「止める」勇気

昨日の第167回天皇賞(春)で感じたこと。

レースとしては3年ぶりに京都競馬場で行われた天皇賞(春)。
結果は単勝1.7倍の1番人気を背負ったタイトルホルダーが2周目の4コーナー付近で競走を中止し、他にアフリカンゴールドが心房細動で競走中止、トーセンカンビーナも完走するも左前浅屈腱不全断裂となるという過酷なレースとなりました。

特にタイトルホルダーについては、カンテレ(当然フジテレビ)の中継の中で、ゲスト解説の安藤勝己さんとスタートレポートの細江純子さんが異変らしき事象は察知していたようです。
ということは鞍上の横山和生騎手も違和感は感じていたことでしょう。
恐らく平場-ざっくり言うと重賞競走以外-であればおそらく発走委員に申し出て検査をしてもらったうえで競走除外もっと早くに分かっていれば出走取消にさせていたことでしょう。
ただ連覇のかかる天皇賞(春)という舞台がそれを躊躇した最大の要素かも知れません。

ただでさえ、京都のコースは3コーナー付近に坂があり、JRAの10場で平場で唯一下り坂がしっかりあるコースを2周することもあり、脚にも負担があるはずです。
結果として2周目の4コーナー手前-視る限り下り坂を走りきったところ-で徐々に失速して、最終的に4コーナー付近で競走を中止しました。
しかも付けていたゼッケンなどを散らかすように取っていたあたり相当な異変があったのでしょう。
これはYouTubeのカンテレ競馬のタイトルホルダーだけをスコープした画で確認はしていました。
(ちなみにテレビは、BSスーパー競馬-JRA公式の映像-でしたが)

結果として出走17頭中3頭が何らかの疾病や負傷をしている辺り淀のコースは思ったより過酷だったのだなと思います。

というわけで横山和生騎手がなぜレース前に止めなかったのか?という疑問がネト上で湧いているわけです。
競走除外と競走中止では買った分が返還されるかされないかでも変わってくるわけですし。
(除外だと返還されるが、中止だと戻ってこない)
恐らく色々な思いが横山和生騎手には浮かんだのだろうと思います。
発走直前の馬乗りの段階で検査となると発走時刻が遅れますし、こういう時に限ってほぼ同時刻で香港で行われていたレースが馬券発売になっていたという事もありました。
16時までしか枠がない地上波とBSフジ、香港も流さなければいけなかったグリーンチャンネルも、もし検査となっていれば気を揉んでいたでしょうし。

結果論として一番良かったとすればタイトルホルダーを検査して競走除外にしておくことだったのでしょうけど。

タイトルホルダーも競走中止後馬運車には自力で乗り込めましたし、結果的には「右前肢跛行-引きずって歩く感じ-」という診断にはなりましたし
最悪の結果にはならなくて良かったと思います。
何せ天皇賞というと1998年の秋でとんでもないことが府中でありましたから。

ただ、違和感があったはずなのになぜ横山和生と栗田調教師は止めさせなかったのか?と執拗に言ってくる輩はいるでしょうね。
特に「2枠」と「3番」のどれかの勝馬投票券を握っていたヒト達からすれば。
これは騎手本人と陣営にしかわかり得ないことですし。

跛行のダメージ具合にもよりますが、こうなると春は全休でしょうし、凱旋門賞も必然的に回避をして、良くて秋のジャパンカップか有馬記念で引退して種牡馬になってほしい・・・とファンは願っているでしょうね。

個人的には「下り坂」が気になりました。
JRAの10場の中で京都しかない特徴でも有り、今回の改修でも外回りの4コーナーを改良した以外にコース自体の形状は変えていません。
下り坂を2周するレースは多くて3つしかないわけで、そういう意味では過酷なレースでもあるわけですし。

あまりにもショッキングだったようで、京都競馬場にあるライスシャワーの慰霊碑の前にはファンの列が切れなかったそうです。
私もライスシャワーの件は薄くではありますが記憶があります。
阪神淡路大震災の影響で京都競馬場での代替開催になった宝塚記念の。

それにつけても、競馬に絶対は無いんだなと改めて思い知らされる第167回天皇賞(春)でした。

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