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中身のオタクが追い付かない

「このアニメ知ってそう」「こういうの(漫画)好きでしょ」「多分オタクだよね?」

見た目があまりに野暮ったいばかりに、こういうことを何度も言われたことがある。Tシャツ、パーカー、ジーパン、スニーカー、フレームの太い眼鏡とだるだるの身体が揃うと、そういう人に見えるらしい。化粧もしないし寝ぐせで頭はいつもぐしゃぐしゃなのもあるだろう。とにかく見た目がオタクに見えるらしい。

私も、全くオタクでないとは言えない。アニメも漫画もそれなりに好きだ。けれど自分の好きの範囲はとても狭くて、そして深くもない。途中で読むのを止めた本の方が多い。

胸を張って「ええそうですとも、私はオタクです!」と胸を張れるわけでもなければ、「いや全然知らないし!」と否定できるわけでもないのでとても中途半端だ。見た目は明らかに(一般の人の考える)オタクなのに、中身のオタクが追い付かない。

かといって、「じゃあちゃんと一般人らしくおしゃれにするか!」と思いきることも出来ない。色彩感覚もないしバランス感覚もない。テレビのファッションチェックのコーナーでのアドバイスを聞いていてもチンプンカンプン。

「せっとあっぷ、とは……?」。ズボンをパンツと言う文化にもまだ慣れない。パンツは下着だよ。

いや、そんなおしゃれワードのことはどうでも良いんですけど、とにかく自分に合う服装というのが分からない。私にコーディネーターをつけてくれ。

でもそんな人ついてもらったところで寝ぐせは直らないし化粧をする時間を朝に組み込んだりはしないんだろうなぁと思う。本当に自分の身なりを気にしていないのは良くない。そういう気持ちはあるんだけれどなかなか……。

みんな、どうやって大人の女になったんですか?って感じ。私、いつまで小学生みたいな格好してるんだ?今どきの小学生の方が断然おしゃれで私は泣きそうです。泣かないけど。

痩せればきっとどんな服でもおしゃれに着まわせるんだよなぁと思ってダイエットし始めましたがなかなか痩せないし(当たり前)、どうあがいても髪とか指の先だとかの手入れの行き届いていかなさからバレていく気がする。どうしたら効率よく大人の女になれるんだ。多分、こういう事を考えてるからダメなんだろうな。

そっち側は無理だな、と思ったので「じゃあ中身をめちゃくちゃオタクにしていけばいいじゃない!」と思ったこともあるのだけど、それも出来なかった。集中力とかそういうものが足りない。周りの人みたいにすごい考察したりとか出来るほどのめりこめない。悲しい。怪物と人間のハーフみたいな気持ちになる。ただの例えなのでそう深く受け止めないで欲しい。この、どちらにもなれなさを表しただけだ。

いま私が一番嵌っているのはお笑い芸人さんなのだけど、それだって自分の好きなコンビのほんの周辺しか理解していないし、ちゃんと賞レースをがっちり追う訳でもないし、お笑いそのものに対する深い理解とかも無く「おもしれー!!」って笑ってるだけだ。それで良いのかもしれないけど、なんとなく周りを見渡してみると自分の軽薄さにがっくり来ることが少なからずある。

いつまで経っても中身のオタクは追い付かないし、大人の女らしい姿にもなれないまま、私は冒頭の言葉を投げかけられたら「タイトルはなんかきいたことありますね……」と曖昧に笑いながら薄ーいことを返すしかない。相手は「やっぱりね」と何故だかどこか勝ち誇った顔をしてニヤつくが、私の内はずーっとうっすら嫌な気持ちになっている。その何気ない一言に私がそんな気持ちでいるなんて、考えもしないんだろうな。

あと、普通にオタクの人は身なり整えてるし可愛い人たくさんいるし、オタクの人側にも失礼だな。

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