【FV Family vol4 】“心を豊かに、そして人生を豊かにする” emol株式会社 CEO 千頭沙織さん
こんにちは、F Venturesインターン生の小田です!
今回は投資先インタビュー企画 FV Family 第4弾ということで、emol株式会社CEOの千頭沙織さんにオンラインインタビューをさせていただきました。
国内ではまだあまり馴染みのない、メンタルヘルスケアについて、CEOから直接「起業した理由」や「目指す世界」についてお話を聞いてきました。
〈プロフィール〉
千頭 沙織(ちかみ さおり)
emol株式会社代表取締役CEO
2014年に株式会社エアゼを創業、webやアプリの企画・デザイン・開発の業務に携わる。2018年にAIとチャットで会話をしながらメンタルケアをするアプリ『emol』をリリースし、2019年にemol株式会社を創業。
〈emol株式会社〉
2019年3月に設立した、コンシューマー向けにAIとチャットで会話しながら感情の日記をつけるiOSアプリ「emol」を提供しているスタートアップ。
2020年5月に社内外の悩みを共有するコミュニケーションSaaS「emol work」正式版の提供をスタート。
emolを創業までの道のり
-- emol創業に至った経緯を教えてください!
学生時代に就活をしているときに、本当に自分のやりたい仕事というものが分からない状態で企業に入社するということに懐疑的な気持ちがありました。そこで、就職はせずに、自分が作りたいと思ったアイデアを形にできる起業という道を選びました。
しかし、初めに起業した会社は、ユーザー獲得に苦戦。
なんとかwebのデザインや開発などのお仕事を請け負いながら会社を存続させていました。
受託での仕事を続けながらも「人が癒されるようなサービスを作りたい」という思いがあり、新しいサービスを考案しました。
新しいサービスでは、今までの失敗経験から、まずは自分をペルソナに設定し、本当に欲しいサービスのことだけを考え、アイデアをブラッシュアップさせました。
大学時代に人の期待に応えることばかり気にしていたのですが、頑張っても頑張っても、勝手に期待値を上げられて、嫉妬されたり、私は出来て当たり前みたいな発言をされることに疲弊してしまい、人と繋がることが苦手になりました。
人間相手に話すのではなく、AI相手に話しができたら楽しそうだなと思い、AIチャットアプリを作ろうと考え始めました。
これがemolが出来上がった経緯です
創業期を振り返る
-- メンバーはどのように集めましたか?
創業初期は資金不足だったこともあり、正社員エンジニアは雇えなかったですが、業務委託や採用サイトで優秀なエンジニアの方々に手伝ってもらっていました。
-- 創業当初一番苦労したことはなんだったのでしょうか?
メンタルヘルスのサービスと言うことで、メンタル面の臨床的なエビデンスをとることにとても苦労しました。
初めは、心理学の研究をされている大学の研究室に相談していましたが、週に1回ほどのコミット量でしたので思ったように進まなかったです。
その後、心理学の研究をされている大学の研究室とメンタルヘルスについて共同研究をさせていただけることになり、そちらの学生さんにインターンやアルバイトとしてお手伝していただきました。
さらに、サービスが拡大してきたこともあり、再び採用サイトで募集をしてみたところ、国内にメンタルヘルスケアのアプリを作っている会社がまだ少ないこともあり、心理学を学んでいる学生さんなどから多くの応募をいただきました。
-- どのタイミングで資金調達を考えましたか?
β版リリース後、ユーザーヒアリングで「ストレス解消になった」「癒された」などの声をいただいた時に、このサービスは自分だけでなく、多くの人が必要としてくれていると感じ、このタイミングでemolを本気で成長させたい思いました。
当時、受託のお仕事もさせていただいておりましたが、emolの成長にフルコミットしたいと思い、資金調達を始めることを決めました。
-- 調達はうまくいきましたか?
2019年3月から資金調達を初め、2ヶ月ほど投資家周りをしていましたが、なかなか資金が集まらず、とても苦労しました。
ユーザーが使ってくれている、求められているということからemolのプロダクトには絶対的な自信があったので、調達がうまくいかない原因は事業の伝え方だと思い、改善点を探し、どうしたら投資家が出資してくれるのかを考え続けました。
考えている中で、投資家目線でサービスを見た時に、toC向けのサービスだけでは利益を出すことが難しいことに気づき、toB向けにサービスを広げて、コツコツと利益を出していこうという考えに至りました。
戦略を切り替えた後、投資家周りを再開して、無事に資金調達をすることができました。
調達がうまくいかなかった当時は本当に苦しかったです・・
新サービスemol work
--サービスについて教えてください。
2020年5月7日に正式版をリリースした、AIを用いてチームの心にアプローチするリモートオフィスSaaSです。
▼サービス詳細
「チームから"悩み"をなくす」ことを目的にしており、AIとチャットで対話しながら悩みを聞き出し、それをチームに共有することでチーム全体で解決方法を考えることができます。
1人では解決できない、仕事環境のようなチーム全体で解決しないといけない問題を、心理的安全性にフォーカスしながら解決に向けての手助けをします。
Googleではこのような心理的安全性をすごく重要視されています。
“心理的安全性とは、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味する。”
引用元:「効果的なチームとは何か」を知る
日本は、「発言をすると周りからよく思われないのではないか」「否定されてしまうのではないか」と悩みを言いたくても言えない、心理的安全性が担保されていない企業が多いです。
emolworkは、匿名でフラットな気持ちで悩みを共有し、気軽に悩みを話せる場を提供しております。
-- このサービスをどのように拡大させたのですか?
初めは、β版リリース時スタートアップ界隈の人が集まるイベントに行き、できるだけ多くの人と名刺交換をするという地道なことをしていました。
正式版リリース後はプレスリリースの反響が大きくお問い合わせ件数が急増し、自ら営業することは少なくなりました。
フリーミアムモデルなのでとりあえず使ってみようと導入してくださる企業様が多いです。
苦しい時期を乗り越えて変わった価値観。
-- キャリア選択で大切にしていることはなんでしょうか?
映画・漫画・アートなどの「心を動かすもの」ってすごいなと幼い頃から思っており、私にとって、人の心を動かすことこそ人生の楽しみです。自分がやりたいこと、楽しいと思えることを仕事しようと常に思っています。
誰かに指示されて仕事をするのではなく、自分が作りたいと思う、人が楽しくなったり、感動を与えることのできる物をこれからも作り続けていきたいです。
死ぬまで安定はいらないです!
-- 人生の転換期になったことはなんでしょうか?
大きなきっかけは、大学生時代にありました。
当時は、友達からの期待や教授からの期待、また、家族からの期待に応えることに必死になりすぎたことが原因で、メンタル的に疲れてしまい、大学三年生の時に自分の命を捨てるという選択をしました。
今では同じことを思う人に勇気を与えることができたらいいと思い、この苦しい経験談をオープンにしています。
▼より詳しいお話は千頭さんのnoteをご覧ください。
この出来事を境に、誰かの期待に応えることは意味がない。人の期待のために頑張るのは止めようと思うことができました。
その経験により価値観がすごく変わり、”自分のやりたいことをやる”という意識がとても強くなりました。
なのでやりたいことに対しては、よりストイックになりました。
今後の展望
-- 最後に今後の目標について教えてください!
メンタルヘルスとは病気や精神疾患のことを指すのではなく、”心に関する全てのこと”として私たちは捉えています。
メンタル的に問題を抱えているからemolを使うのではなく、心の癒しの存在としてemolを多くの人に使っていただきたいです。
心を豊かにして、人生を豊かにして欲しいです!
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本日は貴重なお話をありがとうございました。
メンタルヘルスという国内ではまだまだ馴染みのない領域について知ることができ、とても勉強になりました!
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