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なんて楽しい休日

 有給を取った。特に何かをする予定があったわけでもなく、私が休みたくなるだろうからと予めとっておいた有給だ。そういう有給を月に1,2日は入れるようにしている。そうするようになってから体調が安定してきたし、働きやすくなった気もする。たまたまいまの職場が休みを取りやすいからやれているだけなので、きっとここを辞めたら私は破滅してしまうんだろうな……と思う。

 そんな有難い有給をなにに使うか考えながら朝起きて、フルーツを食べたりしながらグーグルマップを眺めていた。

 海を見に行きたい、という自分の中で定期的に湧いてくる気持ちが今日も湧いてきたのだけど、私が住んでいる町から海のある所まで2時間はかかる。もっと都心の人工的な海ならもっと早く見に行けるのだけど、私は砂浜でぼんやりアイスでも食べながら海を近くで眺めたいだけなので、都内の海はあんまり魅力的ではない。

 東京の東側に行って当て所なくうろつきたい、という気持ちもあったのだけど、当て所なく歩くにしては東側は遠すぎる……という気持ちもある。
 ぼんやり、蔵前など行ってみたいな……という気持ちもあったけれど、踏み切る決定打もなく、やめた。

 そして結局向かったのは推しの聖地。雑誌に載っていたカフェ。推しの力は絶大。めんどくせ~とか言ってた私を簡単に動かしてしまえる。蔵前とか行くよりは断然近かった、というのもあるけれど。

 平日昼の電車の中はそれでも席が埋まるくらいには人が乗っていて、つり革を掴んでいることが多かった。でも朝の通勤電車ほど混んでいないからそれほど不快ではなかったし、向かう先が楽しみだから機嫌よく乗っていられた。

 久しぶりの快晴で思ったより暑くなり、着てきた上着を手に持った。駅からカフェまでダラダラ歩く。おしゃれなお店が点々とありながらも、派手ではなく静かな通りが続いた。急に大きな道路に出てきたな、と思って向こう側を見たら、急に目当ての店が見えてびっくりした。そこだけなんだか色が変わったみたいに見えた。

 雑誌で見た通り飛び切りおしゃれで、「うわ、ここに通っているのか……」なんて思いながら外観の写真を撮る。おしゃれで狭い店内で、おしゃれな店員さんに大汗をかきながら注文をして受け取ったのは、チョコのサンデーみたいなやつと、レモネード。
 たぶんコーヒーが売りのお店なのだけど、私はどうしてもコーヒーが飲めない。かなり牛乳を入れて甘く味付けをしてもらえれば大丈夫なんだけれど、コーヒーの味で勝負している店でそんな注文したら怒られそうで出来ない。きっとコーヒーが楽しめたら街を歩く楽しさが倍増するんだろうな、といろんな街のカフェを見ながら思う。でも無理なものは無理なので、レモネード。でも、このレモネードも美味しかった。サンデーも。

 ゆっくりたっぷり堪能して、店を出てから電車に乗り、途中にある街で服屋を覗いてみたりしながら帰った。

 今月はグッズの販売もあるかもしれないし、定期券の購入で大量のお金を払ったあとだから、贅沢をしちゃいけない月だっていうのに……と、帰り道になって思う。いつも贅沢したあとに、贅沢してはいけない理由を思い出す。だから万年金欠である。経済を回しているのに、何故私のところには帰って来ないんですか?

 明日も明後日も明々後日も休みだ。贅沢をするわけにはいかないけれど、家で出来る贅沢をしながらゆったり楽しめればいいかな、と思う。積読を楽しむとか、家にある茶葉を飲み比べてみるとか、いろんなお香を楽しんでみるとか。かなり楽しめそうだ。

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