冬花

超年下男子に恋した記録

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最近の記事

超年下男子に恋をする53(最後に心からの感謝を込めて)

 彼のことが本当に好きだった。記事を書いてみて改めて思った。  6月、出会った頃は「なんだこの子」と思った。イケメンはイケメンだけどドンくさいしモテないのがよくわかった。バイトも失敗ばかりで、みんなに変な子と言われて、でもそれがおもしろくて私が面倒をみるとなついて、「尊敬してます、お母さんの次に!」なんて言われたんだった。  7月にはもう私の推しで、小学生みたいな彼が息子みたいで、息子ってこんなに可愛いのかなと溺愛した。彼は自分が大事に特別にされることを喜んでいたし、「山

    • 超年下男子に恋をする52(彼に渡した青く透明な想いの欠片)

       バイトを辞めることが決まって、私は彼にLINEした。 『山田さんもやっと辞めるんですね』 という返事。  少しは心配してくれてたんだろうか。 「君がいなくなってから、本当に本当につらかった。どれだけ今まで助けられてたかよくわかったよ。ありがとう」  そう伝えた。 『全然ですよ』  もう言葉が短すぎて、今どんな表情なのかもわからない。  もともとLINEは苦手な彼だから、会えなくなったらただただ距離が遠くなるのを感じている。  元旦には年越ししてからずっとお

      • 超年下男子に恋をする51(嫉妬と疲弊と退職と)

         その後、カリン主催のお別れ会メンバーで、また遊びに行くという話になり、リョウにそのLINEグループに誘われた。  私をはずしたカリンがいるグループに入りたくないというそれだけで、私は加わらなかった。  それでもリョウはしつこく私を誘った。  でも私は入らなかった。  みんなでスポッチャに行こうという企画。ミワにもしつこく誘われたけど、私は頑として断った。  彼に誘われてたらまだわからない。でもそんなことは起こらない。  結局彼とは二人でお別れ会をしてから一度も会

        • 超年下男子に恋をする㊿(より多く好きになったほうが負け)

           翌日は、マウント女子高生カリン企画の彼のお別れ会。  本当は焼肉が食べたかったと彼が私に言っていたので、ミワに頼んで焼肉屋に変更してもらった。  私はその日バイト。  昨日の今日だし内心おもしろくはない。  すると事情を知った私の舎弟のような女子大生が 「山田さん、今日の飲みってこれっすか?」 とカリンのインスタを見せてきた。  楽しそうな彼とカラオケで隣に座るカリン。  それを見ると昨日私と二人の時より楽しそうに見えて腹が立った。  むしゃくしゃするので、バイ

        • 超年下男子に恋をする53(最後に心からの感謝を込めて)

        • 超年下男子に恋をする52(彼に渡した青く透明な想いの欠片)

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        • 超年下男子に恋をする㊿(より多く好きになったほうが負け)

          超年下男子に恋をする㊾(二人だけのお別れ会)

           その夜は冷え込んで風も強かった。  私は悩みに悩んだ末に彼を車で迎えに行った。  当然私は飲めないけれど、これは戒め。過去二回酔って絡んだことを考えれば当然彼も警戒しているはず。  二度あることは三度ある。ましてや今回は二人きりだ。  彼の嫌がることはしないと私はずっと決めていて、この時も、なるべく彼の負担にならないようにとそれだけを考えて、繁華街まで出てくる負担や寒さを考えるとやはり送り迎えしてあげたほうが喜ぶんじゃないかと思った。  案の定彼は喜んで「いいんですか?

          超年下男子に恋をする㊾(二人だけのお別れ会)

          超年下男子に恋をする㊽(彼はやはり雛鳥で背を向けてもまだ鳴いている)

           彼が辞めてから、彼のお別れ会をやることを知った。  彼と一番仲が良かった私は誘われてはいない。  企画したのはマウント女子高生カリン。私はこれをミワから聞いた。  ミワは私が行かないなら行かないと言ったけど、彼のお別れ会がなくなるのは気の毒なので、行ってやってと頼んだ。  メンバーは男子は彼、リョウ、カイの三人。女子はミワとカリンの二人。ミワがいなければカリンは誰とも話せない。だからカリンは必死にミワに来るよう頼んだらしい。 「山田さんがシフトの日にやろうって自体、悪

          超年下男子に恋をする㊽(彼はやはり雛鳥で背を向けてもまだ鳴いている)

          超年下男子に恋をする㊼(そして彼はバイトを辞めた)

           三月になるともう彼が辞めるということは学生の間にも知れ渡っていた。  そしてミワから聞いたけど、マウント女子高生カリンが彼と最後に一緒に遊びたいと言っていると言う。 「遊べばー?」 と私が言うと 「え、一緒に遊びましょうよ」 とミワが私に気を遣って言う。 「いいよ、いいよ、若い子同士で遊べばいいじゃん」 (なんで私がカリンが彼に色目使う場にいなきゃないんだ) そう言ったけど、カリンがお別れ会をやりたいと私に相談してきたので、一応話は聞いておいた。  すると

          超年下男子に恋をする㊼(そして彼はバイトを辞めた)

          超年下男子に恋をする㊻(コロナでもなくノロでもない彼に会えないその理由)

            終わりが近づいてきた。  あと一か月しかもう彼の隣にはいられない。そう思った。  なのに……  ある日突然彼がバイトに来なくなった。  突然その日に休むなんて、まさかとんだ?   いや、もうあと一か月でやめることが決まっているのにそんなことはないだろう。病気?  私は心配になってすぐ彼に連絡をした。  やっと来た彼の返信は病院から。  病気になったのは彼ではなく、お母さんとお姉さんだという。  コロナ感染が疑われたので、彼まで一緒に検査で病院に行ったらしい。

          超年下男子に恋をする㊻(コロナでもなくノロでもない彼に会えないその理由)

          超年下男子に恋をする㊺(追えば逃げるし逃げても追わないはぐれメタル)

           童貞男子というものは恋愛に夢見がちなところがある。  実際裏での女子たちの会話を聞いていた彼は、 「僕、もう彼女なんていらない! 怖い!」 なんて言い出した。  そしてさらにはこの私。付き合っているわけではないけれど、一番身近な異性だったのは確か。そしてよくごはんに誘ったり映画に誘ったりするし、一緒にいたがるものだから、彼はめんんどくさがるようになっていた。  でも私は全然しつこくないし、彼に無理強いしたことなんてない。それでも彼は誘われて、予定を考えるだけでもめん

          超年下男子に恋をする㊺(追えば逃げるし逃げても追わないはぐれメタル)

          超年下男子に恋をする㊹(恋すれど恋すれど我が想い楽にならざり枯れた手を見る)

           彼の手がとても好きだった。  よくある手のひら比べ。  指の長さはそれほど変わらない。でも彼の手は幅が広くてその分大きく感じる。色白なので手も白く、肉厚というか、柔らかそうで、お餅みたいとよく言った。  酔って指先を絡めた恋人繋ぎ、指相撲、手のひら比べとマッサージ。  理由がなければ触れることもできなかった手。  逆に私は自分の手を見せるのが嫌だった。加齢は手と首に顕れる。  ミワとプリクラを撮った時も手慣れた加工で目や口をいじるミワに対し、私が修正箇所を指定したのは

          超年下男子に恋をする㊹(恋すれど恋すれど我が想い楽にならざり枯れた手を見る)

          超年下男子に恋をする㊸(女子高生にマウントとられたバレンタイン)

           バイト先にカリンという女子高生がいる。  あか抜けない感じの素朴な女の子だった。  私はカリンの指導もしていたが、簡単な仕事は彼に教えさせた。彼に「仕事を教える」ということをさせたかったから。人を育てることは自分の成長にもつながる。彼が教えるほどできているかの確認チェックにもなる。  何より私は彼が年下の女の子相手にお兄さん口調になるのを聞いているのが好きだった。私に対しては絶対にしない口調。だから聞いていたかった。  ところがこのカリンちゃんがなかなかの曲者で他人の

          超年下男子に恋をする㊸(女子高生にマウントとられたバレンタイン)

          超年下男子に恋をする㊷(本気の想いが募るほど彼は好きだと言わなくなった)

           リョウのうちでの鍋パーティー。  彼は一人暮らしのリョウの部屋を隅から隅まで眺めながら 「いいなぁ、一人暮らし」 と心底羨ましそうにつぶやいた。  あれだけ実家が最高と言っていたのに、ずいぶん変わったものだと思った。  リョウの部屋の狭いキッチンは並んで立つのも難しかったけど、彼に手伝わせながら鍋の準備をした。  案の定彼はほとんど何もできなくて、結局ほとんどリョウと私で作った。   この日は泊まりの予定はなく、私は車でお酒は飲めない。  ミワのバイト終わりまで3

          超年下男子に恋をする㊷(本気の想いが募るほど彼は好きだと言わなくなった)

          超年下男子に恋をする㊶(寒いだけの冬の花火は年増女の恋のよう)

           一人暮らしのリョウの家で鍋をすることになった。  メンバーはリョウと私と彼とバイト後にミワ。  リョウは大学の実習で夜まで家に帰らないということで、その日はバイトが休みの私と彼で先に買い出しに行くことになった。  夕方彼を迎えに行って、リョウの家の近くのイオンで買い物。ただそれだけのことなのに私はうれしかった。バイト以外で二人になるのは本当に久しぶり。  彼はこの頃、自動車学校に通っていて、バイトの帰りにも私に色々注意してくるようになった。 「あ、今、ウインカー出さ

          超年下男子に恋をする㊶(寒いだけの冬の花火は年増女の恋のよう)

          超年下男子に恋をする㊵(会えないのはお母さんが理由?)

           年末に『進撃の巨人』全巻(当時出ていたところまで)借りていた。  今回は前回の『鬼滅の刃』の時とちがって、返すのはいつでもいいと言われていた。だから、年をまたいでしまい、読む暇もなく、返さないで持っていた。  彼の物が私の部屋にある。  それだけでどこか繋がっている気がしていた。  アニメも並行して観ていたけれど、リアタイで観ていた初期が昔過ぎて、内容やキャラクターも忘れていたので彼によく聞いてみたりした。  LINEの返事は遅いし、絵文字もスタンプもなくなって、だん

          超年下男子に恋をする㊵(会えないのはお母さんが理由?)

          超年下男子に恋をする㊴(元旦のLINEで距離が近づいて)

           私は大みそかのバイトに出たけど、彼は当然のように休み。  年末年始は家族で過ごす。彼にとってはあたりまえのこと。  私はやはり彼のそういうところが好きで、強く惹かれる。  私は家庭的なものへのあこがれが強い。  サザエさんというファンタジーに私はとても憧れていた。  彼はお母さんの話のほかにも近くに住むおばあさんの話もする。おばあさんが冬道で転んで動けなくなったという話をしているときも、とても心配していた。 「山田さんも、冬道歩くとき気をつけてくださいね!」  そう

          超年下男子に恋をする㊴(元旦のLINEで距離が近づいて)

          超年下男子に恋をする㊳(クリスマスケーキを分け合って)

           クリスマス当日の夜も私たちは一緒にいた。  正確に言うと、クリスマスの日も彼はバイトで、私は車で迎えに行ったのだ。  その日は残業だったのか、彼はなかなか店から出てこなかった。  彼とその日ラストが一緒の古参のパートさんはいつも旦那さんが迎えに来る。そしてよく若い子たちを送ったりしている。私のように。だからもしかしたら彼も声をかけられてるかもしれない。  私が迎えに来ているのは秘密。  だから終電も間に合わなくなるような時間に送ってくれるという申し出を彼が断る理由もな

          超年下男子に恋をする㊳(クリスマスケーキを分け合って)