夢日記
ある冬の日、A男、B子、C子、私で温泉旅行に訪れた。
初日は4人で観光や温泉を楽しみ、A男とB子は恋人同士なので2日目は2人とは一旦別行動、夕食までC子と2人行動になる。
最後に4人で夕食を取った後そのまま高速バスで帰る予定だ。
しかし、2人行動になり少しした頃、C子と些細なことで喧嘩になり気まずい雰囲気。なんとか空気を変えようとしても空回りで夕食にも行かず、気付けば帰りのバスを逃してしまっていた。
A男とB子は元々私たちより1日長く滞在する予定だったので、厚かましくも2人のホテルにお邪魔することに。
なるべく2人の邪魔にならないように、私とC子は別々に夜の街へ。
(ここで何故かB子視点へ)
A男とテレビを観ていたがトイレに行きたくなり、部屋を出る。
すると外から何者かの叫び声(唸り声のような)が聞こえたので様子を見に行く事に。
声のした方に歩みを進め、角を曲がった次の瞬間、視界が真っ暗になり眉間辺りに激痛が走る。
あれ、今見えてるのって、脳みそ...
一瞬の出来事に相手の顔は確認出来なかったが、今、誰かが、私の鼻の穴に指を突っ込んでいる。それも、眼球にまで指が届くほど深く。
B子の足は、宙に浮いていた。
意識を失いそうになったその時、B子は解放された。しばらく目の当たりを抑え、やっとの思いで目を開けるとそこにいたのは涙目でこっちを見つめる小さな男の子。
さっきの叫び声はこの子が出したものだったのだろう、こんなに小さい子まであんな痛い目にあって、可哀想に。
周りを見渡してももう犯人の姿はなかった。
聞けば男の子はここの近所に住んでいて、今は親が留守にしているそう。
そのまま帰すのが心配になったB子は男の子を連れ部屋に戻ることに。
部屋に戻りA男に先程の出来事を話し、男の子を紹介してからC子達に部屋に戻るよう連絡を取った。
(ここから再び私視点に)
急いで部屋に戻るとA男とB子、C子と小学生くらいの男の子がいた。
もう何度も説明して疲れたのであろうB子から、早口で何があったか簡単に教えてもらった。
今から外に出るのは危険だと考えた私たちは、朝まで部屋で過ごし始発で帰ることに。
男の子も部屋に泊めることにした。
みんな寝ようとするも結局寝付けず、自然とさっきの恐ろしい事件の事には触れないようにしながら、5人で朝まで談笑した。
早朝、まだスマホを持っていないという男の子にそれぞれの電話番号、メールアドレスを書いた紙を渡し、いつかスマホを買ったら連絡すると約束をし、家まで送り届けた。
その足で私たちは高速バスに乗り、新宿まで帰り4人は解散した。
それから4人は、事件のことを思い出さない為か、少し気まずくなり数年間集まる事はなかった。
ある日、知らないアドレスからメールが届いた。
「中学生になってスマホを買ってもらいました。◯◯(男の子の名前)です。良かったらまたみんなで遊びに来ませんか?◯月◯日、◯◯旅館で待っています」
小学生だった男の子が、もう中学生になったのか。(芸人のもう中学生になった訳ではない)
一気に当時の記憶が蘇る。
メールを読み終わり数分が経った時、B子から着信が入る。B子は興奮気味だった。あれからA男とは別れてしまったがB子にはまだ未練があり、A男にまた会えるチャンスだと言う。
少ししてからA男から連絡があり、A男とC子にもメールが届いている事を確認し、私たちは◯◯旅館に男の子に会いに行くことに決めた。
C子とは、あの時喧嘩してから仲直りせずにここまで来てしまったので、もしかしたらまた仲良くなれるかもしれないという期待も背負い、私は現地へ向かった。
高速道路が渋滞し、着くのが思いの外遅くなってしまったが無事に宿に着き、受付で男の子の名前を伝えると「もう皆さまお揃いですよ」とのこと。ドキドキしながらも急いで部屋に向かう。
部屋に入りまず目に入ったのはC子だった。
私に謝る為にずっと玄関で待っていたと言う。
前に会った時には胸あたりまであった髪の毛が短く切られている所の他は当時から何も変わらないC子。
私たちは抱き合って和解をした。
親友だったC子と仲直りが出来ただけで、ここに来た価値があると思えた。
C子と奥に進むとA男とB子の姿が見えた。
2人の距離感は昔とは若干違い、本当に別れてしまったのだと実感し少し寂しくなりつつも、変わらぬ2人の姿にホッとした。
同時に疑問も生まれた。
いないのだ。男の子が。
下では確かに全員揃っていると言われたはず。
私はその疑問を3人にぶつけた。
すると3人はニヤニヤしながら部屋の奥を指差す。
指の先に目をやると、奥にもう一部屋ある事に気がつく。
「みんなが揃ったら奥の部屋に来てください」
テーブルに置き手紙があった。
4人黙って頷き合い、そっと奥の扉の方に進んだ。
キィーっという音と共に扉が開き、中に光が差し込む。
そこにはダブルサイズのベッドが一つ、そこにあの時に会った男の子が座っていた。
みんなの顔に笑顔が溢れる。
しかし私はひとつ疑問を抱いた。
小学生から中学生くらいの子どもって、大人とは違ってもっと目に見えて成長するものじゃないのか?
そう、あれからもう4年も経っているのに、男の子は全く成長していなかったのだ。
考えているうちに男の子が立ち上がり、こちらに近づいてくる。
少し不気味に思った。
その瞬間、激痛と共に、目の前が真っ暗になった───────