自覚が足らなかったと言ってしまえばそれまでの話。

6名のJRAの騎手が開催日にスマートフォンを使用していたことが発覚し、来週から4週間(JRA開催日ベースで10日間)の騎乗停止の処分が下りました。
内訳は男性騎手が1名、女性騎手が5名でいずれも若手騎手でした。

事の発端は4月の福島開催で、レースの間に4名の騎手がジョッキールームでスマートフォンを使用している様子をJRA職員が発見して裁決委員に報告しました。
報告を受けた裁決委員がその日の全レース終了後に当該のジョッキーに事情聴取をしたところ使用していたことを認め、さらに京都開催でも2名の騎手がスマートフォンで通話をしていたことを認めたため、当該6名の騎手に対して30日間の騎乗停止の裁定を出しました。

期間は5月13日から6月11日までのJRA開催日ベースでは10日間となりましたが、これは地方競馬にも適用されるため、実際のところは30日間どこにも乗れない形になります。

このケースでは過去にクリストフ・ルメール騎手がJRA所属になった早々に今回と同様なことをやっています。
その際にも30日間の騎乗停止という同じ裁定が下りましたが、今回もそれが適用されました。
ただ、外部との接触が無かったことが認められたため、期間は30日とし、即時の騎乗停止にはならず、通常の騎乗停止のルールに則る形となりましたが。

それにつけても、これはいただけない事象でしょう。
公平公正の視点から見ても。
まずは騎手達の自覚が足りてなかったというのが一番のところではあります。
スマートフォン等の通信機器を開催中は使うなと言うことは一番先に教わって、いつも口酸っぱく言われるはずですが、それができなかったのでしょう。
理由も「身内なら大丈夫という」自分勝手な理由でもありますし。

ただ、JRAとしても管理が甘かったと言えばそれまでの話です。
特に6名の内5名は女性騎手で、さらに女性専用のジョッキールームに入っていたとなると、男性職員は入りづらくなるのがあるとはいえ。
ちなみに他の公営競技と比べるとJRAは甘いようなので、その辺の運用についても再発防止の観点を含めて大幅に見直されることでしょう。
一応日本騎手クラブとも協議した上で、より厳格な運用に変わることでしょう。
恐らく通信機器と貴重品はJRAの職員が調整ルームに入る前に強制的に預かって日曜の最終レースが確定し拘束が解除されるまでその管理下に置いておくなどして、かつ開催日にジョッキールームへ入室する前に金属探知機を当てるなども行ったうえで。
(土→日で開催場が異なる騎手については検討の余地はあるでしょうが)
あと念には念を入れて調整ルームとジョッキールームにスマートフォン等の通信を無力化する装置を付けるしかないかも知れませんし。
(よくコンサートホールで設置されている妨害電波を出すようなものを)

ただ6名の騎手をみていると皆若手でスマホネイティブな世代でもあります。
スマートフォン無しでは生きていけない世代でもあります。
更に言えば、(若手4名は)そこそこ勝っているので、悪い言い方をすれば調子に乗っているところもあったのでしょうし、(新人2名は)先輩がやっているから大丈夫という思いがあったのでしょう。
言うなれば”馴れ合い”と”甘え”が今回の事象に繋がったような気がしてなりません。

この6名の騎手が騎乗停止中にどう過ごすかは知りませんが、少なくとも馬主や調教師の期待を裏切ったことだけは間違いないでしょう。
もちろんファンにも。
それまで得ていた信頼がこの件で一気に蒸発してしまったと言っても差し支えがないのですし。
まずは馬主さんや調教師さんにお詫び行脚をするのが先でしょうし、JRAとしてもこの6名に改めて講習を行う必要はあるとは感じています。
最終的には騎手全員に改めて行う形にはなるでしょうが。

ちなみに6名の内5名が女性騎手で、中には先の福島開催でのリーディングを取った騎手も居ますし、さらにデビューから飛ぶ鳥を落とす勢いの騎手も含まれています。
こういうことがあっただけに今後は要らぬバイアスがかかることは覚悟をして欲しいとは思います。
今週末の開催は乗れるとは言え、馬主さんによっては変更をかけている方も居るでしょうし、おそらく乗れたとしても競馬場でヤジられることを覚悟はしてほしいです。

なお、今回の対象者に藤田菜七子騎手はこの中に含まれていないのです。
きちんとそこは守っていたことにもなるわけです。
やはり他の5名と比べて苦労を人一倍してきた分、やって良いことと悪いこともわかっている部分があったのでしょう。
ただ注意ができればなお良かったのかも知れませんが。

JRAも性善説では無く、性悪説でオペレーションを考えなければいけない時期が来たのかも知れません。
とりあえずは、ジョッキールームの監視要員として開催各場に女性職員を張り付ける形にする必要はあるかも知れませんし、騎手の通信機器の管理をより徹底する必要はあるかと思います。

中央競馬も春のG1シーズンが真っ盛りの中でのこの事案は本当に残念でなりません。

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