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2022年までのNFTトレンドの変遷~これからの後発事業者が参入すべきNFT領域と起業する際の注意すべきポイントについて~

2022年10月21日に福岡で「NFT Meetup Fukuoka」を開催いたしました。イベントではNFT領域で活躍中の3名、株式会社COINJINJA&tofuNFT 沼崎悠氏、イーサリアムnavi運営 でりおてんちょー氏、株式会社Kyuzan 高橋卓巳氏を迎え、昨今のNFTトレンドからこれからのNFTについてざっくばらんに語っていただきました。この記事では、当イベントのパネルディスカッションの内容をお伝えします。モデレーターは岡山佳孝氏が務めています。

NFTのトレンドの変遷

岡山:
現在までのNFTのトレンドの変遷について大局観的なところをお答えいただけますか?

岡山佳孝 氏
1991年生まれ。複数プロジェクトに従事しており、_auction Founder NFTプロジェクトの立ち上げ,FractonVenturesでマネージャー等を行う。新卒からVCで投資事業に従事。創業期のメンバー採用の手伝いや事業立ち上げファイナンスのサポートを行う。投資先はpatra(D2C),hachidori(chatbot),Lips(コスメ),ROXX(人材), Posiwill(人材)等 その後独立し、サービス開発/売却を行い、Rentoの事業企画立ち上げ、IVSの企画運営を行い、現在。

でりおてんちょー:
2017,2018年ごろに最初はゲーム領域が盛り上がって、Crypto KittiesやAxie InfinityなどがOpenSeaなどのNFTマーケットプレイスに並べられるようになり、認知が広まったのではないかなと思います。2021年春にBAYC(bored ape yacht club)と呼ばれるコレクティブNFTの火付け役になったものが出てきて、それをきっかけに、色々なNFTプロジェクトが大体1万個くらいの見た目の異なるNFTを発行して販売する、という流れに代わっていったと思います。そこからCrypto Punksなどの古典的NFT、歴史のあるものが評価されるようになって、フロアプライスが上がって、注目を集めるようになりました。2021年夏ぐらいになると、LootというフルオンチェーンNFTで、文字だけのNFTが出てきて、それを使って派生させたり、紐づけたり、繋ぎ合わせたりする、といった新しい使い方が見いだされました。2021年秋ぐらいにNouns DAOというNFTプロジェクトが出てきて、NFTをそれまで1万個売るというモデルが主流だったのですが、一日一体のオークション形式で販売していくような新しいやり方が発掘されて、それでお金が溜まっていって、そのお金を使ってNouns DAOを広めるような活動をしていきましょうといった新しいNFTの使い方が出てきたのかなと思います。それで、今に至ると言う感じです。要約するとゲームから始まり、アート的なものに代わっていき、その後Twitterやプロフィールにするようなものに代わって、フルオンチェーンNFTが出てきたり、DAOの資金を使って何かやろうなどといったプロジェクトが出てきた、ざっくりこういった流れがあったと思います。

でりおてんちょー 氏
Web3メディア「イーサリアムnavi(https://ethereumnavi.com)」を創設・運営。また世界的に有名なDAO(分散型自律組織)の一つNounsDAOの日本支部「NounsDAO JAPAN」を共同創設・運営などしていた(現在は退任済み)。Web3を分かる人にしか分からない深い内容の記事を生産しているためコアな有識者などから絶大な指示を得ている。

Web3リサーチの仕方

岡山:
ありがとうございます。多分現在までのNFTのトレンドの変化、というのを質問して頂いた方の意図としては、色々な問題が分散してしまっているので、大局観的にどういう流れがあるのか振り返るのが難しかったという悩み事があってこういう質問をされたと思うのですが、でりおてんちょーさんは、今メディアをやられていたりする中で、どういったリサーチをしていたり、ソースを見ていたりなどして、海外のプロジェクトを追っているのですか?

でりおてんちょー:
最初はTwitterを見ます。海外でNFTの事や、新しいものが出てきたら発信するようなアカウントがあるのですが、そういったものをリストアップしておいて、毎日目にするようにします。そして、プロジェクトのDiscordやNotion, Webサイト、コントラクトアドレスなど1個1個洗い出して、まず大枠をとらえる、気になるところや自分が解決できない、自分が分からないようなところを全部分かるまで調べて記事にするという、分からないことを調べて発信するというやり方ですかね。

岡山:
そのようなリサーチをしていく中で、特に良いプロジェクトなどがイーサリアムnavi(でりおてんちょー氏が運営するWeb3メディア)で紹介されていると。

でりおてんちょー:
そうですね。厳選しております。前までは分かりにくいって言われることが多かったのですが、最近は色々な人が見てくれるようになったので、なるべく用語解説を添えるなど、初めてこれからNFTを勉強するっていう人でも分かりやすいように、を心がけて書くようにはしています。

岡山:
それで、さらに言うと起業されたと。

でりおてんちょー:
そうです。1か月前ですかね。法人設立して、頑張ってやっていこうと思っています。

岡山:
どんな事業をやられているのですか?

でりおてんちょー:
基本リサーチです。リサーチして良い物はメディアに載せていたりしていたのですが、意外とリサーチの需要がある、というのを感じ、リサーチャーとして事業としてやっていくっていうのもありますし、あと色々リサーチしていると知見が溜まってくるわけですよ。失敗したプロジェクトも世の中にたくさんありますし、成功したものもたくさんありますし、そういうものを色々見てきたからこそ、NFTプロジェクトのアドバイザーとして入ったりしています。そういった感じで今までやっていたのですが、その延長でもう少し人を増やしてやっていこうかな、という感じですかね。

岡山:
なるほど。では採用もやっていると。

でりおてんちょー:
採用はまだやっていないのですが、でもライターの人を探しているので興味ある方いたら声かけて頂けたら。

今後参入すべきNFT領域1

岡山:
今後参入すべきNFT領域ってどこですか?

沼崎:
今後この分野は来るよ、という話なのか、これから起業するならこのジャンルいいのでは、という話なのかどちらですかね?

沼崎悠 氏
2011年にアジア圏での人材採用企業を起業。その後、フジサンケイグループ内で複数社の事業開発に携わる。2017年に株式会社COINJINJAを共同創業、国内最大級のユーザー数を持つ仮想通貨アプリ・コイン相場を運営。2021年からマルチチェーンNFTマーケットプレイス・tofuNFTの運営を開始、BNB chain, Avalanche, Polygon, Fantomといった主要Layer1、Arbitrum, Optimismといった主要Layer2、Astar, Moonbeamといった主要Parachainでトップクラスの出来高を持ち、29以上のEVMチェーンで展開している。

岡山:
今日会場に来ている方で、起業したいもしくは起業の方が聞きたいって人どのくらいいますか?(起業の方に多く手が上がる)じゃあ起業でいいのではないですか。

沼崎:
もう一個の、今後この分野はくるよ、という質問の回答を言うと、次に来るのはGameFiっていうのがほぼ確定しているのですが、ただ起業に向いているかと言うとあまり向いていなくて、なぜかと言うと、ゲームスタジオが10億くらい大金を使って参入してきているからです。つまり、10億ぐらい用意して初めてゲームのスタートラインに立てるってことです。なので、起業するには向かないですよね?でも間違いなくGameFiの分野はきます。では、起業するならおすすめのジャンルについては、まずNFTでやるのだったら間違いなく、今起業しないほうがいいです。何か食っていける飯のタネがあるのだったらやってもいいですが、基本的にWeb3の世界って、夏にしか儲からないものです。なので、ここから2年間くらいは何やっても儲からないので。その儲からない前提で何かできるのだったら良いと思うのですが、正直この2年間やることはないです。

でりおてんちょー:
僕、起業してしまったのですがどうすればいいですか?

沼崎:
リサーチャーやツール系などは全然大丈夫だと思います。

でりおてんちょー:
新しくプロジェクトを立ち上げるのは難しいってことですね。

沼崎:
そうですね。あとtoB向けにやるのだったらそこまで苦しくないと思います。ただtoC向けのプロダクトは結構苦しい時期かなと思っています。次のトレンドが分かる、1年後や2年後になったら、流行りそうなものが出てくると思うのでそれまで待った方が良いのではないかな、と思います。

岡山:
そこの読みってすごく難しいですよね。でも、起業をしないほうがいいという話もありますが、領域の方は追っておいたほうがいいから、インターンをしたり、会社で働いてみたり、リサーチをしてみて、そういった波を探していくのが良いのではないかなって思うんです。

沼崎:
そうですね。後次に来そうなのは、チケットや不動産などのリアルアセットのNFT化ですね。でもこれまたお金のかかりそうな領域ですよね。この領域で一番お金をかけずにできる可能性があるのが、トレカのNFT化です。トレカだとそこまで送付のコストもかからないし、在庫を持っていても何とかできると思うのですが、これがスニーカーや中古車、時計になると大変じゃないですか。なので、NFTが、スタートアップが参入するのに難しいテーマになってきた感もありますね。意外とお金がかかりそうなので。

PFPプロジェクトの未来

岡山:
かといってPFPなども参入しにくいですよね?

沼崎:
PFPの波はもう沈んでしまったので。ただ、新しいPFPを考えるっていうのは良いかもしれないですね。ジェネレーティブアートで、ホワイトリストをやって売っていくモデルは完全に終わったと思っているので、一回忘れた方がいいです。ただ、例えば動的にパラメーターを変化させるNFTは面白いかなと思っています。例えば、ホルダーが1000人になったらもう一回100個ミントされますなどといった、持っている人の数やアクティビティなどによって、総発行量や他のパラメーターがどんどん変わっていく、よりコミュニティに紐づいたNFT、要はPFPをアップデートするようなアイディアがあると面白いかなと思っています。あと、1万個のPFPっていうモデル自体がそんなにコミュニティと紐づいていないことが多いです。どうしてかというと、Discordで何をやっても別にPFPと関係ないことが多いためですね。これを、DiscordのアクションがなんらかNFTに反映していくようなダイナミックNFTモデルを作って流行らせたら、面白いですね。クリプトネイティブでお金になるか分からないけど、面白いと思います。

でりおてんちょー:
とても同意で、これからもし参入するのだとしたら技術部分に力入れないとダメですね。ただ1万個発行して画像載せましたってだけでは売れないです。もうユーザーの目も肥えているし、1周してしまった感があるので、何か1つエッセンス、コアなところで面白いポイントがあれば良いかなとは思います。あとNFTは飽和状態なので、それを使って新しいPFPを作るなどといった試みは面白いかなと思います。例えばBAYCなど頻繁に売り買いとかされているNFTのオンチェーンデータを紐づけたジェネレーティブアートなどといった方向性は、可能性はありそうだと思います。あとはCC0(クリエイティブ・コモンズゼロ)とかですかね。CC0とは著作権を放棄して、パブリックに商用利用を許可することです。そういうやり方をするとこのベアマーケットでも生き残れるのではないかなと個人的には思っています。

沼崎:
CC0のNFTプロジェクトがネクストIPになるのか否か、といった議論があると思いますがどう思いますか?
 
でりおてんちょー:
会社が事業としてやるとなるとあまり向いてなさそうですね。それを抱えてビジネスをやっているわけじゃないですか。それを放出することになるので、ネクストIPになるのか疑問ですね。また別物な気がしますね。

沼崎:
CC0をやる意味ってどんなに皆に使われても、原点であるNFTにはバリューがあるから、それが2次流通して格が上がっていったらプロジェクトにも還元されるので、CC0でどれだけ使われても価値が上がるからむしろいい、といった話だったかと思います。でも最近はロイヤリティ問題などで、方向性が変わってきたのかなと思ったりもしているのですが。

でりおてんちょー:
確かにそれで言うと難しいですね。メリットとしてはコミュニティを引っ張って来ることができる、というのはありますよね。NFTプロジェクトにとってコミュニティは基本必要だと僕は思っていて、集めるのは本当に大変だとも思っています。それをゼロから始めるのではなくて、例えばCC0のイラストを使ったりするとそこのNFTのコミュニティの人も興味持ってくれて引っ張ってくることもできるので、そういう意味ではメリットあるんですけど、さっき仰られたように、ロイヤリティが今入ってこないような仕組みも、Sudoswapなどで出てきているので悩ましいですよね。

沼崎:
Sudoswapもそうですが、X2Y2とMagic Edenは今ユーザーがロイヤリティを選択できます。出来高あるのって今、OpenSea、X2Y2、Magic Eden、Looks Rareの4つですが、この4つのうち2つ(X2Y2とMagic Eden)が、選択性ロイヤリティ制度になってしまったので、CC0を活用したNFTプロジェクトにとっては打撃ですよね。

今後参入すべきNFT領域2

岡山:
高橋さん、今後参入すべきNFT領域ってどこでしょうか?

高橋:
ちなみにNFTを保有している人ってどのくらいいますか?(会場の人の半分くらいが手を上げる)ここに集まるような人でもNFTをまだ持ってない状況かなと思っていて、結局今お二人の話を伺っていると、結構難しいタイミングであることだけは分かった感じだと思います。ハイプサイクル的にも、今クリプトのマーケットもベアマーケットと言って落ち込んでいる状況で、NFTの流動性、取引ボリュームも減っていて、次何をやっていけば良いのだろうっていうところです。こういった状況な中、考える事は二つあるかなと思っています。一つはコンテンツ側に問題がある、もう一つはそのコンテンツを届ける時に、コンテンツの流通や決済、ウォレット側に問題があるのか、という問題です。要するに一つは、コンテンツやプロジェクト自体が作っている体験が、ユーザーが欲しいと思わない、使い続けたいと思うぐらい面白くないということ。もう一つは面白いし、気になるけれど、ウォレットを入れるのは面倒くさいし、決済もクリプトを持っていないし、取引しようと思ってOpenseaを使っていたらNFTを抜かれたといった問題も発生していて、面白いコンテンツ作っても届かないっていう問題もあると考えています。この2つの問題を解決しないとこの状況を打破できないのだろうなと僕たちも思っていて、僕たちの会社は面白いNFTのユースケースや体験を作る、というのを自社でゲームとしてやっているのと、そういう体験を作りたいと思っている事業者が、コンテンツを早くコストを低く作るためのツールを提供するというどちらの問題を解決するような事業をやっています。

結局NFTがあまり広がらなかったのはウォレットの問題、大きく言うとインフラの問題かなと思っています。結局NFTは、コンテンツのトレンドは細かい事沢山ありますが、結局2017~2018年に、Crypto Punks、Crypto Kittiesが始まって、去年大きいブームがあって、今落ち込んでいます。とはいえ3~4年前よりは、落ち込んだ中でも取引されている量が一定あるといった状況です。では、どういう環境の変化、インフラの変化があったのかというと、やはりマーケットプレイスとウォレットの普及だと思います。マーケットプレイスを使って簡単にNFTを発行、販売できるようになって、それによってウォレットを持った人が流通、取引できますよ、といった状況だと思っていて、これ以上はどんなに面白いコンテンツを出して、これ以上は広がらないっていうのが僕の中の感覚です。なので、今後はどれだけNFTを簡単にとってもらい、流通させることができるようなツール、ユーザーサイドのツールが大きく変化するための1~2年になるのではないかなと思っています。これまでは結局マーケットプレイスの年だったなと思っている感じですね。今後はそれがゲームなど機能的に強化されたマーケットプレイスと、使いやすいMoonPayなどのウォレットなどがでてきて、広がっていくといったイメージを持っているので、そういった領域に参入するのは面白いと思います。

高橋卓巳 
東京大学大学院修了。大学院卒業後、2018年4月4日に研究室の先輩である小宮山凌平とNFTスタートアップKyuzanを創業。国内でいち早くNFTの普及の可能性を見抜き、日本国内最大のNFTゲームと、国内で最も多くの事業者に使用されるNFTソリューションを開発。2020年4月には、世界初のモバイルNFTゲーム「EGGRYPTO(エグリプト)」をリリースし、2022年8月現在で150万ダウンロード、月間アクティブユーザー20万人を超える、国内最大のNFTゲームに成長させる。2021年4月には、事業者やクリエイターがNFTサービスを簡単に開発できるプラットフォーム「Mint(ミント)」をリリースし、日本で最も多くの事業者の独自NFTサービス開発を支援。

後発NFT事業者が注意すべきポイント

岡山:
後発NFT事業が注意すべきポイントは何ですか?

高橋:
日本のプロジェクトで多いのは、やはりPFPプロジェクトだと思います。NFTは何か新しいユースケースを絡めないと難しいといった悲観的な意見が沼崎さん含め多いのかなとは思うのですが、僕はそれにしては、そこまでPFPのプロジェクトは実験されていないし、結局1年間でそこまでしっかりしたものは出てきていないのではないかな、と思っています。ブルーチップNFTを抜くのは大変だと思いますが、それこそコミュニティとして楽しんで、文化としてやり続けるといったものは、もっと出てきていいと思います。

岡山:
全然、両方あると思っていて、もちろんBAYCなどを目指すのであれば、世界的な潮流でいくと、結構下がって来ているというのはありつつも、高橋さんのおっしゃるように、日本って良くも悪くもランゲージバリアがあって、中長期的に全部統合されていきつつも、まだ日本という内向きにやれるプロジェクトはたくさんあるのかなと思っています。最近だと盆栽や、ビールをみんなで作るなど、NFTの機能やコミュニティならではの熱量が高い人達が集まるようなものは、最近増えてきているなって感じているのですが、そういう感じのことですか?

高橋:
BAYCのような大規模なプロジェクトを目指してNFTプロジェクトをやることが正しいのかというのが結構疑問です。オリジナルのTシャツブランドを単発で1回やってみるぐらいのノリでコンテンツを仲間と作ってみる、といったぐらいから始めて、フルラインナップの服をデザインするようなアパレルブランドに大きくなっていったといったのがBAYCだと思っています。何か自分なりのコンテンツを出したい、というところが大事で、BAYCはPFPの段階で小さいまま終わっていた可能性もあると思います。Ape Coinなども最初から考えていないと思います。なので、ネット上のコンテンツみたいなものの一つの表現方法として、スマートコントラクトやブロックチェーンを使ったコンテンツとして捉えた方が良いのではないかなと思います。小さく始めてたまたま当たったらいいよね、という風に。

岡山:
なんか難しいですよね。日本って、pixivとかのカルチャーがあったから、絵を描くアマチュアの人がたくさん居てそういう人達がPolygonなどを使ってPFPプロジェクトをやる人が多かったです。そこからさっき言った盆栽や、ビールを作ろうなどという、ユーティリティの部分に光が当たって世界の潮流にマッチしてきました。日本って絵のカルチャーがNFTに流れたところから始まっているので、そういった意味でいくと、少しずつユーティリティ性も帯びつつ、この中で独自のものが生まれていく可能性があるのではないかなと思っています。

でりおてんちょー:
地方創生などすごく相性良いなって思います。山古志DAOなどといったプロジェクトもありますし。日本っぽくて、海外で出て来ない事例かなと思っていて、最初は小さく始めつつ、大きいテーマに向かっていければいいのではないかなと思います。注意すべきポイントを一応僕も言っておくと、事例も結構溜まっているのでまずリサーチをしましょう、ということです。あとは法律的なところを見るべきです。意外と知らなかったけど、実は日本ではアウトな事柄はあったりするので、その辺も確認はしたほうがいいかなと思います。だから小さく始めるのが今だと良いのかなと思います。構え過ぎずに、個人からでも良いと思うし。まずは始めてしまってから、コミュニティを作って応援してくれるような人達を集めて大きいところに向かっていけば良いのではないかなと思いますね。

岡山:
後発NFT事業が注意するポイントは、まとめるのが難しいのですが、BAYCのような大きなプロジェクトになる可能性に賭けたいのであればリスクが低い状態で、少し特異性のあることからやってみると良いことがある時もあれば、もっと割り切って、コミュニティのためにそこまで事業規模を追い求めないという場合だったら、自由にやっていけば良いのではないか、ということですね。

NFTプロジェクトにコミュニティは必要か

岡山:
NFTにコミュニティは必要ですかっていう話があって、これはみなさんに聞きたいです。コミュニティの定義とは何かというのと、必要な場合はどういう風に立ち上げていけばいいのか、という二つのテーマが内包されているのでそこをみなさんにお聞きしたいです。

でりおてんちょー:
そうですね、コミュニティって何だってなると難しいですね。

岡山:
僕はコミュニティ作りってすごい重要だと思っています。コミュニティは、小人数の中でニッチな志や強い共感性がある集団から始まるのではないかなと思っています。これをもう少し言語化すると、オープンで間口は開いているが、そんなに人が沢山入ってこないような小規模な集団で、そこから小人数しかいないから普及していかないとそのコミュニティの存続が危ぶまれる、という状態になって、その人たちが勝手に布教しだすと。例えばパクチー好きな人ってパクチーについてとても布教してくると言った形です。これが僕のコミュニティの定義なのですが、みなさんが思うコミュニティの定義って何ですか?

でりおてんちょー:
難しいですね。多分放っておいてもコミュニティはできると考えています。それを可視化しているのがDiscordだと僕は思っています。多分Discordが必要ないですとなっても、Twitter上でコミュニティはできると思っています。それがまとまっているか散らばっているかの違いなので、基本的には必要ですよね。コミュニティの必要ないモノをあげると、例えば1点物のNFTアートなどは必要ないケースが多そうです。1点ものですし、基本1人しか持っていないことが多いので無くても良いです。あとは不動産などの、実用的なNFTプロジェクトもあまりコミュニティは大事じゃないのかなと思うのと、NFTの思想やストーリー的にあえてコミュニティ作らない、というテーマのNFTだったらコミュニティは要らないと思います。だから基本的に必要でDiscordは作っておいた方がいい、という感じですかね。要は可視化でき、固まっている場所を作るか作らないかの話だと思います。

岡山:
良いコミュニティと悪いコミュニティの違いって何だと思いますか?
 
でりおてんちょー:
僕の話ではないですけど、基本お金儲け目的で入ってくる人が集まり過ぎるとあまり良くないですね。プロジェクトに興味を持って、それを広めようとする良い状態の人たちが集まっている場所は良いコミュニティだと思いますが、投機的なプロジェクトのDiscordを見ると、「When token?」といった質問が頻発していますよね。それは良いコミュニティではないですね。そういう投機層が多い場所は良くないと思います。

岡山:
逆にすごく良かったなって思ったコミュニティってあります?

でりおてんちょー:
まさにNouns DAOです。Nouns DAOはそもそもNFTを持ってない人がコミュニティにいます。基本みなさんコミュニティ作るっていうときに、NFTを持っている人達だけでやろうとするのですが、いかに持っていない人達、経済圏の外にいる人たちを引っ張ってこれるかが一番大事だと思っています。長期的に発展させるためには、1万個しかNFTがなくて、1万人しかアクティブな人いないのだったら、頭打ちじゃないですか。それよりももっと外から引っ張ってくることができるような仕組みを作っているのが僕はNouns DAOだと思っています。NFT持っていない人がなぜそこまで熱心にやっているかというと、まずはいけているということですね。いけているってすごいざっくりですが、ブロックチェーンならではで、クリプトを好きな人たちに刺さるようなことをたくさんやっています。もう一つは資金提供プログラムが用意されていて、NFTを持っていないが、Nouns DAOを世界に広めたいです、だからお金下さいって言って通過すればお金をもらえる仕組みがあります。NFTを持っているか持っていないか関係無いので、たくさん人が入ってくるじゃないですか。なので、とても良いコミュニティだなと思います。

沼崎:
良いコミュニティというか、DAOとして機能している感がとても強いですね。でも、DAOを目指すのは結構現実的な回答かなと思っていて、なんらかインセンティブもある、という設計のほうがきれいに回る気がしています。僕はコミュニティに関しては、4年も5年もこのクリプト界隈にいても1ミリも分かりません。瞬間的に盛り上がっていることはあるのですが、5年間続いたDiscordコミュニティを僕は今のところ見たことがないです。結局いつか沈んでしまう瞬間的な集まりしか見たことがないので、そもそも良いコミュニティが何なのか見たことがないから分からないです。本当はないモノをコミュニティと言っているだけだと僕は理解しています。だからいまだに夢のコミュニティを僕は追い求めている状況ですね。

でりおてんちょー:
それで言ったらイーサリアムも、コミュニティの力が強いですよね。

沼崎:
そうですね。さっきの話で言うと、DAOは回る説。お金がトレジャリーにあって配分しているDAOは回ると僕は理解しています。DAOではなくてコミュニティって言うのだったら良いコミュニティは何だろうって話ですね。

高橋:
それこそtofu NFTは、コミュニティはあったりするのですか?Looks Rareのようにマーケットプレイスでコミュニティ作っている事例も出てきているじゃないですか。

沼崎:
tofu NFTのコミュニティはないですね。DiscordやTelegramの人数が1万人いますかっていったらいるのですが、別にtofu NFTに依存しているコミュニティではないです。理由がうちGameFiが多いからだと思うのですが、そうすると向こうのゲームのユーザーたちが多くなるので、だから沢山集まっているだけで、tofu NFTに対してロイヤリティがあるユーザーではないと思っていますし、ある意味ビジネス的にそこの優先順位は低いなと思ってあまりやってないです。

岡山:
ユーザーの人が、多く使ってもらうための施策などって考えてないのでしょうか?

沼崎:
それは楽天と同じだと思っていて、良いものがたくさん並んでいれば、流動性が沢山あるので人は集まって来ると思っています。素晴らしいコミュニティがあったとしても、NFTを1個しか買えないところには誰も来ないので。買う人も売る人もたくさんいる方が勝つ、という基本原理だけだと僕は思っています。

高橋:
NFTプロジェクトにコミュニティが必要かみたいな話でいうと、必要っていう回答にせざるを得ないっていう状況だと思いますけど、もう少し気軽に考えていいと思います。例えば私たちのプロジェクトだとDiscordなども運用していないですがTwitterなどでゆるっと繋がれるコミュニティのようなものがあります。Discordをがっつり運用している人たちは、ガバナンスなど機能的なものをかなり求めているような印象だけれど、本当は別にそういうものが無くても回るコミュニティというか、自分にすごいお金が入るわけじゃないけど、自分が楽しかったからそれを共感してほしいとか、人に伝えたいとか、一緒に面白がってくれる人がいるだけでいいよね、といったふわっとしたコミュニティのほうが本質的には重要だと思います。

岡山:
最近見ているとすごく皆きちんとやろうとしているなって思っています。Discord作って、Telegram作って、YouTubeやって、といった感じではじめる人が多いな、と思っていて、僕実はそんなに頑張らなくてもいい、と思っている部分もあります。

高橋:
本当にそうで、コミュニティと言っても、うちのゲームでもそうですが、Discordの中にいる人だけがコミュニティじゃないと考えています。TwitterはTwitterでコミュニティがあるし、Twitterの中でもある人を軸にしたコミュニティがある、などといったボトムアップでポコポコ分散的に同じゲームなのに複数コミュニティが形成されている。そういったものもコミュニティだと思っています。

でりおてんちょー:
帰属意識というワードが、多分それだと思っています。宗教もそうじゃないですか。例えば寺があって、信仰している人はお参りにいくけど、その寺が政府によって壊されたとしたら、また別のところに寺を建てるといった形です。寺を建ててそれを寺だと思ってお祈りするわけですよ。これって帰属意識じゃないですか。それを分散的に、一個の寺がつぶれたとしても、またどんどん新しい寺が生まれてくるって言うのが本質的なところなのかなと思っていて、そう思ってもらうためのストーリー設計や、NFTプロジェクトのバックボーンやテーマを決める事が大事で、コミュニティは必要だけど、真面目に最初からやり過ぎたり気にしすぎたりする必要はないのかなと今話聞いていて思いました。

岡山:
今の風潮で行くと、Discordの人数やフォロワー何人いるの、といった数字に囚われている気がします。

沼崎:
まさにそうだと思っていて、新規の登録者数の目標を設定して、それを追うために毎週イベントとか開催するのだけど、それって何の意味あるのだろうと思います。

岡山:
やはりWeb2に引っ張られている部分は僕もあるし、そういう前提があるけど実はそうじゃない運営をされているグローバルのWeb3サービスも実はあって、今のでりおてんちょーさんのお参りのような概念がすごく近いです。別に毎日みんながお参りしてくれなくてもいいけれど、1ヶ月に1回来てくれる人たちがずっといるといったことをどうやって設計していくといいのかな、という感じです。そういった尺度で計れるとより洗練されていくし、皆がそこに向かっていくと、いろんなエコノミクスみたいな概念が出てくるから発展しそうだな、と思っています。

でりおてんちょー:
確かに。Nouns DAOとかも、今ソフビフィギュアを作っているのですが、CC0なので誰でも作っていいですよって事になっていて、確か来週も新宿のどこかで展示会みたいなのがありますが、そういう風に世界中でナウンズを信仰している人たちがさっき言った寺を自分で作ってお参りするみたいなことをやっているわけで、これ明確な指標って言われると難しいですけど、そういうのが出続けていっているとか、そういうのも一個指標になるのかなと。

岡山:
でりおてんちょーさんがNouns DAO Japanのコミュニティを運営していた時に、どこに力点を置いていましたか?

でりおてんちょー:
やはり、アクティブな人がどれだけいるかですよね。投機目的ではないアクティブな人。僕Nouns DAO Japanという、Nouns DAOの日本支部を運営していて、この間退任して次の方に引き継いだのですが、すごく不思議な体験をしました。僕は特に何もやっていないですが、もちろんSNS運用などはやってはいましたが、Discord自体の、例えば毎日僕が定期的に発言してアクティブ感を出すとか、そういうことは全くしていなかったです。全くしてなくて、チャンネル作る権利もユーザーに与えて、ポコポコ気づいたら勝手に生まれているような状況だったので、あまりデザイン設計はしなかったです。したとすればそういう熱意のある人にきちんと役割をあげたことぐらいですかね。自分で全部やるのではなくて、コントリビュートしてくれるユーザーを信頼して、任せていったのが良かったのかなと思いますけど。そういう人が集まっている、というのは良いコミュニティだということですもんね。

高橋:
あと一点補足すると、コアコミュニティの造成とそのコミュニティを生み出せる熱量の高いコンテンツを作り出せるか、に注力すべきだと思います。AzukiのLAのアジアンコミュニティのような。イメージ20人から50人ぐらいの結構強いコミュニティがあって、そこから大きいコミュニティが勝手に作られてくる。分散的なものを生み出すためには強烈な熱量の高いロイヤルユーザー、その熱量の高いファンを生み出すような良いコンテンツを作るのがとても大事だと思います。それこそNFTで言えば、ニューヨークでイベントすれば世界中から集まって来るとか、それってすごいことですよね。それもだから、NFTの中でよく言われているのが、そこまでの熱量を生めるコンテンツがそこにあるか、というのはとても重要なので、コアコミュニティと、それだけのコミュニティを生み出せる熱量の高いコンテンツを産めるかっていうのはとても大事で、むしろコミュニティマネジメントをうまくやろうみたいな話よりも、その熱量の高いコンテンツはどうやって作れるのみたいなところのほうが大事なのかなと思います。

面白いNFTプロジェクト

岡山:
最近注目されている面白いなと思っているNFTプロジェクトがあればお聞きしたいです。(会場からの質問)

沼崎:
レンズプロトコル。次のテーマはソーシャルです。以上。興味があったら自分で調べて下さい!

岡山:
僕が言うと、NFTプロジェクトでいくと、10KTFです。Beepleのチーム?が確かやっていて、結構エンタメの強いメンバーでやっています。今はwagimさんのストーリーが少しずつ出てるみたいな状態なんですが、これから盛り上がるのが楽しみだなと思って見ています。また、ブルーチップ系IPとはコラボ結構しててbizdev強いなーと思っています。

でりおてんちょー:
NFTだと、Lootを作ったDomさんが最近出したRoseですかね。フルオンチェーンって結構容量限られているので、ピクセルアートとかしか載せられないんですが、3Dのアートをオンチェーンで実現している、というのが面白かったので興味ある人はイーサリアムnaviに記事をあげているので読んでください。

NFTマーケットプレイスの選択制ロイヤリティについて

岡山:
マーケットプレイスによって選択制ロイヤリティが導入されていますが、ロイヤリティの在り方はどういった方向に行くと思いますか?(会場からの質問)

沼崎:
1on1のいわゆるアーティストが作るアート系のNFTと、その他のNFTっていうのはロイヤリティが別になっていくと思っています。基本NFTって1on1のアートのイメージが強すぎて、そこでロイヤリティとかいう概念が生まれたと思うのですが、本質的に1万個のPFPはトークン、草コインと一緒なので流動性が命だと思っていて、流動性が命なNFTにとって、ロイヤリティは足枷なので基本的には廃止されていく方向か、もしくは0.5%以下になっていくのが基本的な流れだと僕は思っています。

でりおてんちょー:
最近ロイヤリティを無くそうという動きになっているから、独自のマーケットプレイスを自分たちで構築する動きが出てきていますよね。Openseaは統一されているから、どのNFTを見ても同じ表示しかされないので、Webサイトで自分でマーケットプレイスを作ったら、そこでロイヤリティとれるといったやり方もあるのかなと思います。

岡山:
はい、ということでいったんこんな感じで大丈夫でしょうか。いったんこのセッションの時間は終わりにさせて頂ければと思っております。ありがとうございました。

※セッション内容は読みやすさのため加筆、編集しています。

次回開催『急成長中のスタートアップ起業家に聞く〜PMF・調達の軌跡〜』

次回のイベントは2022年11月22日(火)に『急成長中のスタートアップ起業家に聞く〜PMF・調達の軌跡〜』を開催予定です。イベントでは以下のような内容に触れていきます。
・VCや投資家へのアプローチの仕方とタイミングは?
・バリュエーションはどうしたのか?
・PMF達成の中で最も苦労したポイントは?
・いつPMF達成を実感したか?等

当日はオンラインとオフライン(福岡会場)のハイブリッド開催になっていますので、ぜひ下記の申込みフォームより是非ご応募ください。
https://forms.gle/ZnhYbejg7w4bo3876

登壇者
・HAKOBUNE 栗島 祐介氏
早稲田大学商学部卒。三菱UFJ投信を経て、2014年よりVilingベンチャーパートーナーズCEOとして教育領域特化のシード投資を行うと同時にレガシー領域の起業家コミュニティを創設し日本最大級のスタートアップコミュニティにまで育成。その後、2016年11月に起業家コミュニティをMBOし、プロトスター株式会社を設立。起業家・投資家の情報検索サービスStartupListなど多数の事業の立ち上げを経験。 教育系VC時代の主な投資先はサイトビジット(freeeへEXIT)・アルクテラス(コクヨへEXIT)・スピークバディなど。過去、起業家ハウスよりGITAI・Progate・Taskey・STUDIO・PULITなど多数のスタートアップ輩出も行う。

・CoeFont株式会社代表取締役 早川 尚吾氏
2001年東京生まれ。幼少期に、イギリスで育つ。高校にて情報科学、特に、機械学習をスタンフォード大学の講義等で学ぶと同時に、個人事業主として働き始める。アースホールディングスと提携し、「AI Stylist」を企画・開発。19年、「アプリ甲子園」にて、第3位に入賞。20年、株式会社CoeFont(旧Yellston)、創業。現在は東京工業大学情報工学系に在学中。孫正義育英財団。

・ROXX株式会社代表取締役 中嶋 汰朗氏
1992年生まれ。2013年11月、青山学院大学在学中に株式会社ROXXを設立し、代表取締役に就任。2018年5月、人材紹介会社の収益化に特化した経営支援プラットフォーム『agent bank』をリリース。2019年10月、月額定額制のリファレンスチェックサービス『back check』をリリース。Forbes 30 Under 30 Asia 2021 ENTERPRISE TECHNOLOGY部門選出。ソフトバンクアカデミア外部生。

・株式会社ラブグラフ CEO 駒下純兵
1993年生まれ。株式会社ラブグラフ CEO。「幸せな瞬間を、もっと世界に。」をビジョンに掲げ、恋人・夫婦・家族・友人同士の自然な表情や瞬間を撮影し「想い出」をカタチにする出張撮影サービス「Lovegraph(ラブグラフ)」を運営。2022年に株式会社ミクシィへグループイン。

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