必要なんじゃないかなと思っています。
[岡山]
まとめると、NFTの今後の課題については、アートな側面もあると思うのですが、事業の構築難易度がより上がっていく世界になっていくと。必要な人材や資金をいいタイミングで投入できるような計画や前提を持った事業展開が必要になっていく、といったことが今の課題になっているということですね。
Web3分野で、新規プロジェクトの立ち上げ方法
[鈴木]
立ち上げ方法はとりあえずやるしかないですが、参考になることを1つお伝えするとしたら、どういうプロジェクトが面白いとみんなに思ってもらえるんだろう、みたいな観点を常に意識して世の中を見るようにしています。
例えば、さっきお話いただいたAzukiの例とかもAzukiのキャラクターが可愛いからあれだけ売れたわけではなくて、裏側に721Aっていう技術のトレンドみたいなのがあって、NFT出すときのスマートコントラクトの改良版を発表して、技術界隈でバズっていてそこで面白いことがありそうだと界隈の熱量が高まった上でクオリティの高いNFTを出していく。そういった感じで、どのような順番で何が起こってるんだろう、ということは気にしています。
最初はアートから入ったんですが、今や何でもNFT化できる時代に突入しています。どんなものでもNFT化できますが、NFTにする意味って何だったのか、NFTはどこで使うものだったんだろうか、みたいな観点を解消できるようなプロダクト。その意味で、コミュニティが、これで何か面白いことできそうだなと思える余白を盛り込んで、コミュニティを盛り上げていけるといいのかなと考えています。
[岡山]
その余白というのは具体的にどういうことなんでしょうか?
[鈴木]
例えば、キャラクターのIPというのは、自分に権利はほぼありません。だから、プリントされたTシャツを買ったり、グッズを買ったりしかできません。それはもう、ファンとIPホルダーの関係です。ところが、先ほどお話いただいたようなMeebitsは権利も新しく変わり、今度はNFTを持ってる人が自分のNFTを商品化できるチャンスが訪れるんですよね。
これは明らかに今までなかった領域で、できることはその人自身に委ねられている。ここが余白の部分だと思っています。1から10まで教えてあげるわけじゃない。だからこそ面白いアイディアが出てくるし、面白い使い方が出来るし、こんなところにMeebitsみたいなのがおそらく出てくる。そういうのが非常に面白くなってコミュニティが盛り上がるんじゃないかなと思っています。
[岡山]
コミュニティ参加者が自由に創意工夫できるような余白を残しておいた方がいいという意味ですね。一旦、ここで、Web3の分野での新規プロジェクトの立ち上げ方法についてまとめると、テックと海外トレンドなどを参考にしつつ、その裏にある文化的背景を理解しながら要素分解して考えた上で、日本にそれが当てはまるのかであったりとか、プロジェクトに参加してもらえるメンバーたちにどう余白を残して主体的に動いてもらうようになるか、ということを考えるといいということですね。
NFT-Fiなど、レンディング系のユースケース
[岡山]
NFT-Fiなど、レンディング系のユースケースについて、最近NFTでお金をもらったりするようなサービスが海外でもちょっと出てきていると思うんですが、具体的にどういった使い方をしているかを教えていただきたいです。
[鈴木]
NFT-Fiとは、一言でNFT×DeFiという意味だと思っています。DeFiは、分散型金融、Decentralized Financeからきている言葉なので、ブロックチェーン上で起きているお金の貸し借りをスマートコントラクトを介して自動化するというものです。これとNFTが結び付くということをNFT-Fiと呼んでるんじゃないかと思ってるんですが、NFT-Fi自体は結構いろんなやり方があると思っています。
例えば、NFTを担保にしてお金を借りるということも海外では始まっています。でも、NFTの価格自体は上がったり下がったりするじゃないですか。だから、借りられるお金は大きな金額が借りられるわけではなく、価値に対して少しの割合しか借りられないなど、まだまだ試行錯誤が必要と感じる要素はあります。
他の要素だと、NFTをロックするみたいな概念とかも最近出てきていて、1つはマーケットに出ているNFTの数を減らしちゃうという方策、もう1つはロックをすることによってまた違うトークンをもらえたり等、そういったゲームっぽい仕掛けを組み込むプロジェクトも出始めていると思います。
そういう意味で、NFTが単独で生まれなくなってきて、NFT×ゲームでNFTを使うなどは小澤さんとか専門だと思いますが、インタラクティブ性を創出してきているのが、今起きているユースケースかなと思います。
[小澤]
最近思っていることがあって、サンドボックスのLANDを借りたいんですよ。みんなメタバースメタバースと言ってて、サンドボックス上でメタバース作れないですか、という声がすごく多くて。でも、あれ3×3買うと1,500万円ぐらいするんですよね。そこで、3ヶ月間だけ、このNFT-FiでLANDを借りるというユースケースが増えてきそうだなと思っていて、今まさに欲しています。
[鈴木]
土地はわかりやすいですよね。個数が決まっていて、あとは場所が違うだけなので、ある程度の価値が揃ってくる。
[水野]
NFTの中でも、完全にユニークなものと資産性がありそうなものが分かれていってる気がします。まだ現実の世界の土地や、それに近いものはわかりやすいですよね。
[小澤]
あと、最近NFTを分散化してFTにして、サンドボックスのLANDは高くて買えないけど、FTを10万円分買いたいニーズが出てきたり。インデックスファンドのように、NFTプロジェクトを応援するFTみたいなものも今後流行ってきそうな感じはしています。
[岡山]
NFT-FiというのはNFTとDeFiを組み合わせたもので出来ていて、レンディングのユースケースと足したような感覚で見られていると。前提としてはNFTが何でもNFT化されていく時代になっていき、そういった1つのユーティリティの方向性をいろんな人が探っていく。その1つが土地である、というような感じでしょうか。
[小澤]
売買しにくく、流動性が少ないNFTの解決策みたいな感じですかね。
[岡山]
なるほど。そういう意味でいくと、皆さんが知っているNFTから、流動性を高めるようなものや土地であったり、いろいろ展開が出てきていると思うんですが、これによって影響を受けるビジネス領域とか、事例みたいなものはあったりするんでしょうか。
[水野]
サンドボックスやDecentralandもそうですし、土地があるということによってFTとNFTの二重の経済圏ができていて、そのFTでNFTを買って循環してるんですよね。サンドボックスの中では土地(NFT)を買うためにSAND(FT)が必要なので。。経済圏が作れるのでいろんなサービスに応用できるんじゃないかなという気はしていますし、ゲームが一番わかりやすい気がします。
[小澤]
Axieがわかりやすい事例かもしれないですね。
[岡山]
Axieってちなみにどんなゲームなんでしたっけ。
[小澤]
Axie InfinityというポケモンのNFT版のようなゲームがあります。ユーザーは3体のモンスターを保有することでバトルができます。バトルをすると、毎月トークンを稼ぐことができます。
Axie自体は、NFTの価格が一番高いもので1個10万円ぐらいなので30万円ぐらい元手がないと1セット揃わなかったんですが、毎日バトルをしていると、一時期だと月に2、30万稼げるようなゲームになっています。発展途上国のフィリピンで去年爆発的に広がったゲームです。
それも同じでNFTを持っていると、トークンが稼げ、そのトークンを使ってまたNFTを買うことによって、またトークンの価値が上がり、そうやってまたNFTの価値が上がるみたいな相乗効果を生んでいるサービスが最近多いですね。それを改良したモデルとして、最近はSTEPNとか、流行ってたりしてますね。
[岡山]
歩くとトークンがもらえる、みたいなアプリですよね。
[小澤]
はい。 Move to Earnと言われる。昔のポケモンGOに近いもので、歩くとトークンがもらえるようなサービスが今流行ってたりします。
[水野]
STEPNは、僕の周りでも全然仮想通貨に興味なかった人がやり始めてるくらい、急激に流行ってますよね。あれはユーザー体験がいいんだろうなと思っています。あのようなところから増えてくれると嬉しいですよね。
[鈴木]
モバイルから入ってるのはいいですよね。ほとんどのDappsってブラウザなんですよ。スマホのMetaMaskはちょっと心もとないですが、STEPNはモバイルのネイティブのアプリがあるんですよ。
[岡山]
リアルにも侵食してきたりしているようなサービスが増えていってるというような形なんですかね。Axieなどは、リアルなお店でも使えるくらい、浸透していますよね。
[小澤]
リアルな場所というのは、SLPを使える場所があるってことですよね。フィリピンだとタクシーの決済まで、SLP(Axie上で獲得する仮想通貨)で行えるとか。
そのゲームで稼ぐような人たちが住んでいる村があって、みんなそこでAxie Infinityというゲームをやって、月10万円や20万円を稼いで、みんなそのゲームで暮らしている村もあるみたいですね。フィリピンの10万円20万円は日本でいうと50万円60万円くらいです。
国内の規制について
[岡山]
今までいろいろな海外の事例やビジネスの考え方を話してきたんですが、暗号通貨に関わるビジネス領域は、国の政策や法律が関わってくることもあり、Web3事業での日本の規制や法律に合わせていくと思うんですが、やっていく中でどのような可能性を感じていらっしゃいますか?
[水野]
規制や法律の問題もあって、パブリックチェーンをやる発想だったら、Astarさんのようにシンガポールに行くといった形になると思うので、プラットフォームを日本で作っていくのは難しいなと思います。
その反面、今Web3のプラットフォーマーやグローバルなプレーヤーと話してると、やはり日本のIPやキャラクター、ゲームなどは日本の歴史がある中で、協業の話も多いので、日本にあるクリエイターの資産、コンテンツの資産。今まで培ってきたノウハウみたいなものは世界で見ても優位性があるんじゃないかなと思ってますね。
Web2.0の世界でもSNS、Twitterなどを通じてグローバルに出ていくクリエイターはたくさんいたんですが、Web2.0の時代に経験したのはコンテンツのキャラクターは広がるけど、マネタイズする手段はほぼなかったんです。
反面、NFTの世界だとファンは数万円のコンテンツでも買うのがベースなので、クリエイターを直接支えるというコミュニティとか、連鎖が起きやすいところでいくと、クリエイターが世界に出ていく可能性は、Web2.0の時代よりもあるんじゃないかなと思っています。
[岡山]
クリエイターとファンによる、日本のクリエイターの経済圏がこれから世界に出ていく可能性はあって、実は意外と壁は薄くて、向こうがクリエイターのことを知ってくれていたら、わりと簡単にコラボしてくれるところもあったりするので、やりようによっては日本のカルチャーが世界で活きるんじゃないでしょうか。
Web3とWeb2.0の大きな違いは?
[鈴木]
私が思うにですけど、Web2.0とWeb3の大きな違いって、プロダクトなどを誰が持つのかみたいなところを依拠していると思っています。これは会社だと、組織がやってはいけないことはルールで書いてあるから駄目、というのが従来のWeb2.0の考え方かなと。
Web3はNFTもですが、その人が所有していることが分かることがまず前提にあります。会社のデータサーバーを確認することなく、所有権の所在がわかることが一つのイノベーション。概念がひっくり返ってると思うんです。
そういう意味でWeb3は本人が持っているということを主体としているので、どっちに主権があるかという所が違うかなと思う。
あともう1つはマインドセットでWeb2.0ってどちらかというと競合他社を排除しようみたいなマインドがあり、「うちがマーケットで一番になるぞ」みたいな概念があるわけですが、Web3はプライドや恥を一旦捨てて、オープンコラボレーションしていこうといったようなムーブメントが大きいなって思っています。
「一緒に何かやろうよ」みたいな、そういう感じのムーブメントにバイブス感じるんですが、これはグローバルで大きくなってくカルチャーの匂いがするなと思っています。
[鈴木]
一緒にやっていこうぜ、Let's makes something together. みたいな言葉をTelegramなどでよく連発します。こっちが「受身で何ができますか?」、「僕たちお金払ったらいいですか?」とかそういうマインドじゃないんです。
今の時間軸って、Web3にとって長い歴史の序の口じゃないですか。だから、もう遅いも早いもあまり関係ないなと思っていて、一緒に作っていくっていう姿勢が大事かなと思っています。
[小澤]
Web2.0の時代はいわゆるソーシャルゲームは、ゲーム会社のサーバー上にユーザーのデータがあって、何を持ってるかというアイテムのデータやガチャで買った課金のデータがありますよね。だけど、そのゲーム会社がゲーム終了しますと言った途端に、全てのデータが無になる世界です。
イーサリアムを作ったヴィタリックは、元々ゲーマーだったので、プレイしていたMMORPGが勝手にシステムを変えられて、中央集権的な運営に不満を持ってイーサリアムを作ったというような背景があるんですよね。Web3のブロックチェーンゲームは、ユーザーのアイテム、NFTがユーザーの手元にあって自分で管理をして、自分で自由に売買もできるし、そのNFTを使って新しいゲームを作ることもできるし、所有権がユーザーにあるというのが一番の違いかなと思っています。
[水野]
僕も自分のnoteに書いていたので、ぜひnoteを読んでいただきたいのですが、デジタルコンテンツが初めてモノのような価値がついたと思っています。
自分たちが2018年から運営しているCryptoCrystalでは、ブロックチェーン上にミントされて1万個ぐらいNFTがありました。2019年2020年には全然価値がついてなかったんですが、2021年のNFTの市場が盛り上がったときに3年の時を経て価値がついたっていうのは、僕自身デジタルコンテンツをかれこれ10年以上かけて取り組んできましたが、今までに1度も経験がなかったです。
過去のデジタルコンテンツに価値がつくというのは、モノと同じようにヴィンテージ価値があるということです。2018年にもう1回ブロックチェーンのコンテンツNFTを刻むってことはもう二度とできないので、そこに価値があると思われたところが、、今までやってきたデジタルコンテンツと全く違うなと思いました。
Web3上でのクロスメディア展開が今後Azuki含めていろんなIPやクリエイターがやっていく中で、Web2.0をやってるときはキャラクターやコンテンツをどれだけ有名にしても最後はモノとしてグッズを買ってもらい、そこでビジネスを作っていくというのが今までの大半でした。
もしかしたら、ブロックチェーンNFTのコンテンツが物として評価されるのであれば、デジタルコンテンツの世界だけでもいろんなものを作って、それを持ってることに所有欲を感じてライセンスビジネスみたいなものをグッズがなくても成立してくるような世界観があるのではないかと思います。
Web3が国内に普及するまで
[岡山]
Web3が日本国内で日常的に当たり前になるのは、あとどれくらいかかるのか、皆さんの予想をお聞きしたいです。3年5年10年でお願いします。
[小澤]
僕は10年ですね。理由としては、Web3はWeb2.0を駆逐するものではないと思っています。10年後もWeb2.0のゲームは残るし、Web3のゲームもあるという状態になると思います。ただ、自社でトークンとかNFTを発行することができるようになったおかげで、Web3のサービスを提供する選択肢が増えただけだと思ってます。
ゲームの歴史でも、今もパソコンで1人でやるようなゲームをやっている人もいたり、SNS上で友達とプレイするオンラインゲームをやっている人もいる。
NFTを売買できるブロックチェーンゲームもやってる人がいるというような形で、10年後も1人でテトリスやってる人はいるみたいな感じで、駆逐するものなものではなく、国や組織に代わるようなものになっていくと思っているので、並行してあり続けると考えるのが現実的かなと思います。
[岡山]
では3年派はどういう前提でおっしゃっているのかを教えてください。
[水野]
僕も条件付きで3年だと思っています。社会全般に行き渡るまでとなると3年じゃ厳しいかなと思ってはいます。ただ、例えばゲームやIPのようなコンテンツの領域だと3年で誰もが知ってるようなゲームやNFTのブロックチェーンのゲーム、IPが出るかなと思っていて、なんとなく3年先って言っていますけど、既にフィリピンではAxieで稼いでる人もいて、ある種、生活の必須事項になってるわけじゃないですか。
それが、この3年に日本や先進国の中でも起こる可能性は全然あると思っていますし、社会全体で使うよりは、その国の人がこのゲームやIPのようなこのコンテンツ知ってるよねってものが3年以内に生まれるんじゃないかなという意味合いで3年にしました。
[鈴木]
私は3年以内に何とかしないと、日本のWeb3が日の目を見なくなりそうだから、頑張ることで3年以内に起こせるよねという期待です。今Web3を知って面白いと思ってのめり込めるんだとしたら今後も絶対に面白いと思えるはずなので、突き詰めるっていうのは、今できるし今からでもできる。みんなでプロジェクトをやり始めると、実はWeb3の未来を一緒に見れるんじゃないかなというパッションのある意見で3年にしました。
海外のトレンドの追い方
[岡山]
海外のトレンドを追う時に参考にしているサイトや方法はありますか?結構Web3の領域は情報量が多く、日々いろんな情報が流れたり、いわゆるスキャムみたいなものがあったりする中で皆さんはどうやってるんですか?
[鈴木]
私の場合、TheBlockのDataなどを見ています。いわゆるクリプトのニュースサイトなんですが、Dataというページがあって、NFTのトレーディングやトランザクションの数が表示されてるんですよね。これを見ると、本当にマーケットが盛り上がってるのかどうか確かめることができる。実はトランザクションの数とかボリュームを見たら大したことない、ということもわかるんです。
数字が出てくる記事はちゃんと見ていて、例えば最近投資家が注目しているNFTのプロダクトや投資を集めているプロダクトはどういうものだろうみたいな。NFT-Fiなども裏側にニーズがあるからやってる人がいる。そういった部分をトレンドとして見ています。
あと、NFTで言うと、クジラと呼ばれる大口のホルダーたちがNFTのマーケットを支配していると思っているので、彼らはどんな人たちで普段どんなことを考えていて、なぜ買っているのだろうということを考えます。お金が余っているから、NFTの高いゲームを買っているとも思うので、彼らが気に入るものって何なんだろうみたいな。それがもしかしたら、さっき冒頭で話されたAzukiのERC721Aみたいな技術実装だったりとか面白い技術だったりもするかもしれないってことの答えになるのかなと思っていたりします。
[水野]
僕も鈴木さんのツイッターやOpenSeaを見てます。OpenSeaでどれくらいNFTが流通してるかは、さっき言ったいくつかデータ系のサイトを見ると、1時間でどのくらいのNFTの流通があるか、Azukiも最初のファーストセールで35億円位で、今は流通300億円いっているなどデータをやっぱり見てますね。
そのNFTのプロジェクトも、例えばAzukiでファーストセールで35億円ほどいっていると、その先、僕らが今想像するよりも遥かに大きいことができるんですよ。なので、そこでNFTがどのくらい売れてそのお金を使ってどんなことを考えているのかを、現在成功している他のNFTを見ながら先読みしておかないと、先の未来がちょっと見えないので、そこは注目しています。
[小澤]
Twitterかな。TwitterとDiscordで事業者やコミュニティがあるので、議論には参加してるんですが、もうNFTは多角化してきていてもう追いきれないと思います。本当に主要なNFTプロジェクトとゲーム系の新しい動きだけを追うようにして、それ以外は分野を絞って調べるというのは今後あり得るかなと思います。
[岡山]
そうですよね。僕が思っているのは、Web3になって分散ということが声高に叫ばれ、多くの人が自由に活動できるようになった反面、いろんな人がいろんな角度から情報キュレーションし、それを思い思いに流している状態になっていると思っています。