大橋トリオ 『そんなことがすてきです』散歩中に聴きたい。何気ない風を、とても愛おしく感じられる曲。
大橋トリオさんとの出会いは、10年くらい前。BingBang、Winterlandという2曲だった。どちらも冬っぽい空気感が感じられ、その季節感のままよく聴きながら外を歩いた。
どちらも、私にしては珍しく、世界観や各楽器の融合に惹きつけられ、聴き始めた。私自身ピアノをやっていたことも影響していると考えるが、どうもピアノが主役的音楽に弱い。右手でも左手でも、ピアノの音で4ビート刻まれると、堪らなく心が騒ぐ。
私は文章を書くので、歌を聴くときも、歌詞先行で曲選びをすることが多かったりする。だけど大橋さんの音楽の導入は、間違いなく、世界観だった。音の使い方だった。
元々筆者はとっても好きなバンド・音楽家がいるというわけではなく、好きな曲は好き!という感覚が強いので、大橋さんの曲を網羅しているわけではないことを、承知頂きたい。
だけど今回たまたま散歩中に聴いた、大橋さんの『そんなことがすてきです。』、とにかく歌詞がよい。いや、別に今まで歌詞がどうだったという話ではなく、とにかく歌詞もメロディーもよい、最高の1曲だった。
歌詞↓↓記しています。※トランスリタレーションより引用です。
街に向かって歩き出す 人達のむれ
桟橋の鳥が僕を見てる
君を待っている時にふと考えてみたんだ
幸せってなんだろう
特別じゃないものだって
ああ僕にとってはとても大事さ
当たり前なんてないのです。
物にあふれたこの時代《とき》に作りだすことは
とても難しい宿題さ
誰かのマネはつまらないから勇気を出してゆこう
そうさぼくは僕だけだから
今を生きる風が吹いてきて音に変わりだす
そんな気がした
かざらないものがキレイです。
たくさん話をしなくても
目を見ればほら
分かるのさ色んな事が
ただの道草になぐさめられる
ことだってあるんだ
そんなことがすてきです。
今日の終わりを皆で
ただ笑い合ってる
そんな些細なことが
僕にとっての幸せ。
窓を開けて
風を吸い込む
甘い香りさ
そしてまた今日がはじまる
特に好きな歌詞がここ。
♪『今を生きる風が吹いてきて音に変わりだす
そんな気がした
かざらないものがキレイです。』
今を生きる風…すごい表現だと思っています。
私は木々の葉が揺れる場面を見たとき、こういう感覚を覚える。
もし風が吹かなかったら、その葉は音も出さぬまま自身が奏でられる音も知らぬままだった、などと考えると、非常に感慨深い。そして私は、葉っぱがざわざわと歌う音が大好きなのです。だから、今を生きる風に感謝、などと思ったりしたのでした。
♪『ただの道草になぐさめられる
ことだってあるんだ
そんなことがすてきです。』
この部分も素敵の一言に尽きる。私はよく散歩をしますが、本当に歩いてちょっと違う場所に足を踏み入れ、ただ綺麗な花を見たり、猫に話しかけたり、道と道との繋がりに気付いたり……誰かにとってはそんなことでも、私に取っては切り取った瞬間だから、またしても歌詞に感情移入するのでした。
最後に、この曲。
ラスト付近、誰かと笑い合って今日を終えるのが僕の幸せ、と言う旨の歌詞で締めくくりますが、
よい歌詞なんだけど、もし笑い合える人が隣にいなかったら、寂しいですよね、哀しいですよね。だけど私、大橋さんは、そういう意味合いでこの曲を作ったのではないと、思ったりしていて。
この曲全体を通して、私は一つの小説を読んでいるように感じた。
誰かの一つの人生を、とても尊いものとして触って描き、「あなたも今日、何でもないこと(本当は何でもなくなんかない)で、笑って、眠りについてね」と語りかけてくれているような音楽と感じました。少なくとも私は。
まだまだ語り尽くせないけど、冬の晴れた空の下、この曲や、BingBang、Winterland、あとカラタチの夢(きのう何食べた?主題歌)、聴いて歩くと、とっても幸せな気持ちになります。BingBang久しぶりに聴いたら、日本語少し入ってるんですね。それもよかったなあ……! おわり。
※参考までに…