シトシト
仕事を終えて外に出たら、おばあちゃんの家を思い出した。
風に乗って稲の香りがしてきて、しっとりと雨に濡れた香りと、線香の香りが漂っている。空気がほんのり冷たいのも含めて、おばあちゃんの家だった。
そういえば小学生の頃の夏はこんなに涼しい時間もあったかもしれない。盆踊りに向かう夜などは。
昨日の午後には鳥の鳴き声やら涼しい空気やらを感じて、秋の彼岸の墓を思い出した。聞こえてくる鳥の声が同じだったのだろうか。すごい解像度で墓を思い出すことが出来た。
匂いや空気や音を聞いて無性に思い出される郷愁は、秋だからなのか。物悲しい。雨が降って、低気圧で緩やかに気持ちが下降気味なせいかもしれない。
明日は晴れて、気温も30度近くまでいくらしい。やっぱり夏は素直に出て行ってはくれないのだろうか。まだ秋とは言えないだろうか。
こんなにノスタルジーを感じているのが馬鹿らしいくらいの短い秋の日。雨のシトシトとした降り方にも秋を感じていたのに。
芋栗南京を存分に楽しんで、この感傷的な気持ちをどうにか乗り切りたい。家の冷蔵庫には、蒸かしたさつまいもが待っている。
サムネイルは、たまに行く美味しいハンバーガー屋さん。美味しいものをたくさん食べたいね。