大分大学発ベンチャー!「竹」から高純度のセルロースナノファイバーを抽出できる技術を持つおおいたCELEENA。化粧品分野への挑戦
2015年、国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が定められて以降、日本でもサステナブルの意識は高まり、浸透しつつあります。SDGsの領域は多岐にわたりますが、海洋プラスチックのごみ問題をはじめとした各地で起こる環境課題への取り組みは、昨今よく話題にのぼるようになり、さまざまな次世代の素材が研究・開発されています。その中でも、プラスチックの代替素材として、植物由来の「セルロースナノファイバー(CNF)」が近年次世代のバイオ素材として注目され始めました。
セルロースナノファイバーとは?
セルロースナノファイバーは、セルロースを主成分とする植物繊維を、ナノ(1ナノは10億分の1)メートルサイズまでほぐして微細化した素材です。環境にやさしい植物由来の素材ながら、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持つとの報告があり、その他、熱で膨張しにくい、吸水性が高いなど、さまざまな特徴があります。セルロースナノファイバーの主な原料は木材とされてきましたが、セルロースを含んでいる植物であれば様々な素材からでも作ることができます。そのため、再生型資源として気軽に身近なものから手にいれることも可能です。セルロースナノファイバーには、主に軽量で強度が高いという特徴を生かして、炭素繊維などに代わる樹脂の高性能補強材といった用途が期待されています。機能の多様さを生かした自動車タイヤ、ボールペン、シャンプー、化粧品といった衛生用品や日用品への利用、天然素材であることを生かした食品分野での応用がすでに進んでいます。
おおいたCELEENAの事業紹介
おおいたCELEENAは国立研究開発法人科学技術振興機構の大学発新産業創出事業(SCORE及びSTART)の支援を経て設立された大分大学発ベンチャーです。安全・簡単・低環境負荷の独自のプロセスにより竹からセルロースを抽出し、それをナノ化する技術を用いて、竹由来のセルロースナノファイバー’CELEENA’を製造しています。
FVCでは、大分県の豊和銀行と運営している地方創生ファンド「ほうわ創業・事業承継支援ファンド」より、2023年に投資し、支援しています。
荒廃竹林問題と過疎化、そして脱プラスチックに向け取り組む
竹は、古来日用品や食品などとして利用されていましたが、化成品、特にプラスチック製品による代替や輸入材の増加などの理由で、国内需要は減退していき、2000年代に入ると資材としてほとんど利用されなくなっています。また過疎化などにより竹を管理する人も少なくなってしまった結果、各地で荒廃竹林問題を引き起こしています。
竹が伸長すると、高い位置で葉を広げます。竹が密になると土表まで日光があたりにくくなり、下草が育ちにくくなって土壌状況が悪くなり、虫や鳥が減って食物連鎖のより上位の動物のえさが減ると言われています。そのため、竹害を抑える技術が求められています。
「竹害と言われるSDGsの11や15のテーマに関係する問題を解決していくには、竹を切って活用することが必要。」
大分大学理工学部教授であり、おおいたCELEENAの取締役でもある衣本氏は竹の特長から、今後の竹の用途は、燃料ではなく素材であると発想し、2012年から竹を素材化する研究に取り組み、竹からセルロースを精製、ナノメートルサイズまで微細化してセルロースナノファイバーを製造する「大分大学プロセス」を開発しました。
大分大学プロセスには、社会実装の際の障壁となりうる周辺環境への配慮や専門知識、経験がなくても誰でも携われるよう安全かつシンプルなプロセスである点などを考慮しており、この技術が実用化や地方活性化につながるよう考えられたものとなっています。またセルロース以外の有効成分も取得でき、竹を余すことなく使用できるため、竹害問題の解決に大きな期待の持てる技術となっています。この大分大学プロセスを使って抽出されたセルロースナノファイバーは「セルロース純度が高い」などの特長を持ちます。
化粧品に挑戦する理由
セルロースナノファイバーは、その特性から、化粧品分野での開発も進んでいます。おおいたCELEENAは、その独自のプロセスで竹から抽出できる純度の高いセルロースナノファイバーの特性と、さらに地域に貢献したいという想いから、大分県豊後大野市の竹と大分県竹田市で湧き出る温泉水とを原料にした化粧品の開発を試みました。
大分県の豊かな自然からできた温泉水の美容液。その効果は、優れた保湿性を持つことも証明されています。
化粧品という毎日使用するもので、セルロースナノファイバーの存在を身近に知ってもらうこと、おおいたCELEENAの取組みを多くの人へ届けていきたいという想いから、化粧品への挑戦を行っていきます。
現在商品実用化に向けて、クラウドファンディングを行っています!
現在、おおいたCELEENAが開発した美容液「binacel」は、大分県で新しいことに挑戦する人たちを応援するsandwich内でクラウドファンディングを行っています!(2023年10月31日終了予定)
竹はエシカルな素材として今、世界的にも注目されています。自然にやさしく、肌にも優しい、使用することで環境問題の解決にも役立つ化粧品となっています。「竹」を使って社会課題の解決に取り組む大分大学発のベンチャー、おおいたCELEENAを、ぜひ応援していただけると嬉しいです!
〜投資担当者コメント〜
おおいたCELLENAとは、大分県に本店を構える豊和銀行との地方創生ファンド「ほうわ創業・事業承継支援ファンド」でご縁を頂いています。同社事業は、地元大分大学で生まれた技術を活用し、大分県内で実際に起きている竹害問題の解決と地域振興を同時に叶える大変魅力ある地方創生事業であると評価しています。
この竹害問題は大分県に留まらない社会問題でもあるため、先ずは大分県内で実績を構築し、今後全国展開を進めていく計画です。まだまだ会社は設立期で、業容の拡大には色々乗り越えなければならない壁があると思いますが、ファンド関係者一同精一杯応援してまいります!
この掲載をご欄頂いている皆様におかれましても、たくさんいいねを押して頂けると、投資先企業の励みにもなりますので、どうか応援いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします!