絵事常々 -試作の着彩 4枚目-
4種の和紙の試しの最後。
4枚目の着彩です。
いよいよ試作の最後。
他と同様に「岩黒9番」でまず下塗りです。
デザイン自体は一番最初に出来ましたが
ぜんぜん色のイメージが湧かず。
カラフルになれなさそうな人だな…と
ついつい後回しにしていました。
後回しにしたところで全然思い浮かばず。
ふむ、岩黒で作っていくかということで。
モノクロ万歳。ほとんど何も考えずに迷わず作っていける。
いえ、色から逃げちゃいけないんですけどね。
こうなったら岩黒だけでいっちゃうかなぁ、と
番手違いで更に密度を高めていくことに。
そこで登場、岩黒12番(シリーズB)。
12番あたりまでくると『粉』という感じ。
比べてみるとわかり良いです。
はて、なんの区切り線か。
画材説明フィールドの境界線です。
(岩絵具の番手違いについて喋りたくなった)
まず、9番の岩黒で描く・塗るとこんな感じです。
そんな9番も、塗って乾いた後に
もう一度重ねると少しずつマットになります。
綺麗に薄く均一に塗ろうと思うと難しい9番ですが
やはり岩絵具感が見て取りやすい。
それに対し、12番になるとこんな感じです。
墨とは勿論違うとはいえ
かけ離れているというほどの塗りにくさはありません。
逆に「そんなに埋める気はなかったのに…」という事態を招きがちですが
刷毛で広い面積を塗る際には、このくらい細かい番手が使い良いです。
あとは色味・質感。
粗い方が『鉱物!』という感じがよく出ます。
主張が激しい系。
細かいのは繊細な色が多く、暗い色味のものに関しては
少しヌルっとした感じの色合いになりやすいです。
意外と粘着質な繊細派。
画材説明フィールドここまで
さて(気が済んだ)
そんなお二方の岩黒でチクチク作っていきます。
これでフワッと色をかけたら
なんかもう出来上がりにならないかなぁ
と思ったものの
未完成感が拭えなさそうなので、やはり色を加えていきます。
どうしても黄土のイメージが付きまとう。
そんなわけで、水干絵具の濃口黄土さんからいきます。
おぉ、一気に色の世界に入ってしまった…
落ち着き、落ち着き…
と落ち着きを探して選択するのが
天然土絵具の聚楽黄土とローラン製の水干絵具、皮鉄。
浅い色が落ち着いたとなると今度は
赤味、赤味…
描きながら考えるスタイルです。
赤味で選択、エビスヤ購入の水干絵具F182藤鼠(Fは恐らく彩雲堂製)。
それと水干絵具180の小豆茶。
これらの合計5色が今回の使用絵具です。
この5色でまとめながら作っていきます。
筆は頼りにしている「喜屋」製のイタチ面相筆1。
コシがあるのでしっかり線が描け、なおかつ太目の軸が扱いやすい。
そしてこちらが完成品。
だいぶ抑え目な色合い、
3枚目の鳥の子の反動かもしれません。
岩黒である程度を作って、
薄い色でチクチクさしていく今回。
無になれて非常に良い時間でした。
今回の試作4種の感想ですが、
ものすごく描けない紙は無かった。
これに尽きますね。
ドーサの効かせ方だけは要検討がお二人いますが、
なにせ定着する以上、描けないことはないわけで。
どれも使えるなら、あとは紙の色と質感を作品に合わせて選ぶのみ。
うむ、小品制作が益々楽しくなりそうです。
さて、ようやく試作が終わったところで
GWですねぇ。
といっても途切れることなく休みをとりはしないのですが
今日からとりあえず3連休です。
明日は天気と気分次第で、久々に一人社寺検分にいこうかと目論み中。
ということで、今回も読んで頂きありがとうございます。
また次回の投稿で。