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【山歩き記録 第104歩】乗鞍岳(2024年10月12日)【特急アルプスで日帰り北アルプス】

夜行列車は人を選びますね・・・

今年、三連休前の金曜日の深夜(土曜日の未明)限定で復活している特急アルプス。最初は9月までの4日限定でしたが、その後10月と11月の2日分が発表されました。そのためか、直前でも残席がわずかながら残っており、そして晴れの予報。初めての夜行列車を経験するチャンスだと思い、これを使って乗鞍岳まで行ってきました。ちなみに、特急アルプスは、次の11月1日の便まで発表されています。


コース概要

地理院地図に書き込み

畳平バスターミナルからスタート。まずは剣ヶ峰を目指します。富士見岳の脇、摩利支天岳の脇を通って、肩の小屋。ちなみに、摩利支天岳への道は、現在、進入禁止でした。また、肩の小屋も営業していませんでした。肩の小屋から先は、本格的な登山道です。「ハイヒールで登れる3000m」という謂われがあるそうですが、本当に3000m(剣ヶ峰)を目指すなら、登山靴で来ましょう。剣ヶ峰からは折り返し、分岐から富士見岳、大黒岳と続けて登ります。大黒岳の先の車道に下りたら、畳平まで戻ってきます。

予定では、畳平の裏の魔王岳にも登って、乗鞍岳の登れる4ピークを制覇するつもりでしたが、夜行列車で寝られなかったせいか、大黒岳への登りで脚だけでなく全身の疲労を感じたので、自重することにしました。

切符購入のこと

今回も準備編、というより、切符編から。

JRで松本駅まで行った後、アルピコ電鉄で新島々へ、バスで乗鞍高原へ、別のバスで畳平へと乗り継いでいきます。松本から先はICカードが使えないので、どこかで切符を買う必要があります。乗鞍高原~畳平の乗車券は現地でしか買えないのですが、それ以外はいくつかの買い方があります。一般的なのは、

①一度、松本駅で改札を出て、券売機で松本~新島々~乗鞍高原のセット券(往復券)を買う。

でしょう。他の方法より少し割引があるらしいです。しかし、乗り換えの時間が限られていると難しいです。また、夜行臨時列車の時間に券売機が使えるか不安でした。そこで第2の選択肢が出てきます。

②松本駅では切符を買わずに乗り換え、新島々で精算する。新島々で新島々~乗鞍高原の往復券を買う。

特急アルプスでは乗り換え時間が短いため、公式もこの方法を推奨していました。この公式情報にたどり着くまでかなり調べましたが…。

ちなみに、ICで入場していてもOKで、その場合は

精算時に「処理連絡票」をお渡しいたしますので、ICカード乗車券の使用できる駅で後処理をお願いいたします。

https://www.alpico.co.jp/traffic/faq/5/

とのことです。

しかし、この方法だと、行きの新島々での精算、新島々~乗鞍高原の乗車券購入、帰りの新島々⇒松本の切符購入、と、何度も購入が必要になり、バスが遅れたり、混雑するリスクを考えると、なるべく避けたいと思いました。そこで第3の選択肢が出てきます。

③最寄りのJR駅~新島々の往復乗車券を買っておく。新島々で新島々~乗鞍高原の往復乗車券を買う。

これで大丈夫か心配だったので、がっつり下調べしてから、切符を買いに行きました。新島々までの切符を買えることは、このJR東日本の連絡乗車券のページでアルピコ交通のところを見ると、はっきり書いてあります。

https://www.jreast.co.jp/kippu/25.html

そして、もう一つ重要なのが、この切符で、「連絡接続駅」に当たる松本駅に限り途中下車可能ということです。同じページの下の方に「東日本旅客鉄道株式会社旅客連絡運輸規則」へのリンクが貼ってあり、その第76条に書いてあります。ざっくり要約すると、

基本的に途中下車できる。ただし、連絡接続駅を除き、以下に定める場合には途中下車できない。・・・(途中下車できない場合が列挙される)

という内容です。日常の移動で途中下車できることはほとんどありませんが、それは、「途中下車できない場合」に入ることがほとんどだからです。

…ということを調べたうえで切符を買いに行きましたが、自動券売機で行き先ボタン「新島々」を探すも、見つからず…。仕方なくみどりの窓口に行き、数十分待ったのち、新島々までの往復乗車券をお願いすると、「新島々までは買えないと思いますよ。松本まででいいですか?」・・・え??「調べたら、買えるらしいんですけど」などとやり取りして、端末を操作してもらって、「あ、新島々、出てきました」。うん。買えますよね。続いて、「この切符で松本で途中下車できると聞いたんですけど、本当ですか?」と聞くと、「下車前途無効、と書いてあるので、できないと思いますけど、あいまいなことは言えないので…」とタブレットで規約を調べ始める。無愛想な方でしたけど、ちゃんと調べる姿勢には好感。途中、横を通りかかった他の駅員に聞いていましたが、その人は「できないと思いますね」。うーん?なかなか条文が見つからないのか時間がかかっていたので、こちらで調べておいた例の第76条を教えてあげることに。「確かに、この通りなら途中下車できますね」。解釈違いでなくて良かった。「ちなみに、このことってあまり知られていないんですかね?松本駅でもこういう問答になると面倒なのですが」、と聞くと、松本駅に電話してくれました。それによると、「規約とかあまり関係なく、そういう切符を見せられたら途中下車を認めているそうです」。ん?ちょっと不安だけど、まあいいか。

長くなりましたが、こうして新島々までの乗車券を購入したのでした。本当は松本駅で途中下車してお土産と買いたかったのですが、実際は、バスの遅延で乗り換え時間が短くなってしまったので、途中下車を試すことはできませんでした。残念。

記録

都内某駅、特急アルプスに乗車。ほぼ満席ですが、座席上の荷物棚を見る感じ、登山しそうな人は2割ぐらい?けっこう少ないと思いました。

電車は、日中2時間ちょっとの行程を、4時間以上かけて走ります。ただゆっくり走るのではなく、途中、何回か、けっこう長時間停車していました(はっきり認識できたのは、甲府駅と富士見駅)。

座席はふつうの特急と同じレベルで傾きます。そして、八王子駅を出た後で暗くなります。とは言っても、見渡した感じ、点いている蛍光灯の数が4分の1になる程度で、特に点いている蛍光灯の真下は普通に明るいです。そんなこともあろうかと、アイマスク、さらに耳栓も用意していきましたが、ほぼ眠れませんでした…。

5時3分、松本駅着。切符購入のために急いで改札を出る人も大勢いましたが、僕は新島々までの切符を持っていたので、悠々とホームを移動し、着席。

5時10分発の臨時快速。電光掲示板への表示は無し

5時34分、新島々駅着。ここでも、精算に並ぶ人が大勢いましたが、僕は新島々までの切符を持っていたので、堂々と退場。乗鞍高原までのバスの乗車券を買います。売り場は、有人の窓口と自動券売機があり、窓口の方はクレジットカードも使えました。8割がたの人が上高地行きの臨時バス2台で先に出発し、僕も含め残りは1台の乗鞍高原行きバスに収まりました。ここのバスは、高速バスで使うような車両なので、立つスペースがなく、必ず全員が座れるように配車してくれます。

新島々駅付近の道路が工事中で片側相互通行をしており、乗鞍高原での7時の乗り継ぎに間に合わないかもとアナウンスされましたが、運良くスムーズに運行し、7時発の畳平行きに乗ることができました。6台か7台かのバスが列をなして走っていきます。しばらくは左右が森で、遠望はありません。そういうこともあって、寝不足がたたり、赤個性、車酔いが発動してしまいました。突っ伏して耐えしのび、7時55分畳平に到着。

畳平バスターミナルの軽食コーナーが7時45分からということで、蕎麦でも食べて行こうと思っていましたが、早朝は限られたメニューしかやっていないようで、仕方なく持参したバウムクーヘンを食べることに。高山病対策と酔い覚ましも兼ねて、食べるものを食べて、出すものを出して、ゆっくり時間を使って準備します。

朝の畳平バスターミナル
「お花畑」エリアを見渡す

8時35分スタート。「ハイヒールでも登れる~」なんて言われるぐらいですから、しばらく舗装路かと思っていましたが、それはほんの一瞬でした。

ここからスタート
肩の小屋まで、このような砂利道が続きます
不消ヶ池とか不動岳とか。不動岳のような登山禁止の山も含めて、こんもりした山がいくつも点在しているのが面白いです
摩利支天岳は、山頂の施設も含めて、とても目立ちますが、現在は進入禁止となっています

肩の小屋に近づいたころから、雲が登山道に迫ってきました。まだ朝の9時なのに、さすがに想定外です。

肩の小屋。営業していませんでした
肩の小屋の裏手から、本格的な登りが始まります

岩の上を歩くことも多く、決して楽ではないです。火山らしい地面と人の多さは、富士山を思い出させます。雲で日差しが遮られてひんやりした空気の中、せめて山頂に行ったという実績だけでも得て帰ろうと奮い立たせます。

雲が少なかった西側の権現池
山頂(剣ヶ峰)の手前、蚕玉岳から山頂を見る

蚕玉岳から雲に吞まれていく山頂を見たときは、ほぼ諦めムード。山頂手前に分岐があり、右は山頂の鳥居が見えていたので、そちらを選択。左はよく分かりませんでしたが、下りに使ったところ、頂上小屋経由で山頂に行くルートでした。難易度は特に変わりないです。そうして山頂直前まで来たとき、なんと雲が取れていき、ちょっと感動しました。ただ、周りに雲が浮かんでいるのは事実で、周囲の山々、例えば穂高連峰や、ときには富士山も見えるらしいのですが、そういったものは見られませんでした。

山頂が晴れた!

9時45分、剣ヶ峰。山頂標識は記念撮影の列ができていたので、すき間で標識だけ撮ってさっさと撤退しました。神社の裏に少しスペースがありますが、そこも大勢の人が休んでいます。

登ってきた道を見下ろす
剣ヶ峰山頂
一部紅葉した斜面
頂上小屋は営業していました

登って来た道を戻ります。その間にもまた雲が湧いてきて、山頂の方はほとんど見えなくなってしまいました。

蚕玉岳から
「肩の小屋公衆トイレ(緊急避難所 Shelter)」きっと恐ろしく頑丈なトイレなのでしょう
実はこの写真の真ん中らへんにライチョウがいます

畳平にまっすぐ戻るのではなく、富士見岳→大黒岳と寄り道をします。

ここから富士見岳に登ります
富士見岳山頂。剣ヶ峰の方を向いているのですが、もう完全に真っ白です
大黒岳の方は、青空も見えていましたが…
大黒岳山頂。残念な天気
大黒岳から折り返して帰っても良いですが、この先、短いながらハイマツ林の中を歩けるので、それを目当てに進みました。晴れていれば絶景だったと思います
車道を歩いて畳平に戻ってきました

12時20分、畳平に戻ってきました。ここから魔王岳を往復するプランでしたが、天気も悪いし、寝られていないせいか疲労が強かったので、ここで終了です。施設2階のレストランで食べる温かいかけそばが冷えた体に染みます。酔い止めを飲んで13時5分のバスに乗り込みましたが、このときにはみぞれ混じりの雨が降ってきてしまいました。

13時55分、乗鞍高原では、よりしっかりとした雨。他の乗客は、自家用車で帰るか、14時13分の新島々行きバスを待つか、でしたが、僕一人は道路の反対側にある「湯けむり館」にダッシュ。傘は持ってきていなかったし、ここでレインコートを濡らすのも面倒だったので。

この動きからも推測できるように、バスターミナルの間近にあるにもかかわらず、湯けむり館に登山者は数えるほどしかいませんでした。それでも、登山者以外の客でかなり混雑していましたが。

このあと、プランAでは、
乗鞍高原16時6分→新島々17時9分(バス)
新島々17時22分→松本17時52分(電車)
松本駅で途中下車してお土産を買い、
松本18時40分の特急あずさに乗車
でしたが、バスが片側相互通行の渋滞にはまり、新島々に着いたのが17時45分ぐらい。そのため、
新島々18時→松本18時30分(電車)
を使うことになり、途中下車する時間がなくなったのでした。

ところで、湯けむり館は硫黄系の温泉で、あの特有の匂いがするのですが、コットンの服とこの匂いの相性が「良すぎ」て、この日の服と一緒に洗濯しするだけで、コットンのシャツに一番匂いが残るという。しかも、なんか匂いの質が変わって、吐き気を催すような気持ち悪い匂いに変わるんですよね。ちなみに、この経験は2020年の日光白根山以来、2回目です。あの時もTシャツ(綿50%、ポリエステル50%)だけずっと匂いが残って謎だったのですが、コットンとの相性なのだろうというのが、2回目を経験して分かりました。

各種情報

コースタイム:3時間25分

標高:2700m(畳平)~3026m(剣ヶ峰)

主な展望スポット:高い植物が全くないので、常時

トイレ:畳平屋外(無料)、畳平施設2階(有料)、肩の小屋付近(無料)

危険個所:ガレ場、ザレ場があるため、ハイヒールはやめましょう。

アクセス:新島々駅からバスに乗り、乗鞍高原で乗り換え、畳平まで。印刷用時刻表PDFが一覧性に優れていて使いやすいと思います。

岐阜県側からも、高山駅からバスを乗り継いで畳平に行けるようです。

周辺情報:乗鞍高原観光センターのすぐ近くにある「湯けむり館」は、営業時間が長い日帰り温泉施設で、乗り換えのついでに利用するのにとても良いです。レストランも併設なので、お腹も満たせます。


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